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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
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一章・参ノ壱 ~京洛情勢~

DTKです。

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、16本目です。


今回から山城編です。

導入ですが、事態はいきなり動き出します。




京、二条館


とうとう、恐れていたことが現実となってしまった。

駿河・越後・そして甲斐に続いて、京も同じような光に包まれ、何処かへと飛ばされてしまった。

前例が三件もあったため、糧食や弾薬などの補充は万全だったのだが…

京、山城国は獅子身中の虫を抱えることとなってしまった。




松永弾正。白百合である。


山城国が飛ばされる前、何故か本拠である大和・信貴山城を出て、宇治の平等院を接収し、五十弱の兵卒を駐留させていた。

一葉は何度か詰問使を送ったが、白百合に会うことすら叶わなかった。

業を煮やした一葉は、幽と雫を派遣。ようやく白百合と面会出来た。

駐留の名目としては、各地で異変が起こる中、京洛の治安維持に努めるため、ということだった。

それは幕府が責任を持って、姫路衆の力も借りながら行っている、と主張したが暖簾に腕押し。

幽をもってしても、のらりくらりと避わされてしまった。


最終的に、定期的に遣いを交わす約定を取り付けたのだが…






…………

……




「こ、これは……」


幽は松永名義で送られてきた桐箱を開け、絶句した。

そこには、幕府から出した遣いの首が入っていた。




…………

……




「公方さま、よろしいでしょうか?」

「入れ」


スッと障子を開き入室する。

室内には双葉もいた。

二人の周りには多くの書簡があり、執務中だったようだ。


「何があった、幽」


手を止めずに、そう聞く。


「はっ……松永弾正、謀反必定に御座います」


はっと息を飲み、持っていた筆を落とす双葉。

対して一葉はただ、そうか、と一言。


「雫を謁見の間へ。足利衆には召集をかけておけ」

「はっ!」


二条館が慌しく動き始めた。






謁見の間には一葉、双葉、幽、そして雫の四人が集まっていた。


「まさか、この状況で謀反を起こそうとはな」


当初、一葉たちは白百合の動きを、国が消え行く混乱を狙い、京を押さえるのが目的だと考えていた。

が、今は山城国そのものが異界へと飛ばされてしまった。

本国が大和の白百合にとって、補給路を絶たれた状態にある。

兵数も、足利衆に精強な姫路衆が加わった一葉側に分がある。

白百合側に勝ち目はないはずなのだが…


「う~ん、(かぶ)いておりますからなぁ、かの御仁は」


やれやれ、と肩をすくめる幽。


「しかし、白百合殿は勝機を見出さなければ動かない方。何か策があるのではないでしょうか?」


雫が冷静に分析する。


「でも……兵の補充などは、もう出来ない、ですよね?」


不安げな双葉。


「そのはずだ。だが余も雫の意見と同じだ。あの奸物が何の策も無しに事に及ぶとは思えん」

「まぁ、そうでしょうな」


一葉も幽も、雫と同意見のようだ。


「しかし、その策が何であるかが皆目見当もつかん」

「そうですな。今、この山城で将軍家に弓引く大勢力はありませんし、かと言って兵数差を覆すだけの策も思いつきませんな、それがしには。雫殿はいかがですかな?」

「う~ん…そうですね……」


顎に右手を沿え、考え込む雫。

やがて、ゆっくりと口を開いた。


「二つ、策が浮かびましたが、どちらも実行は難しいかと…」

「構わぬ。申してみよ。その中に何ぞ切っ掛けがあるやもしれん」

「…分かりました。それではまず一手。京洛の焼き討ちです」

「なるほど。それならば小勢にも可能ですし、情勢を引っくり返せるやも知れませぬな。しかし…」


幽は鷹揚に頷いて見せたが、語尾を濁す。


「そうなんです。先日の大戦の影響で、現在京にはそこまで家屋が密集しているわけではありません。よって効果は半減。夜討ちにさえ気をつければ炎に包囲されるということにはならないでしょう」

