第十三話~無数の取引【前編】
お風呂は?
シャワー派~アルマ・シリウス
湯船派~クレメンス・ボンド
シャワー派~ロジェ・タリス
湯船派~ノウマン・アント
湯船派~アガト・リン
シャワー派~イリス・フェイト
湯船派~カロリーナ・ジェニー
湯船派~ルスノア・ククル
湯船派~ピーター・ハラルド
シャワー派~店主
意識を失い、次々に倒される、第二班の見張り。
「…これで最後です」
見張りの背後に回り込み、腕を巻き付け首を絞める、カロリーナ。
「うん…拳銃を渡す必要は、無かったようだね…」
気絶した見張りを、軟禁されていた部屋に運び込む、ノウマン。
部屋から微かな破裂音を鳴る──
何事もなかった様、拳銃を片手に部屋から出てきた。
「・・・銃弾は、上に登る道中に備え、温存していた方が良いのでは?」
「問題ありませんよ。我々には、外に通じる隠し通路がありますから…」
凹凸の無い白い壁から、記憶と感覚を頼りに何かを探し出す、ボンド。
壁の一部をスライドさせると、備え付けられた数字のボタンを露になる。
数字を打ち込むと、目の前の壁が開き、奥に続く狭い通路が現れた。
「室長…隠し通路の予算は、どこから補填を?」
「・・・うん?」
「…室長?」
戯けて見せるボンドの背中に、銃を突き付ける、タリス。
「わ、悪い事はしてないよ~」
「た、多分、設備投資の予算を、誰かがこっそりと抜き取っていたのかな~」
「はぁ~毎年、新しくしたはずのコーヒーメーカーが壊れていたのは、それが理由ですか」
「うん?ですが、噓をつくには、周りの人間も協力しないと…」
「まあまあ、その辺で。室長の無駄遣いが、珍しく役に立ったんですからね?」
会話に割って入り、強引に話しを終わらせた、ノウマン。
「あ~アルマの応援は、カロリーナ一人で良いよ」
全員の視線が、カロリーナに集まる。
「え?わ、私だけですか?」
「なぜ?」
「人手が多ければ、証拠が集まるという訳では無い。大勢での行動は、返ってリスクになります」
「それに誰かが、死んだ第二班の 偽装をやらないと…ね?」
顔を見合わせて、腹を探り合う、二人。
「ええ…そうですね」
脚部が弓なりに曲がった椅子にもたれ、居眠りをする店主。
そこへ、扉を力強く叩き、返り血に染まったアルマが、銃を片手に入店する。
「・・・雇主を呼んでもらえるかな?」
微動だにしない店主に、銃を突き付ける、アルマ。
「…残り僅かな余生を、のんびりと過ごしたいとは思っている…が、壊れた玩具に屈することは、出来ねぇよな?」
見透かされた心を、笑顔で誤魔化し、地面に銃を投げ捨てる。
「・・・雇主は、どこへ?」
椅子から起き上がり、アルマが垂らした血を、雑巾で拭き取り始める。
「…買い出しに行ったよ。もうすぐ、帰って来る頃合いだな」
「アルマさん…汚い格好で、お店を汚さないでもらえますか?」
音もなく入店した青年が、紙袋を抱えて、アルマの背後に立っていた。
「…神父を殺した」
店主に紙袋を渡し、店の奥へ退出を促す、ククル。
「ええ、知っています。見ていましたから」
「慌てて動いた第二班の隙をつき、確実な証拠を押さえた…はずでは?」
「ええ、そういう計画です。ですが…残念ながら、証拠は出なかった」
「ハラルドの暴走を理由にしても、第一班を動かすことは出来ないと?」
「いえ。死傷者が出ていますから、動かすことは可能です…ただ、、、」
「粛清の対象は、第三班になりますよ」
感情の読み取れない笑顔を、アルマに向けて放つ、ククル。




