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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
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一章・参ノ弐 ~焼き討ち~

DTKです。

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、17本目です。


二条館を出た双葉たち。

その先に待ち受けたものとは…




双葉・幽・雫の三人は二条館を抜け出し、禁裏を目指した。

しかし二条館を出てすぐ、異変に気付いた。

北の空が赤く色付いているのだ。


「まさかっ!?」


烏丸小路を敵影に気をつけながら駆け上がる。

禁裏に近付くにつれ、パチパチと爆ぜる音が聞こえてくる。

そして……


「そ、そんな…」


音を立てて燃えているのは、禁裏の正門、建礼門だった。

それだけではない。火の回り方から見るに、四方同時に焼き打たれ、火の手は禁裏全体に渡っていた。


「い、いったい誰がこんなことを…」


双葉はそう言うが、幽と雫に見当はついていた。

こんな図ったような焼き討ちを鬼が出来るとは思えない。

それに、このような想像の斜め上を行くような所業が出来る人物など、今この京に一人しかいなかった。


「これはこれは。征夷大将軍の御妹君に、幕臣随一の切れ者。それに小寺の小倅ではないか」


哄笑を浮かべながら悠々と現れたのは、松永弾正、白百合だった。

その表情は愉悦で占められている。


「し、白百合、さん…」


この状況であの笑顔をしている白百合に、双葉は歯の根が上手く合わない。

しかし、これだけは聞かなければと、勇気を振り絞って言葉を紡ぐ。


「しゅ、主上は…主上は!いま、何処(いずこ)に…?」

「知らぬわ。まぁ、鼠一匹外に漏らしてはおらぬから、まだ中に居るのではないか?」

「そ、そんな…」


ごうごうと燃え盛る禁裏に目を向ける。

その瞬間、門の一部が音を立てて崩れ落ちた。


「…梟殿。また大それた事を致しましたな」


幽の口調は普段のそれと変わらないが、言外に深い怒りが籠められている。


「そうです!日の本開闢以来の皇統に対してなんてことを…」

「そんなものに拘るのであれば、その辺を探せばいくらでも居ろうて。何なら以仁王(もちひとおう)でも探したらどうじゃ?」


雫の言葉を遮るように白百合が嘯く。


「そも!何故、皇室が尊い?天照大神の詔があるからか?否っ!元々、葦原中国は大国主命のもの。国譲りなど、まやかしに過ぎぬ!!

 所詮、天皇家もそれを力で奪い取っただけ。根っこは我ら武士と同じ穴の狢よ」

「そ、それは…」


神話では『国譲り』となっているが、それが天皇家にとって都合よく作られた話であることは明白だ。

そんなことは時代有数の知識人である三人は良く知っている。


「そ、それでも!皇統には連綿と受け継がれていた歴史が…」

「歴史があらば偉いか?歴史があらば、力無く、ただ権威に胡坐をかいているものを尊べと?否っ!断じて否である!!」


立ち上る炎を背に、白百合の独演は続く。


「それは幕府とて同じこと。そもそも幕府など、武士が力で勝ち取った政権に過ぎん。それを後生大事に、無力な将軍家に何故従わなければならぬ?歴史上、無能で無力な者は優れたものに駆逐されてきた。その歴史の流れに従い行動することに、何の躊躇いがあろうかっ!!?」


狂気。

内に下克上精神を秘めながらも、冷静に日の本の将来を案じていた白百合の姿は無かった。


「…して、梟殿の目的は何なのですかな?今の京を占拠して、貴殿にいったい何の利がある?」


幽が目的を尋ねる。


「目的などあらじ。私はただ、正しき歴史の流れに沿ったのみ。ここを焼いたは大仏殿の代わりよ」


何を言っているかは分からないが、彼女が狂っていることは分かった。

幽たちは、じりじりと後退姿勢をとる。

そんな様子を見て、再び白百合が口の端を上げる。


「なぁに、心配せずとも細川と足利は逃がしてやるわ」

「なっ!?」

「口惜しいが、それが正しき歴史の流れ。我はそなた等に逃げられてしまった。何処へなりとも去ぬが良い。

 まぁ、その辺で鬼に喰われてしまうかもしれんが、そこまでは面倒見切れんな」


くっくっく、と含み笑う。


「この状況で我々を逃がすと?」

「あぁ。それがこの名と状況が持ちし宿命だからな。

 まぁ……小寺の小倅までは逃がしてやる義理は無いが、な!」


白百合が手を挙げるのを合図に、松永衆が弓矢を斉射する。

見逃すと言った幽と雫がいることなどお構いなしだ。


「くっ!ここは退きましょう!幽殿は双葉さまを!私が退路を見極めます!」

「承知した!」「はいっ」




…………

……




雫たちは今出川通を東進し、賀茂大橋の出口に陣を敷いた。

西から来る松永勢は鴨川を渡るにはここを通らねばならず、迎え撃つ側は正面の敵を狙い打てばよい。

川を渡ろうにも、ここはちょうど賀茂川と高野川の合流地点で非常に川幅が広く、それも難しい。

鉄砲を多く装備している姫路衆で迎え撃てば、長く防戦できる場所だった。



ここに、しばしの膠着状態が生まれた。




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