「ふむ…して、もう一つは?」

「もう一つは……畏れ多いことですが、禁裏を人質にとっての降伏勧告です」

「そ、そんな…」


絶句する双葉。


「なるほどな。それは有用な策だ」

「お、お姉様っ!?」

「何を驚く双葉よ。あの梟なら、必要とあらばやるぞ?」

「そうなんです。しかしながら……」

「そうですな。果たして、あの御仁がそこまでするだけの動機があるや否や…」

「…どういうことですか?」


双葉は首をかしげる。


「元々、白百合殿が織田方に与したのは、三好の非道な振る舞いに業を煮やしたこと。そして彼女なりに日の本の行く末を危惧してのことと聞き及んでいます」

「そうであったの。利と理を捏ね繰り回すきらいはあるが、彼奴は彼奴なりに矜持というものは持っていた」


一葉も首肯する。


「しかしながら、力無き者に従うのは如何ともし難いというのが彼女の持論。この状況で幕府をのさばらせておくのが我慢しがたいというのが、意外と動機かもしれません」


持論を口にすると、雫はキッと真剣な眼差しで一葉に言上する。


「そこで公方さま。私はこちらから先制攻撃をすべきだと主張いたします」

「雫!?」

「それは如何な理由で?」


驚く双葉。冷静に聞き返す一葉。


「はい。相手方に策があるにせよないにせよ、今のこの状況において、国内に火種を抱えるわけには参りません。使者の首を送り返してくるのは、事実上の宣戦布告。しかして戦力は当方が上。処分の程は別にして、白百合殿を無力化し、拘束することがまずは肝要かと」

「ふむ……」


しばし考え込む一葉。


「幽はどうじゃ?」

「それがしも雫殿とほぼ同じ考えですな。ただ懸念は、彼方が首を送りつけてきたということは、準備が完了した、とも取れますな。

 それがこちらを攻める準備なのか、こちらを誘い入れて討ち取る準備なのかは分かりませんが…」

「ふむ……」


再び思案をする一葉。

そして、ゆっくりと口を開いた。


「あい分かった。余の存念を話そう。余は……」


とその時、


「も、申し上げますっ!」


前庭に伝令将校が飛び込みながら平伏する。


「何事かっ!?」

「清水寺から、お、おぉ…お、鬼が出現しました!!」

「なにっ!?」

「周囲を破壊しながら、三年坂を下っております!も、目標はここ、二条館かと!!……そそ、それとっ……」

「それと、なんだ!!?」

「その鬼の軍団は……三階菱に五つ釘抜きの紋を、身につけておりました…」

「なっ――――」


三階菱に五つ釘抜きの紋は、三好氏の家紋。

それをつけた鬼となれば…


「申し上げますっ!!」


もう一人、違う伝令が駆けてきた。


「今度はなんだ!?」

「ま、松永軍が宇治平等院を出立!既に宇治川を越え、今にも洛中に迫る勢いとのこと!!」

「……なんと」


三好と思われる鬼の出現。

そして、それと時を同じくした松永の出兵。

偶然とは思えなかった。


「くっ……どうする!?討って出るか?」

「お待ちくだされ公方さま。三好軍の規模を前回と同等とすると、彼我の差は一転、当方の圧倒的不利と相成ります。討って出るのは危険極まりないかと…」

「ならばどうする?籠城せいというのか!?」

「それは下策ですね。そも、籠城とは援軍の当てがあって初めて行うもの。今の状況では籠城しても勝ち目はありません」

「むぅ…」


松永・三好の侵攻に、にっちもさっちも行かなくなった二条館。

しかし、魔の手は刻一刻と近付いてくる。

そんな最中、一葉が一つの道を捻り出した。


「……禁裏じゃ。禁裏に避難するしかない」

「なるほど。禁裏なら結界がありますれば、多少は持ちましょうが…」

「根本的解決には…」

「いいから行けぃ!議論している間が惜しい!」


渋る幽と雫を怒鳴りつける。


「お姉様っ!?お姉様はいかがなさるのです?」

「余はここで時間を稼ぐ!だからお前たちだけで早く逃げよ!」

「…御意」「…分かりました」


事ここに至って、幽と雫は観念した。


「お姉様…」


なおも心配そうな目で一葉を見つめる双葉。


「大丈夫じゃ。何も捨て駒になろうと言うておるのではない。下郎共に目に物見せてやったら、余もすぐに禁裏に向かう」


と、艶やかな双葉の髪を梳く。


「約束、ですよ?」

「あぁ、もちろんじゃ」


最後に双葉の頭を優しく抱きしめる。


「…幽、雫。双葉を頼んだぞ」

「はっ!」「この命に代えても」

「うむ。行けっ!!」






幽・雫・双葉の三人は幕府衆・姫路衆を引き連れ、一路禁裏へ。

一葉は二条館に一人残り、攻め寄せる敵を迎え撃つこととなった。


京洛を再び、戦火が襲う……






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