第8話 追われる心当たりは全く無いので
1話の続きなんです
ルーシアを狙っていたと思われる男二人を倒し、彼女は彼らの持ち物を物色する。
(冒険者証とあたしの人相書き、やっぱりあたしの捜索で雇われたか・・・つか人相書き、酷くね?)
恐らくルーシアを描いたと思われるその絵は、何となくルーシアの特徴を掴んでいるものの、お世辞にも上手とは言えない。とはいえ人相書きの下にご丁寧に本名まで記載されていては認めるしかない。しかもどこかで見たことがあるような感じもする下手くそ具合だが、そんなことはいちいち覚えちゃいないのが彼女である。
(それにしても、はやり追ってくるか。でも仕事は円満退職だったし、家族に向けた書き置きもカンペキだったし。軍があたしの動向を掴むには早すぎる。何がそこまでしてあたしをこの国に縛り付けたいのか・・・。)
何も問題なく出てきたつもりのルーシアだが、本人が知らない所で色々仕組まれていたりその他諸々の出来事は後々判明することとなる。
男二人を街道に引きずり出し捨て置き、ルーシアがあれこれ思考を巡らせているうちに、ウッズ家の荷馬車が追い付いた。
「・・・排除しておいた。」
いかにも盗賊をやっつけておきましたな体で言うルーシア。
「さすが魔導士さんだ、ちっこくても強いんだなぁ!」
「えぇ、殺しちゃったの?!」
「・・・気絶させただけ。こいつらが目覚める前に早くズースへ行こう。」
ズースへ向かい再び走りだす馬車。陽も傾き始め、空気がひんやりとしてくる。旅客用の幌馬車と違い、風防も何もないフルオープンの荷馬車に冷えた走行風が容赦なく吹きつける。
(・・・寒ッ! そうか荷馬車だとこうなるか・・・バッグの中にブランケットが確か・・・)
ルーシアが持つ小さなバッグはマジックバッグで、マギで製作されたものだ。空間魔法を付与されており、見た目以上に物が入るがルーシアが持つバッグはせいぜい野宿道具と着替え、2~3日分の食料程度しか入らない。それでも高価である。
ブランケットを取り出し、早速羽織った。これからの時間を屋外で過ごすのは、冷え症にとっては苦痛の時間の始まりである・・・。




