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ロッソ

ロッソ



 ロッソは完全に女殺し屋を巻いた。

一体何処からの手の女だったんだ。FBIの人間達は女をロッソが誘き寄せる間に殺された連絡を受けた。

まさか、長年おい続けている例の謎の巨大組織なのか?もしそうなのだとしたら、こうやって接触を図ってきたのは初めての事だった。もしそうなのだとしたら、何故出てきた?女の顔を一人出だろうと押えられたのだ。

「なんですって?やられましたね……」

お互いにやられたという事か。屋敷内の記憶ブースが木っ端微塵だったようだ。あの警備員の人間達全員が女の仲間だったのだろう。この手の内の記憶ブースだけでもFBIに持ち帰らなければ。

ロッソは女を尾行し始めた。女は探している。

顔のモンタージュとプロポーションをコンピュータで打ち込む。

身長は178。イタリー訛が抜けきれていないイタリア女。

髪は金髪。断ち切られる前はふわりとした肩を越す位の充分な長さとボリュームだった。瞳の色は明るく藍色っぽい青。狐の様な綺麗な顔立ちだ。

切れるような鋭い目元は大きな瞼で冷めた様に見え、横に流れる睫をしていてさばさばした印象が顔全体にある。細い鼻立ちは整い、唇は薄いものの大きい。綺麗な卵形の顎のラインはそれでも頼りなさは無い。

笑うと女性らしい華やかさが射すのは、頬がピンクに染まる為だが、モードメイクを施した顔は笑わない時は冷たく綺麗な顔つきだ。

声は低くすると甘くもなるが、元が鋭い物を含ませる高い声音だ。年齢的には、26あたりから8だろうか。30は行っていないだろう。

均等の取れた肢体であり、手足が細長いものの、肉付きは良い。特徴となるほくろは何処にも見当たらない。仕草が綺麗な女だが、戦闘時は激しい。柔軟性もあり身が軽い。瞬発力も女にしては飛びぬけている。

一見、もしかしたら普段ならば戦闘など思い浮かばないような風だ。女らしい。優雅なブランド雑誌でモデルでもしていそうだ。エステやショッピングでも趣味にしていそうな綺麗な大人の女性。

 女は切られた髪を無意識に擦り辺りを見回し、苛立って目元を鋭くした。全く、休憩時にいきなり本部のカフェでこの仕事を振ってきたあの酷い弟を呪いたい気分だった。髪を切られた。サロンの予約を入れてあったのに。オイルトリートメントだって控えていたのよ。由佳里の馬鹿馬鹿馬鹿。今度ショッピングの荷物持ちの時に重い重いアイランドキッチン購入してやるんだから。しかもあたしのあの部屋じゃあいらないから返品させに行かせるんだから……!

涙ぐんで悔しそうに彼女は走った。ロッソも追う。彼女は視線を巡らせながら走り、男を探す。

今度のあいつのフェイシャルエステで絶対にクレイにガラス仕込ませるように言ってやるんだから!!!

それでも、彼の肌がそれしきで傷つくはずも無かった。それも分かっていたのだが。

コンピュータで身体機能、プロポーション、顔、詳しい情報、能力などをFBI本部に転送しようとした時だった。

そのシグナルをキャッチしたロガスター司令塔は最高幹部長にそれを報告した。DNAIDバンクの中の記憶の身体IDに引っ掛かる項目のシグナルが発進されようとしている。

そのシグナルを破壊し、発されたコンピュータ機器のシグナルを追って情報全てを破壊し機能停止させた。

その事でロッソの居場所が判明した。

女は男の居場所はすぐそこだという情報を得て辺りを感覚だけでぐるりと見回した。

ロッソは壊れた機械をジャケットに仕舞い、追う事を諦めてその場を去った。

あちらに完全に悟られたという事だ。これ以上追えば刺客に殺されるだろう。

ガードする殺し屋が現れた程だから確実に本部長は闇との繋がりがある。それか、こちらがFBIの人間と知らなければ別なのだが。

高台に来て見回す。夜は静寂で闇が佇む。高級住宅地のどこも眠りに着いているようだ。ひっそりと動く影は無い。女以外には何処に潜んでいるんだ。屋敷に来た人間は。

退散するだろう車、バイク、警備員の車両、一切無い。無さ過ぎだ。当然空を滑らせるヘリも無い。

ここを一刻も早く離れ次へ向かわなければ。女の特徴も早く知らせなければならない。どこの人間かを探り、記憶ブースの情報には何が残されているのか判読させなければ。奪われる前に。

屋敷の怪しい警備員達は既に引いたようで、メイド達がこの騒ぎに駆けつけているらしい。報せを受けると一斉にFBIの人間が家宅捜査に入ったようだ。

バイクの音。振り返る。女が飛び乗り走らせて行った。月光を浴び。

ロッソは街から離れて行った。


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