第7話 幸せな気分に水を差すヤツはどこにでもいるようで
ゴソゴソと荷物を漁り、何かの準備するハマー。
「・・・?」
ルーシアが不思議そうにその様子を見ていると
「あぁ、コレか?ルーシアさんお腹空いて無いか?今から蒸し芋作ろうと思ってな!」
「・・・いいんですか?」
(なんと?!早速甘芋を頂けるとは・・・)
「ちょっと待ってなよ。」
ハマーは携帯用の鍋の中に水を少々入れ、そこへ熱の魔石を入れる。ジュッという音と共にほわっと湯気が立ち上る。荷台にある甘芋をひとつ掴んで鍋に放り込み蓋を閉める。
「これでちょっと待ちゃ蒸し芋の出来上がりよ!」
索敵魔法をほどほどに使い、特にこれといった脅威もなく淡々と荷馬車を進め、ある程度の時間が過ぎた頃。
「そろそろかな?!」
鍋の蓋を開けるともわっと湯気が躍り出る。その中からタオルで甘芋を掴み取り出す。
「ウホッ! 熱ッ! 熱ッ!」
ハマーは甘芋をそのままタオルで包んだ状態で半分に割り、片方をルーシアに差し出す。
「ほら、食ってみ。うめぇぞ!」
「・・・いただきます。」
熱々ホカホカの甘芋を手渡され、タオル越しに受け取り口元に持ってくる。甘芋が放つ湯気で眼鏡がほんのり曇った。そして一口かじる。
(・・・あまーい! 熱々でホクホクでおいしい!! これよこれこれ!!)
空腹は最高の調味料とはよく言ったもので、昼食を食べ損ねたルーシアにとって美味しさはひとしおであった。
眼鏡を曇らせながら黙々を甘芋を頬張るルーシアを脇目に満足そうなハマー。そして先ほど半分にしたもう片方の甘芋を御者席のホーに渡す。彼は右手で手綱を、左手に甘芋を持ち、食べながら器用に馬を操る。
じっくりと味わいながら食べたいルーシアだが、索敵魔法展開のため気持ち早めに食べる。しかしそこは芋、案の定喉に詰まりかけた。
(ぐ・・・ッ?!)
「おっと大丈夫かルーシアさん、飲み物はあるかい?」
ハマーが水を準備するより先にルーシアは手を握り、水魔法で手の内に水を作り出し、それを飲み甘芋を胃に流し込んだ。水魔法が使えて良かったと思える数少ない場面である。
「・・・ふぅ、ごちそうさま、とても美味しかった。」
「そいつぁ良かった! また食いたくなったら言ってくれ!」
美味しい甘芋を頂いてお腹も膨れてシアワセな気分になったところで、再度索敵魔法を展開するルーシア。馬車は順調に進み、索敵範囲も進行方向に広がっていく。そして何かが引っかかった。大きさから察するに、おそらくは人間の大人2人。この先の森側で待ち伏せている感じだ。甘芋の余韻に浸りシアワセそうだった表情が一転、眉間にシワが寄り、生まれつきのジト目がより険しくなる。
「・・・何かいる。」




