第28話 格闘家とか武闘家ではないので
「しかしルーシアさん、強いのう。あっという間に山賊を凍らせてしまうなんて。」
再び動き出した乗合馬車の中。ギリアスがルーシアに話しかける。ルーシアは先ほどの件もあり、索敵魔法を展開しつつ他の乗客らと会話を交わすが、そこは根暗な性格ゆえ正直面倒臭そうである。
「・・・この杖はあたし以外の人間が触れると凍るようになっている。それが発動しただけ。」
「すごいですね!するとスゴウデの魔法使いさんですね!?・・・いや格闘術も凄かったから格闘家とか武闘家ですか?!」
ティアノンは目の前でルーシアに助けられただけあって、小柄なルーシアのその強さに興味津々のようだ。
「いえ魔導士です。」
そこはキッパリと言い放った。ルーシアとしては魔法が大好きだし、格闘術は身体強化魔法ありきの部分が多いので、格闘家とか武闘家とかと勘違いされたくはないし、そちらが本業の方々に失礼であると考えている。
ふと、彼女に僅かながら魔力があることをルーシアは感じ取った。本人は魔力があることを知っているのかどうかは不明であるが、先ほど退治した山賊頭にしろ、魔力を持つヒューマンはそれほど多くないのが現状で、あると分かれば重宝されるものである。
それだけに炎を発現させるほどの魔力を持った山賊頭は本当に残念な奴であるし、こういうのに加護を授ける精霊なども良く分からんとルーシアは常々思っている。
馬車は順調に街道を南進し、中央大陸の中心部にある火山国、クァイコーシュ公国の街に寄る。ルーシアと馬車の御者は緊急依頼の護衛を正式なものにする手続きのため冒険者ギルドに寄った。
とりあえずクァイコーシュまでの護衛ということで報酬を受け取ったところで、これまた緊急依頼で山火事の消火が舞い込んできたので、ついでにこれを受けた。
持ち前の水魔法で難なくこなし多額の報酬と冒険者のEからCへの飛び級ランクアップ、おまけに山火事の原因となったモンスターの素材もゲットできたので、ルーシアとしては思いがけない収穫となった




