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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
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零章・壱ノ弐 ~決断~

DTKです。

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、27本目です。


前々回投稿で1章完結しましたが、2章突入前に、前回から今まで全くスポットの当たっていない地域に光を当ています。

時系列的には序章の並び、過去改変前のお話です。


漢中という地域で何が起こっていたのか?

今までに書いた話とリンクするところもあれば、これからの話とのつなぎになる部分もありますので、もしよろしければお付き合い下さいm(_ _)m


なお、実際の地形や距離とは異なった表現があります。

その辺、お含みおき頂ければと思いますm(_ _)m



突如、眼前に起こった異変。


内部に斥候を放ったが、中には南鄭の影も形もなく、やはり全く見慣れぬ土地であったそうだ。

巻き込まれなかったのは幸いだったが、南鄭に詰めていた兵八千の行方は分からず、桔梗ら漢中軍は兵の大半を失ってしまった。






「どうするか……」


鈴々、星、桔梗の三人は、斥候の持ち帰った情報をもとに今後の方針を話し合っていた。

兵を失ったこともそうだが、一番の懸念事項は、異変内部に兵と思しき者が散見されたことだ。

城壁で囲まれていない大きな街があり、詳しい数は分からないが、こちらの今の兵数より多いことは間違いないらしい。


「詰まるところ、我々に取れる道は二つしかない。本国に援軍を頼み、この場に留まるか。漢中をいったん放棄して退却するか、だ」


星が一つ、二つと指を立てて案をあげる。


「鈴々、逃げるなんてしたくないのだ!…でも」

「ふむ…状況は厳しいな……」


漢中に留まりたい気持ちは皆同じだが、それが叶わぬということも、みな分かっていた。

まず、補給の問題がある。

物資のほとんどは南鄭にあった。

野営用で陣にも幾分かはあるが、長期戦はできない。

そして有効な拠点がない。

漢中の拠点は、南鄭を始めとして軒並み異変で消えてしまった。

ここ、定軍山は漢中全域を見渡すことができ、守るに易いが、囲まれる恐れがある。

そして囲まれたら逃げ道はなく、また補給の問題に戻る。


「……撤退、しかあるまい」


苦々しい表情を浮かべながら桔梗が断を下す。

これが年長者の役目だと。


「すまない、桔梗。この責は我々に等しくある。叱責は皆で受けよう」

「なのだ!」


無念の撤退だが、かえって団結は高まった。




…………

……




「撤退じゃ!急いで荷造りをせぃ!!」


定軍山山頂では撤退準備が始まった。

ちょっとした野営陣とはいえ、運ぶものは多い。

武具・糧食・天幕用の幕などなど、細かいものをあげたらキリがない。

ましてや、巴蜀に抜けるまでまともに補給はできない。

米一粒、釘一本とて無駄にはできない。

なので、物見を除いた総員で荷造りにかかっており、手空きの者は一人もいなかった。


桔梗は陣中央でそれらの指揮監督をしていた。

そこへ、


「ねぇねぇ、桔梗お姉ちゃん」

「うん?」


ちょんちょん、と下から服が引っ張られた。


「おぉ、なんだ璃々?」

「璃々も、おてつだいする!」

「ん……しかしなぁ……」


璃々の申し出はありがたいが、子供の遊びではない。

さて、どう断ったものかな、と桔梗が考えていると、


「みんな、いっしょうけんめいにおしごとしてるのに、璃々だけなにもしないなんてできないよ!」


癇癪を起こしているわけでも、駄々をこねているわけでもない。

幼いながらも、一人の人間として、自らに役割を求めていた。

その強い意志を宿した目は、どこか母の紫苑に似ていた。


「…分かった。璃々にも何か仕事を与えよう」

「やったー!!」


先程の真剣な顔つきから一転、年相応に両手をあげて喜ぶ璃々。


「そうだな……おーい、星!」

「なんだ、桔梗」

「璃々に何か仕事を与えてやって欲しいのだが…」

「璃々に?…やれやれ、強情さは母親譲りか」


と、笑みを浮かべる星。

察したようだ。


「そうだな…ならば、食器など小物の整理がよかろう。こっちだ、璃々」

「うん!」


手招きする星に、てててーとついていく璃々。

その背中を、我が子のように見つめる桔梗。


わしも早く、やや子を授かりたいのぅ…


そんなことを考えていると、


「厳顔さまっ!」


物見をしている兵が慌てて飛び込んできた。


「どうしたっ!?」

「異変の中から、武装している部隊が出て参りました!!」

「なんだとっ!?こちらに兵を差し向けてきたのか!?」

「いえ、それが……」




…………

……




「……あれは?」


異変内部より出てきたと思われる部隊、約数千がこちらへ向かってきている。

こちら、とは方角だけで、桔梗の見た限りでは定軍山を狙っているわけではなく……


女子(おなご)、か?」


部隊の前方を馬に乗り、少し離れて進んでいる二人の少女。

パッと見、あの部隊は少女たちを追っているように見受けられた。


「これは…罠か?」


あの二人が追われているように見せかけて、こちらを釣り出そうとしているとも取れる。


「ワナじゃないと思うのだ」

「――っ!り、鈴々……いつの間に」


突然、背後から出てきた鈴々に驚き、胸を押さえる桔梗。

心臓によろしくない。


「あの娘たち、本当に苦しそうな顔してるのだ。だからワナじゃないと思うのだ」

「しかしなぁ…」


そういう演技をしている可能性もある。

ただ、鈴々の直感はこういうとき往々にして当たる。

しかしこの状況下、軽率に軍は動かせない。

どうしたものかと、桔梗が考え込んでいると、


「なら、鈴々一人で行ってくるのだ!」


言うなり、蛇矛片手にビュンと駆け出すと、あっという間に見えなくなってしまった。


「あ、おい!待たんか鈴々っ!!ったく、あの猪武者め…」


バリバリと後頭部を掻き毟る。


「星!星はおるかっ!!」

「なんだ、騒々しい」

「異変内から兵が出てきおった」

「―なんだと?」


星の顔が呆れ半分から真剣な顔つきへと一瞬で変わる。


「どうやら二人の少女を追跡しているらしく、それを助けるために鈴々が単騎で突出しおった!

 取り急ぎ、わしが五百ほど引き連れ先行する!お主は残りをまとめて後から来い!!」

「あい分かった!」


任せろと、星は力強く頷く。

桔梗もそれに頷き返し、


「緊急出陣だ!騎兵を中心に五百を編成する!!我こそはという者は、わしの下に集まれぃ!!」


陣内に戻り、陣触れを出す。

しかし、さすがに五百も集まるのは時間が掛かってしまうのだった。






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