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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
28/107

零章・壱ノ参 ~合流~

DTKです。

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、28本目です。


先ごろ1章完結しましたが、2章突入前に今まで全くスポットの当たっていなかった地域に光を当ています。

時系列的には序章の並び、過去改変前のお話です。


漢中という地域で何が起こっていたのか?

今までに書いた話とリンクするところもあれば、これからの話とのつなぎになる部分もありますので、もしよろしければお付き合い下さいm(_ _)m


なお、実際の地形や距離とは異なった表現があります。

その辺、お含みおき頂ければと思いますm(_ _)m




「「はぁっ……はぁっ……」」


二人の少女は必死に馬を走らせていた。

後ろから迫り来る部隊から逃げに逃げ、住み慣れた土地を出ると、そこは見たこともない場所。

それでも、ただ、逃げる。


本来、二人の少女は一騎当千の武将であり、二人で相手をすれば太刀打ち出来ないことはない。

少なくとも、武士の名折れともいえる、背中を見せての逃亡を余儀なくされることはない。


「くぅっっっ――――!!」


二人の少女のうち、短髪で身体の小さな少女は泣いていた。

歯が割れんばかりに食いしばり、必死にこらえようとしているが、後から後から涙が沸いてくる。

それは背を見せて逃げている恥ずかしさでも、戦えない悔しさでもない。


涙の理由はただただ……






――――悲しかった。






――――――

――――

――




「いたのだっ!」


定軍山を一人駆け出した鈴々は、前方に少女らを捕捉した。

少女たちが乗る馬の脚は鈍っており、今にも後ろの部隊に追いつかれそうだ。


「うりゃりゃりゃりゃーーー!!!」


少女らとすれ違いながら、彼女らを追っている部隊に突撃をかける。


「「――――っ!?」」


少女らは慌てて馬を止める。

突然現れた鈴々に面を食らっているようだ。

敵部隊も同じように歩みを止める。

膠着した、ちょうどその間に、鈴々が仁王立つ。


「鈴々、弱いものいじめは許せないのだ!!さぁっ!どっからでもかかってくるのだ!!」


蛇矛を頭上で二回、ブゥンと回し、ダンッ!と地面に叩きつけ、大見得を切る。

しかしそれにも怯まず、濁った目をした敵兵は黙ったまま、鈴々に立ち向かってきた。


「にゃにゃっ!?」


これには逆に面食らう鈴々。


「「「…………」」」

「にゃっ!ふっ!ほっ!うわぁっ!?」


多方向からの剣戟を受け止め、躱す鈴々。

しかし、一騎当千、三国最強の一人である鈴々が、いかに虚を突かれた上に多勢に無勢とはいえ、やや押され気味になる。

この兵、一人一人がかなり強い。

それでも何とかやり過ごす鈴々。


「くっそー!!鈴々、本気を出しちゃうのだっ!!」


いざ、攻めに転じようとした、その時。

微かに何かが焦げるような臭いが、鈴々の鼻をつく。


「――危ないっ!前っ!!」

「にゃ?」


パパーーンッ……!!


多数の乾いた音が轟き渡る。


キンッ!キンッ!チュインッ!


とほぼ同時に、高い金属音が鳴り響く。


「あ……あ……」


鈴々に、危ない、と呼びかけた黒髪の少女は口元を押さえ、絶句した。

何故ならあの兵器、火縄銃の威力を知っていたからだ。

十丁の一斉射撃を必中距離で浴びせかけられ、助かるわけがない。

自分たちのせいで見知らぬ少女が一人、目の前で亡くなってしまった。

そう思ったところに、


「あっ……ぶなかったのだー!」

「えぇ~~っ!?」


鈴々の声が聞こえ、戦場に似つかわしくない抜けた声で驚く少女。


「あの人、十発中九発を、あの槍みたいので弾いたです。すごい反射神経です……」


短髪の少女は、鈴々が助かった理由を説明する。

高速で飛来した鉛玉のほとんどを、蛇矛で弾き飛ばしたようだ。

鈴々の眼力もすごいが、それを視認できたこの少女も只者ではない。

涙で濡れていた瞳は、思わぬ強者を見つけたおかげで、少し輝きを取り戻していた。


「おーーい!ありがとなのだーー!!」


少女たちの方に、ぶんぶんと手を振る鈴々。

その右頬には一筋、赤い線が入っている。

蛇矛で弾ききれなかった鉛玉を、僅かに避けきれずについてしまった傷だ。


「鈴々ーー!!」


そこへ桔梗が兵を引き連れてやってきた。

兵はすぐに相手を牽制するように槍を構えて、鈴々の前に並び立つ。


「なんだー、結局桔梗も来たのかー」

「来たのか、ではないわ、この馬鹿者がっ!」


ゴチンッと一発、拳骨を脳天に振り下ろす。


「いっ……たーいのだーーー!!!」


頭を押さえ屈みこむ鈴々。


「なにするのだっ!」

「……さっきの轟音はなんだ、鈴々」


抗議する鈴々の肩をぐっと引き寄せ、真面目な顔で見つめる桔梗。

鈴々も意を汲み、それに応える。


「よく分かんないけど、あの鉄の筒みたいのから、すごい早さで小さい鉄の塊が飛んできたのだ。多分、直撃したらタダじゃすまないのだ」


鈴々は敵方の兵器の後、自分の右頬を指して、そう説明する。

なんにしても、相手が未知の強力な兵器を持っていることに変わりはない。


「鈴々、とにかく今は退くぞ!そこの娘らも、よいな!?」

「は、はいっ」


こうして、撤退戦が始まった。






――――――

――――

――




「鈴々!桔梗!」

「「星っ!!」」


未知の敵を相手に撤退戦をしているところへ、星がやってきた。


「今しがた、輜重隊に持てる限りの物資を持たせ、陽平関へ向かわせた!少々時間を稼いだ後、我々もそちらへ退くぞ!!」

「分かったのだっ!」

「ならば星、お主はこの娘御らを守り、先に陽平関へ向かってくれ!」

「あい、分かった!さぁ、こちらに……む?」


二人の少女を見るなり、訝しげな目を向ける星。


「星っ!早ぉせんか!」

「…あ、あぁ。さぁ、こっちだ」

「は、はい…」


星に促され、撤退する少女たち。

自分たちを追ってきた兵が怖いのか。

二人とも悲愴な表情をしながら、たびたび後ろを振り返る。

二人は見えなくなるまで、後ろを振り返り続けた。




…………

……




「あ゛ぁーーーーーーーー!!!」


ダンッ!ダンッ!ダンッ!と豪天砲が唸りをあげる。

未知の射撃兵器があるため迂闊には近付けない。

なので、豪天砲で牽制しながら、少しずつ退く。

幸いにも、発射するときに発生する焦げた匂いを鈴々が感じることができるので、大事には至っていない。

弓と豪天砲で牽制しつつ、鈴々が防御に回る。

何とか大きな被害を出していないが、鈴々たちが厳しい撤退戦を強いられていることに変わりはなかった。






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