第十二話~久々の花見【後編】
花粉症の症状は?
ない~アルマ・シリウス
ある~クレメンス・ボンド
ない~ロジェ・タリス
ない~ノウマン・アント
ない~アガト・リン
ある~イリス・フェイト
ある~カロリーナ・ジェニー
ある~イゼロ・ニコロ
「懐かしい名だ・・・」
足音を消して現れたイゼロが、アルマの後頭部に、銃口を突き付ける。
「・・・違う?」
「ええ。ナイフ一本で殺人を行うなど、時代遅れでしょう?」
頭を動かさずに、周囲の隠れた人影を探す、アルマ。
「・・・一人?」
「ふ。まだ、パトリオットポールだと?」
溢れ出て笑い声の裏に、アルマに対する殺意を醸し出す。
「組織が壊滅した経緯は、あなたの方が、詳しいのでは⁇」
「・・・」
辺りから、人の気配は感じられない
頭部に伝わる銃口…銃の扱いは、素人なのだろう
しかし、この殺意が本物ならば…この状況から、反撃に転じる事は、極めて難しい
僅かでも、隙が生まれれば・・・
小さく鳴った靴音に、注意が逸れる、二人。
大きくなる疎らな靴音に、視線を傾けた、イゼロ。
「・・・時間切れの様だ」
硬い物の壊れる音が、路地の壁に反響する。
上半身を半回転させ、顔を顰めるアルマ。
後頭部に突きつけた銃を跳ね除けられたイゼロが、アルマを見下す。
二人が向かい合う真横の壁には、足元まで伸びる一本の糸と、一発の弾跡が付いていた。
「撃った反動を利用して、腕の通過点にあった糸を、咄嗟に避けた…恐ろしい反射神経だ」
「反撃の余地すら、残さない…らしい」
「・・・さよならだ」
体を糸に引かれ、空を舞い、建物の屋上に着地した。
「・・・なぜ、心臓を刺さない?」
「今日は、ナイフが品切れだ。それに、またすぐ会う機会が訪れるだろう…必ず…」
見上げるアルマに、殺意を放ち、屋上の影に、姿を消し去った。
「必ずか…出来れば二度と、会いたく無い」
「こっちだ!」
物音を聞きつけた第二が、傷を負ったアルマに迫る。
死体の服を剝ぎ取り、薄皮の剝がれた腕に巻く、アルマ。
「僅かだが、追手の声に怒りが込められていた…この状況も、計算された展開」
人混みに逃げ込むのに、この出血は痛手
どこかに身を隠すか…或いは…
弾倉を取り外し、銃の残弾数を確認する。
「・・・外さなければ足りる」
「・・・室長、詳細な説明を求めます」
机を叩き、立ち上がる、タリス。
「う~ん?証人を差し出して、第一班を動かす計画だったんだけど…トラブルかな?」
「どうしますか?証拠が無いと、第一は、動きませんよ」
椅子に戻り、ゆっくりとお茶を飲む、ノウマン。
「第一班を動かす手段が、無い事はないけど…あ、噂をすれば!」
席を離れ、アルマと連絡をとる、ボンド。
通話を終え、静かに席へ戻る。
「・・・困った」
深刻な表情に変ったボンドに、一人、真剣な眼差しを向ける、カロリーナ。
「な、いったい何が⁉」
「追手に迫られて、逃げ場が無くなったみたいで…殺ってしまったらしい」
全身の力が抜けて、ため息をつく。
「え?」
「室長は、上からお叱りを受ける事が、心底嫌いですからね」
席を立ち、戸棚の底を、次々と破壊する、イリス。
「ええ‼」
「ここは、第三班の地下室です。万が一の備えは、十分用意されている」
戸棚の底に隠されていた拳銃を取り出し、全員に手渡す。
「これから行うことは、全て、室長の責任です」
「う…」
「決して躊躇しないように!」
「はい!」
カロリーナは、第二班と敵対している理由を、全く理解していなかった。




