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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
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肆章・弐ノ参ノ壱 ~漢中奪還戦~

どうも、DTKです。

お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、77本目です。


函谷関で、念願の紫苑救出を果たした一刀たち。

次なる舞台は…


「なるほど…そういうことでしたか」


紫苑が落ち着きを取り戻した頃には、周りの状況も落ち着いていた。

関中側の道を埋め尽くしていた鬼は、軒並み小夜叉が狩り尽くしてしまった。

翠たちには洛陽側の鬼の掃討をお願いしてある。

目に見える怪我はなかったが、疲労困憊だった紫苑には休養を取らせながら現状を説明していたところだ。

多少の動揺はあったが、そこは紫苑。

すぐに現状を把握してくれた。


「で、紫苑を助けるために真桜たちに雲梯を作ってもらってきたってわけ」

「そうだったの……みんな、どうもありがとう」


ちなみに、この場に残ったひよたち戦国勢は紹介済みだ。


「それで…その、ご主人様?」

「ん?」

「璃々は……漢中は、どうなっているのですか?」

「あぁ。漢中は、今……」






――――――

――――

――




「ご主人様!」


情報収集に出ていた小波が戻ってきた。


「どうだった?」

「はっ!先ほど軍勢が西へ向かって進軍したのを見た、というものが多数おりました」

「恐らく、そ奴らが綾那と歌夜を追っていった部隊だろう」


壬月が脱出の際に聞いた情報と一致する。


「それで、数の方はどれくらい残ってるの?」


浜松城攻め、といっても囲むことが最優先だが、担当の美空が城内の残存数について尋ねる。


「松平家の動員戦力の約半数ほどが出陣したと思われますので、残り半分、凡そ五、六千が城に詰めているかと」

「ふ~ん……五、六千ね…」


あまり面白くなさそうな反応の美空。


「ということは、綾那と歌夜の二人に、約五千の兵を放ったってわけか…」


さすがにやり過ぎなんじゃないか、と剣丞は思う。


「二人の強さを考えれば、五千でも足りないくらいなの!でも…」

「えぇ。お二人の性格を考えれば、同胞に手出しは出来ないでしょう」

「そういった意味でいうならば、葵さまの判断力が落ちているのか、それだけ二人に執着があるのか…。このあたりの判断はまだつきかねますね」


鞠・雫・詩乃の分析だ。


「厄介なのは、外に五千の三河兵がいる、ということですね。出来るなら、城に押し込めておきたかったところですが…」


秋子が眉根に皺を寄せる。


剣丞たちの作戦はこうだった。

三河兵は野戦に滅法強い。

だから大兵力、この場合は長尾勢に浜松城を囲んでもらった上で、漢中各地を平定する、というものだった。


「秋子、大丈夫…」

「そっすよ。なにせ外の三河兵の相手は、あの孫呉なんすから!」


剣丞たち本隊とともに外回りをするのは、蓮華率いる孫呉だ。

兵の練度は三国でも一二を争う。


「なに、強いの?その三河兵って」


雪蓮の目が妖しく光る。


「んまぁ……戦国でもかなり上位に来る強さ、かな?」


この眼に捕捉されては剣丞も正直に答える外ない。


「ふ~~~~ん」


剣丞の言葉を聞くと、ニコッと、先ほどとは違う、灰汁の抜けたキレイな笑顔になる雪蓮。


「…姉様?あまり兵は傷つけずに制圧するという方向性。よもや、お忘れではないですよね?」

「だ~いじょうぶよ!ちゃんと覚えてるってば~。でも、相手が強いならちょっと手元が狂っちゃう事はあるかもしれないわよね?」


しれっと恐ろしい発言が口から漏れる雪蓮。

冥琳がいない今、なんとも心許ない。


「これは策殿の悪癖じゃからの。そろそろお歳とお立場を考え、少しは落ち着いてもらいたいもんじゃがのぅ」

「祭に歳のことは言われたくないですよーだ」

「…ほほぅ。策殿はこの老躯を労わるつもりは無いと見える」


漂う険悪な雰囲気。


「あぁもう!姉様も祭も公衆の面前で…思春、なんとかして頂戴!」

「無理です、蓮華さま」


にべも無く断る思春。


「はいはい、その辺で。二人とも充分に若いし魅力的だよ。一刀伯父さんだったら、きっとそう言うと思うよ。雪蓮姉ちゃんも、一刀伯父さんや冥琳姉さんが悲しまないように行動してよね」


思春が投げた仲裁を剣丞が拾う。

一刀を引き合いに出すあたり、手馴れている。

未来でもこういうことが度々あったことが窺えた。


「ぶぅ~…分かってるわよ」

「…そう言われては是非もないのぅ」


孺子のクセにやりおるわ、と祭も矛を収める。


「それじゃ、作戦通り越後勢は浜松城の抑えを。孫呉を主力にした本隊は漢中の制圧を。みなさん、よろしくお願いします!」

「「「応っ!!」」」






「さてと、どこから回ったらいいものか…」


漢中と言っても狭いようで広い。


「まずは綾那と歌夜を助けたいけど…」

「だったら、一度定軍山に行ってみるのが良いかもしれませんね~」


と風が提案する。


「定軍山?」


聞いたことがあるな、と剣丞は思った。


「三河の位置的に南鄭は消滅してますし、押さえるべき拠点は定軍山の辺りと、余裕があれば陽平関くらいでしょう。定軍山なら周辺を一望できますし、お目当ての方達も見つかるかとー」

