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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
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肆章・幕間壱日目 ~観光の章・午後~

どうも、DTKです。

お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、68本目です。


この前から始まった幕間、拠点フェイズです。

恋姫OROCHIならではのクロストークにご期待?下さい!

今回はあんまりクロスしてないけど…




「ここが玉璽が落ちてた井戸だよ」


ここ洛陽で、三国志でもこの世界でも起きた名シーンといえば、やっぱりここだろう。

雪蓮が(三国志では炎蓮さんだけど)伝国の玉璽を拾った空井戸だ。


「ここが、あの玉璽が落ちていた井戸なんですね~」


秋子さんがまじまじと井戸を覗き込む。


「この中から光が溢れていたんですよね?」

「えぇ、残念ながら私はその場に居なかったけど、そう聞いているわ」


その場に遭遇したのは俺と雪蓮と冥琳、そして明命だっけか。


「へぇ~すげ~っすね~!」


柘榴もはしゃぎながら井戸を覗いている。

やっぱりいつの世も、聖地っていうのは喜ばれるものなんだなぁ。


「そういえば、皇帝って、まだいるの?」


あまり井戸に興味なさそうだった松葉が尋ねてくる。


「うん。一応、いるよ」


色々あって市井に身を置いているけど、まだ二人とも存命だ。


「まだ皇帝がいるのに、スケベ伯父さんたちが三国治めてるっすか?」

「…禅譲?」

「いやまぁ、色々あってね。その娘たちの身分は皇帝のままなはずだよ」

「それって大丈夫なんすか?」

「まぁ本人達にその気がないみたいだし…形式的には、足利幕府と美空たち大名の関係に近いのかな?」

「あ~、名だけあって実が無いってやつっすね~」

「なるほど、分かりやすい」


一葉たちには申し訳ないけど、納得してもらえたようだ。

華琳たちは、いずれ俺を皇帝的権威につけ、空丹たちを王や列侯に遇するなどの検討を進めていた。

今回の騒動で沙汰止みになってるけど、俺達の子の世代・孫の世代のために、どういう制度が良いのか、真剣に考えていたりする。


「母上!愛菜も中を見てみたいですぞ!」

「はいはい、こっちにいらっしゃい」


秋子さんに手招きされる愛菜。


「あっ…」


そんな愛菜を見て、空ちゃんが聞こえるか聞こえないか位の声をあげた。


「空ちゃんも見たいよね」

「え…あ、はい!」


笑顔になる空ちゃん。


「そしたら…空ちゃんは蓮華が抱っこしてあげたら?」

「えぇっ!?わ、私?」

「いいよね、空ちゃん」

「はい。お願いします、蓮華さま」

「う……わ、分かったわ!」


両手をグッと握り締めて、戦場に赴こうかという程の気合を入れる蓮華。

あまり子供を抱くのが上手くない蓮華だけど、空ちゃんくらい大きい娘なら大丈夫だろう。

秋子さんと蓮華に抱き上げられ、愛菜と空ちゃんは井戸を覗き込む。


「わぁ……深い…」

「何も見えませんぞ、どーーーん!!」


どーーーん…どーーん…どーん…


空井戸だから、愛菜のどーんが山彦のように反響する。


「どーーん!どーーん!」


それが面白いのか、秋子さんの腕の中ではしゃぎながらどーんを連発する愛菜。


「ちょっ…愛菜、あまり暴れたら危ないわよ」

「どやぁ?」


くるんと、無理に振り返ろうとしたのがいけなかった。


「愛菜っ!」


秋子さんの腕から滑り落ちる愛菜。

そのまま井戸の中へ…


バシッ!ガシッ!


