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④呪われた館、1899年12月24日 夜8時半

やがて夕食の準備が整い、主人と招待客の7名はそれぞれの席に着いた。


館の主人ビルは、眼光の鋭い白髪頭の老人だ。


ビル「さて、ここにお集まりの皆さんは、ずいぶん悪趣味な御仁ばかりのようじゃ。なんせ、19世紀最後の聖なる夜に呪われた館に集まって、ご自身の忌まわしい過去を語ろうとしておるのじゃから。」


ビルは下卑た笑みを浮かべた。


冒険家のクリスがすかさず声を上げる。黒く豊かな巻き毛と、深緑色の眼を持つ、ミステリアスな青年だ。整った顔立ちをしているが、粗野な雰囲気がある。


クリス「過去に値打ちなんぞ、あるもんか。これからの金儲けの話をしよう。金の採掘には金がかかるんでね。俺は一攫千金を狙う相棒を探しに来た。」


投資家のショーンが口を開く。几帳面そうで身なりは良いが、厭世的な雰囲気の中年男だ。


ショーン「まったく、僕も儲け話のために、はるばるここまで来たが、とんだ期待外れだったねえ。どんな閑人が、こんな辺鄙な人狼博物館に足を運ぶというのかね!僕ぁ、金儲けしか趣味の無いつまらない人間だから、もうこんなところにゃあ用がないねぇ。僕ぁ、ビル、君のように、人狼の言葉なんざ話せやしないからねえ!」


心霊研究家のニックは、嫌な薄ら笑いを浮かべながら話を聞いていた。男らしく整った顔立ちの30代半ばの男だ。嘘吐きらしい黄金色の目が鋭く光る。


ニック「しかし、心霊研究家として言わせてもらえば、この館まるごとが、人狼に関する巨大な資料だ・・・。さてここでひとつ、滅多に出会えない生きた研究材料をお披露目しようじゃあないか。この館よりも遥かに貴重な、狼憑の男を。」


狼憑と呼ばれた不気味な青年は、黒く乱れた前髪の隙間から、蛇のような紫色の目と舌を出した。うつろな表情で震えているモルヒネ中毒者だ。美しい装飾のされたカフスボタンがきらりと光る。


フレディ「ククク・・・。俺は20年の間、毎晩、狼になって逃げる悪夢を見続けている。朝起きたら冷や汗をびっしょりかいて、ぐったりと疲れて、何もできやしない。薬漬けになってなんとか生きながらえる日々・・・そろそろ、悪夢と現実の区別がつかなくなりそうだァ・・・。」


マリアはフレディを哀れに思い、そっと十字を切った。どうか、彼に神のご加護を!


小説家フランクは、手入れされたヘーゼル色の髪の毛を揺らして、にこやかに全体に話しかけた。


フランク「僕は、何の取り柄もない小説家ですが、個性豊かな皆さんにお会いできて嬉しいですよ。今夜は楽しくなりそうだ。もし、皆さんのお話を小説にして僕のメシのタネにしても、どうかこの吹雪の夜を共に生き延びたよしみに免じて、大目に見てくださいね。」


フランクはそう言うと、ワインを一気に飲み干し、茶目っ気たっぷりに笑った。




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