「なるほど…」


一時期、漢中を領していた魏の軍師の話なら参考にしない手は無い。


「それじゃ、まずは定軍山を目指そう!」






――――――

――――

――




実は、星は傷だらけだった。

返り血で隠れているが、大小様々な傷を負っている。

満身創痍だ。


定軍山は敵兵で埋め尽くされていた。

そこを無理に突破したこともあるが、何より兵一人一人が強い。

魏の精兵の練度と、呉の兵の気概を兼ね備えているような強さを覚えた。

しかし、文字通り、帰り道は一人の命ではない。

趙子龍の決死行が始まった。


速度的には登るより降りる方が圧倒的に有利だが、敵も馬鹿ではない。

兵を伏せたり、関に拠って星の襲来に備えていた。


「ちぃ…面倒な」


岩陰に身を隠しながら、星は息を整えていた。

璃々を胸に抱いてることもあるが、万全を期された山道を下るのは骨が折れる。

この先にも小さな関があるが、強行突破しかない。

行くか。

そう、心に決めた時だった。


「ん?」


俄かに敵勢がざわめき始めた。

自分が見つかったわけではない。

そのざわめきの波は山下からやってくる。

何かあったのか?

いや、今はそれは関係ない。

これを好機と、その間隙を縫って、一気に関を突破した。

やがて山の東側に来たとき、星も思わず仰天した。


「孫家の牙門旗!?」


孫家のお家芸とも言える、双頭の牙門旗。

前曲に雪蓮、後曲の蓮華の旗が見える。

そして更に不思議なのが、


「詠に…月だと?」


本陣と思しきところには見たこともない図形の旗とともに、董旗と賈旗が掲げられていた。


「罠……ではなさそうだな」


前曲と戦っている敵兵の混乱振りを見るに、雪蓮がいることは間違いなさそうだ。


「渡りに船、か」


切り替えの早い星は、何故は捨て置き、はためく孫旗へと馬を走らせた。






――――――

――――

――




「あーーっはっはっはっはっ!!!」


雪蓮の高笑いが戦場に木霊する。


「いいわ…いいわよ!アンタたち、最高よ!」


文字通り、雪蓮がバッタバッタと三河兵を薙ぎ倒していく。

雑兵(失礼)の難易度設定がいい具合らしく、振るう剣速も三割り増しくらいになるほどご機嫌だ。


「ん~…そろそろ骨のある奴が出てきて欲しいわね~」


しかし、飽きが早いのも雪蓮。

いくら雑兵が強いとはいえ、所詮は雑兵。

このあたりで一騎当千の強者と剣を交えたくなっていた。


「雪蓮!」

「ん?」


呼びかけられた雪蓮は、声の方向へと顔を向ける。

そこには、


「あら…星じゃない?私の望みを叶えてくれるなんて、粋なことするわね!」


興奮状態の雪蓮は、星を認めると同時に斬りかかる。

が、


「雪蓮お姉ちゃんがいるの?」


星の胸にいた『者』の声で目が覚めた。


「あ、あら……璃々、ちゃん?あはは、ごーめんなさいねー?」


自分が恥ずかしくなったのか、訳も無く剣を背中に隠す雪蓮。


「ホントに雪蓮お姉ちゃんだ。よかったね、星お姉ちゃん」

「あぁ…」

「そういえば星、どうしてあなたが璃々ちゃんとこんな所に?」

「うむ。話せば長くなるのだが…ひとまずは、こ奴らをどうにかしないか?」


雪蓮の攻撃の手が止み、またぞろ二人を囲むように兵が展開する。


「ふふっ、賛成よ。あ、なるべく殺しちゃダメだって」

「ふむ、そちらにも事情があるようだ。心得た」


赤き暴風と、その風に美々しく舞う蝶。

華蝶と小覇王の狂宴は、そう長くはかからなかった。






――――――

――――

――




定軍山を制圧した剣丞たち。

本陣には傷だらけの星が入ってきた。


「星!アンタ、その傷…」

「すぐに手当てを!」

「大事無い。それにしても、本当に月と詠であったか。それに…」


星が本陣詰めの顔を見渡す。


「私の見知らぬ顔も多いな。一体何が起こっているのだ?誰か説明してはくれぬか?」

「ふむぅ~星ちゃんのお言葉は尤も。それではここは、詠ちゃんの口からご説明いたします~」

「そこまで言ったならアンタがやりなさいよ!」


風のお惚けに、みすみすツッコミを入れてしまう詠。


「じゃあ風からお話しますね~」


風のゆったりとした独特の口調で、時に簡潔すぎるだろう、という説明もしばしばあったが、気脈が通じているのか、星は砂が水を吸い込むように事情を理解していった。


「なるほど。そちらの男性が主の甥御で、そのお仲間が先ほどの奴らに追われていると」

「はい、そうなんです。それでえっと…趙雲さん、何か心当たりはありませんか?」

「ある」

「そうですか、ありますか…って、あるんですか!?」


キレイに乗っかる剣丞。


「もしやその尋ね人は、綾那と歌夜という名ではないか?」




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