「ったく。気をつけるっすよ、愛菜」

「…危ない」


頭から落ちそうになったところを、いつの間にか井戸の側まで移動していた柘榴と松葉が、足を掴んで引き上げる。


「どやぁ…」


さすがにバツの悪いそうな顔をする愛菜。

上着がペロンと捲りあがり、見えてはいけない所まで見えそうになるので、慌てて目を背ける。


「はぁ…まったくもう、あなたって娘は。心臓がいくつあっても足りないわ」


無事、地面に降ろされた愛菜を見ながら、秋子さんが大きな胸を押さえる。


「んまぁ~、とにかく無事で良かったよ」


高まった緊張が一気に緩まる。


「…あれ?愛菜、髪飾りは?」

「どや?」


空に言われて自分の頭をまさぐる。

愛菜が飾りをつけていた位置に、それはなかった。


「あちゃ~…落ちちゃったんすかね?」

「逆さまだったから…」


柘榴と松葉が井戸を覗き込むが、見えるわけも無く…


「どや゛ぁぁぁ~~~~!!!」


突然、愛菜は火がついたように泣き出す。


「あぁ…もう。あなたが悪いんですよ愛菜。暴れないでって言ったのに暴れたりするから…」

「どやあぁあぁ~~!!!」


愛菜が泣き止む様子は無い。

あれだけ喜んでたんだから、無理もない。


「よし!それじゃあ、俺が井戸に降りて取ってくるよ」

「えぇ!?一刀さん、そんな悪いですよ」

「いいっていいって。だから泣き止んで、ねっ?」


俺は地面に片膝をついて愛菜と目線を合わせる。


「え゛っ……ぐっ…ど、どやぁ?」

「うん、本当本当。だから、ね?」


服の袖でゴシゴシと目をこする愛菜。

うん。泣き止んでくれたみたいだ。


「それじゃ、縄かなにか探してこないと…」

「いいわよ一刀。私が探してくるわ」


言うや、蓮華が俺を制して駆け出してしまう。


「出来た方ですね」

「うん。本当に、俺なんかには勿体ない子だよ」

「しっかしスケベ伯父さん、縄くらいで降りれるっすか?結構深そうっすよ」


井戸を覗きこみながら柘榴が言う。


「底も、見えない」


髪飾りは日に当たれば光るような外装なので探しているのだろうが、松葉の目には捉えられないようだ。

元々街の端にあるような井戸なので、そうそう日も入らないんだけど。


「まぁ実際、明命が降りて玉璽を拾ってきたんだし、降りれないことはないでしょ」

「一刀!縄、あったわよー!」


ちょうどいいタイミングで蓮華が縄を持ってきてくれた。


「よし!それじゃ一丁、行ってきますか」


縄をたすきがけのように身体に巻くと、反対側を柘榴と松葉に任せ、井戸の縁に足をかける。


「気をつけて下さいね、伯父さま」

「どやぁ……」


心配そうな顔つきで俺を見る空ちゃんと愛菜。


「うん。じゃ、行ってくるね」


安心させるように軽くガッツポーズをとり、俺は意を決して井戸の中に身を投じる。

中に入ってみると、思っていたよりも浅かった。

といっても、外の光は底まで届いていない。

踏まないように注意しながら底に降り立つと、手で辺りをまさぐる。

指先に当たる硬い感触。

割とすぐにお目当てのものを手に出来た。


クイクイッと命綱を二回引っ張り、引き上げての合図。

するすると闇の底から光へと…


「おかえりなさい、一刀」


光の中から出迎えてくれたのは、蓮華だった。


「うん、ただいま」


差し出してくれている手を取り、井戸から脱出する。


「はい、愛菜」


胸ポケットから飾りを取り出し、手巾で軽く拭いて、愛菜の手へ。


「あ…」


それを信じられないような目でジッと見ている。


「ほら、愛菜」

「う…あ……ありがとう、ござい…ます……」

「え?」


最後の方は小さくてよく聞こえなかったけど…


「うん、どういたしまして。もう落とさないようにね」


ポンと愛菜の頭を撫でる。


「――!……ど」

「ど?」

「どやぁぁぁ~~~~~!!!」


俺の手を振りほどき、奇声を上げながら何処へともなく駆け出す愛菜。


「ちょ、ちょっと愛菜!どこ行くのよ!?」


慌てて後を追う秋子さん。


「ふふっ。愛菜、照れくさかったんだと思います。素直にお礼を言ったこと、ほとんどないですから」


そう言いながら微笑を浮かべる空ちゃん。


「愛菜と秋子さんも行っちゃったことっすし、解散ってことでいいっすかね?」

「え?あ、うん」

「今日は、なかなか面白かった」

「伯父さま、失礼致します」


空ちゃんを連れて柘榴と松葉も愛菜たちを追って、この場を後にする。

終始ドタバタ続きだったけど、とりあえず長尾勢の案内は成功?した。






「ふぅ……」


無事に一仕事を終え、軽く一息。


「改めてお疲れ様、一刀」

「ううん。蓮華の方こそ、なんかあちこち走り回させちゃって、ゴメンね?」

「気にしないで。私も、彼女達の案内を通じて思うところがあったから…」


そう言うと、自分の両手を見つめる蓮華。


「空ちゃんを抱き上げた時にね、やっぱり子供って可愛いな、って思ったの」

「うん、そうだね」


普段、あまり孫登のことを抱いてあげられないこともあるのだろう。


「……二人目。欲しくなっちゃったな」

「え!?」

「今度はちゃんと、自分で育てられるように、ね」

「あ、あはは……そ、そうだね」


蓮華の大胆発言で真っ赤になった俺の顔を隠してくれるように、赤い西日が、俺たちを照らしてくれていた。






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