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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
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弐章・弐ノ弐ノ弐 ~少女の名は~

どうも、DTKです。

お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、41本目です。


今回は陳留編の二本目。

かの少女の正体が明らかになります。

色々と思索して頂けたようで、嬉しい限りです^^


なお、実際の地形や距離とは異なった表現があります。

その辺、お含みおき頂ければと思いますm(_ _)m





………………

…………

……




「記憶喪失だな」


早速呼び戻した華佗に少女を診てもらった結果は、記憶喪失だった。

その少女はと言えば、華佗の診察中も俺の腕を掴んで離さなかった。

おかげで俺も華佗の正面に座る破目となり、俺まで診察を受けてる感じだった。

しかも時折、この娘が頬ずりや首筋の匂いなどを嗅いでくるので、ハッキリ言って落ち着かない。


「記憶喪失~?」


騒ぎを受けてやってきた風が、半分寝ている顔に?マークを浮かべる。


「そうだ。頭や身体を強く打つなどの拍子に、記憶が一時的に失われてしまう症状のことだ。この娘の場合は、幼児退行も併発してしまっているようだが…

 この娘は黄河のほとりに倒れていたのだろう?誤って河に落ちた拍子に、どこかを打ち付けてしまったのかもしれないな」


そないなことあるんかいな、と俺の腕にしがみつく少女を見やる真桜。


「それじゃあ、この娘はずっとこのままなの~?」

「いや、先程も言ったとおり、基本的には一時的なものだ。ただ症例が極端に少ないため、詳しいことまでは解明されていない。だから治療法が確立されていないんだ。そうだ一刀。記憶喪失について、何か天の知識はないか?」


思いついた、という感じに俺に尋ねてくる華佗。


「う~ん…医学を学んでいたわけじゃないから、詳しくは分からないけど…」


と前置きをして、


「記憶喪失はリラックス……心が安らいでるときに、ふっと思い出すことが多いって聞いたことがあるかな?例えば家族と過ごすとか、森の中を歩くとか、そんな感じ」

「なるほど、理にかなってるかもしれん。となると……」


華佗は俺の右腕の少女を見やり、


「彼女にとっては、この状態が一番良さそうだ」


緩みきった少女の顔から、そう断言する。


「てか隊長、ホンマにこの娘ぉに見覚えないんか?その辺でちょっと引っ掛けたとか、つまみ食いしてきたとか」

「んなことしねぇよ!」


お前は俺のことをどんな目で見てるんだ!


「お兄さんのこと、ご主人様ー、って呼んでるなら、蜀の人ではないのですか~?」

「う~ん…見覚えはないけど…」


さすがに俺も、蜀の武官文官を全て覚えているわけじゃない。

でも、ここまで懐いてくれる娘なら、俺の記憶に残っていると思うけどな。


「何か、身元が分かりそうなものとか持っていなかったのか?」

「そういえば~」


提げていたカバンに手を突っ込む沙和。


「この娘を見つけたとき、手にこれを持ってたの」


と何かを取り出した。途端、


「あぁ~~~!!」「キャッ!」


沙和に飛び掛って、手にしていたものを分捕る少女。


「大丈夫かいな沙和!おいアンタ、沙和に何さらすねん!」

「いいの真桜ちゃん。沙和、ビックリしただけだから。ごめんね?大事なものだったの?」


へそを曲げてしまったのか、取り返したものをしっかりと胸に抱きしめ、プイッとそっぽを向いてしまった。


「こんなに強い反応を示すとは…いったいどんな物なんだ?」


華佗が沙和に尋ねる。


「どんなって…何の変哲もない木彫りの人形みたいのだったの」

「人形、ねぇ」


もしかしたら何かの手がかりになるんじゃないか?


「ねぇ君。よかったら俺に、それを見せてくれないかな?」


警戒させないように優しく聞いてみる。


「ん!ん!」


すると、コクコクと頷きながら、グイッと俺に向かって差し出してくれた。

手にとってもいい、ということだろうか?


