第二十二話~救出か、脱出か【後編】
好きな景色は、海?山?
海~アルマ・シリウス
山~クレメンス・ボンド
山~ロジェ・タリス
山~ノウマン・アント
海~アガト・リン
山~イリス・フェイト
山~カロリーナ・ジェニー
海~ルスノア・ククル
山~ピーター・ハラルド
「…鍵!見つけたんで、先に戻ってますね~」
少し不機嫌なイリスは、ノウマンの背中に鍵を握った拳を叩き付けて、その場を離れる。
「鍵?私たちが救出の方法を模索している間、ここで鍵を探してたの⁈」
手を振り背を向けたイリスを、リンが引き止めた。
「あれ?気づいてない?」
「上階に続く階段、防火扉が閉まっていて、一つも使えなかったでしょ?」
「防火扉?鍵?上階?」
初めて聞く情報に、思考が追いつかず、首を傾ける。
「ご丁寧な事に、全部の扉に鍵を掛けて・・・」
【ボン!】
上階で起きた爆発が、大きな音と共に、建物全体を振動させる。
地面に割れ落ちるガラスの飛散音が、空気を伝い、微かに響く。
「・・・・・・何⁉」
「はははは・・・え~噓でしょ⁇」
状況を察したイリスは、上を向いて冷や汗を垂らした。
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数刻前~
「廊下・・・静かだな~異常だな~恐ろしいな~」
部屋の扉に耳を当てて、独り言を呟く、ボンド。
「まぁ、たしかに…殺した見張り役の交代人員も来てませんしね」
第二班の服を着たノウマンは、椅子に座り、優雅にお茶を飲んでくつろいでいた。
「外…出ちゃう?」
萎縮したボンドが、ちらちらと、紅茶を飲むタリスの顔色を伺う。
「状況が把握できない状態で外に出るなんて、危険行為ですよ」
「しかし、誰かが部屋を出て調べないと、外の状況は把握できない」
「・・・はぁー動くなら”全員で”です」
長時間の待機に飽きていた一同は、タリスの言葉に心を躍らせる。
「罠を!設置している可能性があります。くれぐれも、慎重な行動を!」
「・・・はい」
ひとり冷静なタリスに注意され、一同は部屋を出た。
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壁を背にして、廊下を進む。
「・・・誰も居ない」
奥の仕事部屋まで来たが、部屋に人の気配は無い。
【カチッ】
突然、スイッチが動いたような音が鳴った。
拳銃を構えて、部屋を見回す、タリス。
「・・・監視カメラ!」
「…撃つな!」
ノウマンは、カメラに向けたタリスの銃を、手で押さえて下げさせた。
「起動した時点で、情報は伝わっている。下手に、刺激を与えない方が良い…」
目の前に置かれた投影機から、ハラルドの映像が映し出される。
「…静止画?これは、第三班に宛てた録画映像…なのかな?」
映像が動き出す。
『こんな罠に引っかかるとは…衰えたな、太陽の影』
「やはり罠!早く、地下から脱出を・・・」
「まぁ落ち着け…この地下に危険な罠は無い」
慌てふためくタリスを、冷静な目をしたボンドがなだめる。
「何を根拠に・・・」
ボンドに静寂を促されたタリスは、語り始めた映像を見て、口を閉ざす。
『第二班の目的は達せられた。これ以上、第三班に危害を加えることは無い』
「・・・敵の言葉を、あなたは信じるのですか⁈」
「・・・」
無言のアルマは、動揺するタリスの目を見て、ゆっくりと頷く。
『第一班が現れたことは、第二班の想定していない事態だったが、おかげで、計画がより良いものとなった』
険しい表情のボンドから、安堵の笑みが零れた。
「アルマ…第一班を動かしたか…」
『第二班の勝手に巻き込んでしまったことを謝罪したい。第三班の協力に感謝を/
映像が止まる。
「…壊して良かったんですか?」
銃弾を撃ち込み、投影機を破壊する、タリス。
「こんな録画映像が残っていたら、協力者だと勘違いされかねない」
「…賢明な判断だ」
話の内容を整理したタリスは、頭を抱えて悩み始める。
「第一班から逃れるため、ハラルドは、地下の人員を、地上に配置した?しかし、それでは…」
「逃れるためではなく、第一班との戦闘に備え、人員を地上に送った」
「そんな…まさか…自殺行為だ!」
「それが、第二班の目的だった・・・」
沈黙・・・
「地上は今頃、地獄絵図…困ったね~」
下を向き、大きくため息を吐いたボンドは、吹っ切れたように顔を上げた。
「・・・さて、どうする?隠し通路から脱出するか?戦闘を止めさせるか?」
ボンドの表情に感化され、落ち込んでいた目に光が灯る。
「・・・当然。ピーター・ハラルドを、第三班の手で逮捕します」




