第3話 冒険者登録はあっさりと出来そうで
冒険者登録をするためギルドに来た少女。中に入るとがらーんとしており、職員以外誰もいない。仕事依頼を掲示していると思われる板には、ほんの数枚の紙しかなく、その内容は農作物収穫や漁業の手伝いと、冒険者らしいモノは荷馬車の護衛と、害獣駆除くらいしかない。
そもそもこのクーレシア共和国、軍隊がしっかりしており、また寒冷地と言う事もありモンスターそのものの数は少なく、定期的に駆除しているので、冒険者に頼るようなことが無いのだ。
それでも冒険者ギルドの支部が存在するのは、薬などの素材となる植物の採集や、北大陸の珍しいモンスターの捕獲などの依頼があるためだ。そして冒険者も農作業などの依頼は命の危険が無いため、少額でも応じる者が一定数いるのだ。
「何か、ご用ですか?」
受付と思われる方向から、物腰柔らかそうな初老の男性が声を掛けてきた。彼女はその方向へ向き、フードを少し上げる。
「おや、お嬢さんかな? こんな所に何の用だい?」
「・・・冒険者登録をしに来たけど、ここであってる?」
物静かで身を隠すような少女を見た受付の男は何かピンときた顔で返す。
「そうか、海を渡るのか。まぁ深くは問うまい。身分証明の為の登録かな?」
「・・・その通り。中央大陸行きの船に乗るためにね。あと、魔導士だから何かしらの役には立つと思う。できる?」
「おお、魔導士さんなら身分証目的でも歓迎だよ。この用紙に必要事項を書いてくれ。」
渡された紙の必要事項記入欄は、名前、出身国、種族、性別、生まれ年、職業がある。
・・・名前?!
足が付くから本名を書くワケにはいかない。どうするか悩んで、本名からちょっとズレた感じの偽名を書くことにした。
名前:ルーシア・シリウス
出身国:クーレシア共和国
種族:エルフ
性別:女
生まれ年:○○○○年
職業:魔導士
「・・・これでいい?」
受付の男は記載事項をさらりと見て問題ないことを確認した。
「そうか、お嬢さんエルフだったのか、ならお嬢さんという年じゃないか。」
「いや、エルフの中じゃまだまだ若輩者だし、この見た目だからね、別に気にしてないよ。」
「ならよかった。ランクは一番下のEランクからだと試験も何も無く登録できるけど、それでいいかな?」
説明によると、ランクは上からS、A、B、C、D、Eとあり、Cまでなら実力次第で飛び級登録が可能とのことであるが
「まぁ、飛び級の試験官はこの寂れたギルド支部にはいないから、Eランクから始めてもらうしかないんだけどね。」
と苦笑いした。
「それで構いません、お願いします。」
しばらくして出てきたのは、首に掛ける紐がついた黒鉄色の板状の冒険者証。ランクアップや職業変更などは冒険者ギルドにある専用の魔道具で書き換えられる仕組みである。また、ある程度以上のランクになると色も変わるらしい。
「気を付けてな、良い旅を。」
男に見送られギルドを後にする。晴れてEランクの冒険者証を手に入れた少女、ルーシアは船に乗るべく港へ向かった。
「おお嬢ちゃん、遅かったじゃないか! 今日の船はもう出ちまったよ!」