「それじゃ、失礼して…」


そっと手にとって見ると、人形と言うよりは胸像といった方が近い物だった。

長さが大体20cmくらい、直径が10cmくらいの、薪に使うには少し小さい木片に、かなり精巧な女の子の顔が彫られていた。

ニッコリと笑っている女の子の表情は、まるで生きているように感じられる。

風に沙和、真桜、そして華佗も興味深げに、俺の肩越しに覗き込んできた。


「おぉ~……これは、また…」

「これは…素晴らしい品だな」

「なんやこれ……メッチャ上手いやん」


木彫りの人形の出来に、それぞれの言葉で最大限の賛辞を口にする風、華佗、真桜。

沙和だけは、三人より少し長めに人形を見つめ、


「…この顔って、もしかしてこの娘なんじゃないの?」

「え?」


沙和の指摘に、少女と人形を見比べてみる。


「本当だ。そっくりだ」


服装や髪型が少し違うので気付かなかったが、この抜けるような笑顔は、この娘の特徴をよく掴んでいた。


「すごいよね~。ねぇ?これって、誰が作ったの~?」


沙和が子供に話しかけるように、少女に目線を合わせる。

少し警戒していたが、沙和の純粋な様子にそれを緩めると、


「ん!」


と指を指した。その先は……


「…ん?」

「お兄さん?」

「……隊長やて?」

「へぇ~、隊長こんなに手先が器用だったの~?」

「いやいや、この娘を助けたときに持ってたものを俺が作れるわけないだろ?大体、俺はこんな春蘭みたいに器用じゃないぞ?」


春蘭は華琳限定だけど。


「しゅんらんさま」

「ん?」


今なんて?


「しゅんらんさま」

「え??」


何故か、少女の口から春蘭の名前が出てきた。


「春蘭のこと、知ってるの?」

「?」


首を傾げ、頭に?マークを浮かべる少女。

ただ単に俺の言葉をオウム返しにしただけなのか?

でも俺は、春蘭さま、とは言ってないしな…


「なら、これは春蘭さまが作ったんかいな?」

「ん~ん!!」


不機嫌そうに首を振ると、またしても俺の方を指差してくる。


「う~ん……」


堂々巡りだ。


「どこかにお兄さんのそっくりさんでもいるんじゃないですか~?」

「なのかなぁ~?」


ポリポリと頭をかく。

こう言っちゃなんだけど、その辺にいる顔でもないと思うんだけどなぁ。


「それより、隊長はしばらくその娘についていてあげるといいの。外のお仕事は私と真桜ちゃんでやっておくから」

「その方がいいだろう。一刀と一緒にいるのが一番、この娘にとって安定した状態にあるようだ。なるべく俺の方も、時間が空いたらこちらに顔を出すようにしよう」

「なら、書類仕事は風が手伝うですよー」


沙和の案に華佗も賛意を示し、風も乗ってくれる。


「そうか?それじゃあ、お言葉に甘えるとしようかな」


まぁ、書類仕事ならこの娘と居ても少しは出来そうだし。


「貸し一つやで、隊長」

「いや、代わりに二人の分の書類仕事もするつもりだったんだけど…」

「それはよろしゅう頼むけど、貸しは貸しやん」


と真桜に押し切られ、飯をおごる約束をさせられてしまった。

…まぁ、いいけどね。


「さて、それじゃあ……あ~、そう言えば華佗。確か、この娘の名前は分からなかったんだよな?」

「あぁ。問診の時には答えられなかったな」

「お人形にも名前とかはなかったのー」


お兄さんが聞いたら喋ってくれるのでは~?

と風。

いつまでも名無しじゃ可哀想だし、ダメ元で聞いてみるか。


返した人形を見ながらニコニコと笑っている少女に、


「ねぇ?君の名前、教えてくれるかな?」

「?」


聞いてみるが、先程のように?を浮かべる少女。

そうだよなぁ。ドラマとかで見ても、名前が一番思い出せなかったりするもん…


「こなみ!」

「え?」

「こなみ!」


少女は自分自身を指差し、同じ言葉を口にする。


「こなみ……小波、かな?それが、君の名前なの?」

「ん!ん!」


持っている人形と同じ笑顔を浮かべながら、コクコクと勢いよく頷く、小波。






かくして、記憶をなくした少女・小波と過ごす不思議な生活が、しばらく続くことになった。







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