第二十一話~救出か、脱出か【前編】
お化けは…居ると思う?いないと思う?
いない~アルマ・シリウス
居る~クレメンス・ボンド
いない(本当は居る)~ロジェ・タリス
居て欲しい~ノウマン・アント
居る~アガト・リン
いない~イリス・フェイト
興味が無い~カロリーナ・ジェニー
いない~ルスノア・ククル
ククルに導かれるまま、裏口から建物に入り、地下室へ繋がるエレベーターを目指す。
「誰も…居ませんね…」
争いが起きているとは思えない静かな内部に、不安を感じる、リン。
「陽動作戦が成功したからですかね…」
「それにしては・・・」
不安が拭えないリンは、ククルの言葉に、首を傾げて歩く。
〖ガチャ〗
無音の建物に湧いた、扉の開閉音。
『・・・』
全員が口を閉ざし、目配せで意思疎通を図る。
音が鳴った方向をククルが指差すと、指を差した方向に、ゆっくりと歩き出した。
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廊下を進むと、扉が半開きにされた物置部屋を見つけた。
先頭を歩くククルが、足を止め、扉前の柱に身を潜める。
窓が一つも無いため、中の様子を目視では確認できない。
【ガチャ、ガチャ】
扉から漏れた金属が擦れる音から、何かを探している事は読み取れた。
「・・・火事場泥棒?」
後ろに居たリンが、無言を忘れて呟いてしまったカロリーナの口を、慌てて手で押さえた。
「動くな・・・」
カロリーナの声に気を取られ、後ろを見ていたククルの側頭部に、銃口が突き付けられる。
「・・・ノウマンさん?」
「思った事を何でも口に出すなと、あれほど教育したのに・・・」
失敗を繰り返す後輩に、教育係として頭が痛む、ノウマン。
「うっ…」
ぐうの音も出ないカロリーナは、苦虫を嚙み潰したような顔を、ノウマンから逸らす。
「…地下に居たのでは?」
「地下は、通り抜けて来たんだ…だって私達、幽霊だから…」
声色を変え、懐中電灯の光で、下から顔を照らして現れた、イリス。
会話が止まり、沈黙の空気が流れる・・・
「とりあえず…この人は仲間でいいんだな?」
口火を切ったノウマンが、ククルの頭を、突き付けた拳銃でつつく。
「一応?第一班の人?」
「一応?」
カロリーナの曖昧な認識に、首を傾げて微笑みを向ける、ククル。
二回ほど頷いたノウマンは、突然、銃を投げ捨て、ククルの服装を整え始めた。
「第一班の方が、第三班を救出に来てくださるとは、思いもしませんでしたよ~」
「ああ、お気になさらず。第一班長の命令は絶対ですから…」
言葉に棘を感じた二人は、しばらくの間、乾いた笑いを向け合っていた。




