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第23話 おねーちゃんとお泊まりのようで

 「・・・そういえばマルファさん達、危険性が低い依頼をこなしてたんだっけ?」


 ルーシアが訊ねる。それにピンときたマルファ。


 「その通りです!もしかして?!」


 「・・・そのもしかして。ナターシャをノノシティまで送ってくれない?全然知らない人よりは安心だし。・・・いやちょっと心配かも?」


 ノノシティはルーシア、ナターシャの故郷である。首都ザッカナーウァに隣接し、魔法学校などがあり栄えている都市である。

 これから中央大陸に帰る予定のマルファらにとっては逆方向となるが、ほぼ安全な護衛依頼はオイシイので、断るのはもったいない。


 「今度はドジ踏みません!喜んでお受けします!テリー!ドリー!文句ないわね?!」


 有無を言わさず受けるマルファ。ま、しょうがねェか、な表情のテリーとドリー。


 「・・・それじゃ依頼出してくるから、すぐ受注して。あと、今日はもう時間的に余裕が無いと思うから、出発は明日で。いいね?ナターシャ。」


 「え、てことは今日はおねーちゃんとお泊まり?!」


 「・・・部屋は別だぞ。あたしが取ってある宿にナターシャの分を追加しておく。」


 「ちぇー。でもおねーちゃんとお泊まり!すっごく久しぶり!」


 マルファらの宿代も、護衛依頼なのでルーシアが持ち、明日の出発に備えてもらうことにした。


* ⁑ ⁂ ⁑ * ⁑ ⁂ ⁑ * ⁑ ⁂ ⁑ *


 夕食を済ませた後、宿のルーシアの部屋。マルファらの部屋を取ったせいで空室が無くなり、ルーシアとナターシャは同じ部屋で同じベッドで寝るハメになってしまった。テンション爆上げのナターシャとは対照的にルーシアはちょっと面倒臭そうである。容赦なくマシンガントークを浴びせかけてくる妹を無視するわけにもいかず、テキトーに半分聞き流す。


 「でもおねーちゃん、なんでコソコソしてたの?コソコソしてなくてもわたしは止めたけど。」


 (あぶない、コレ聞き流してテキトーに答えたらイカンやつだ。)


 「・・・それはね、軍の徴用から逃れるため。あたしがマギを辞めてフリーと知れば、軍が黙っているハズがない。あたしが立ち寄った痕跡とか残したら追って来るでしょ?」


 ルーシアはマギ在籍時、研究支援でクーレシア軍に護衛をしてもらったことがある。しかしルーシアの魔法があまりに強大であったため、逆に軍から支援要請が来るわ軍への移籍話は後を絶たないわという状況だった。事態を重く見たマギは、軍に名前バレしていなかったルーシアに秘匿名称を与え、軍と行動するときはそれで呼称していた。幸いにもこれが功を奏して、ルーシア退職後の軍によるルーシア獲得の動きの初動を鈍らせる効果が確認できるのはもっと後の事である。


 「でもおねーちゃんつよいからクーレシア軍に入ったら大活躍だよ?どうしてイヤなの?」


 当然の疑問である。ルーシアほどの魔道士であれば作戦行動で無双できるだろうし、好待遇は間違いない。


 「・・・クーレシア軍の軍事行動といえば基本雪山での魔物討伐とかでしょ。嫌にきまってるじゃない、そんなの。」


 「あ、そっかぁ。おねーちゃん寒いの大嫌いだもんね。」


 「そういう事だから、万が一軍から問い合わせがあっても、お姉ちゃんは東方諸島に行ったことにしてくれる?」


 「うん分かった。帰ってくるときもこっそりと、だね!」


 ここでルーシアは港でナターシャが最初に放った言葉を思い出した。マギからの苦情の件だ。これも忘れずに伝えなければならない。 


 「・・・あぁそうそう、マギからの苦情の件は『あの女に聞け』と返しておいてくれる?多分これで伝わるから。」


 「あの女??何かあったの?まぁいいや、そう伝えておくね。」


 「・・・よーしいい子だ。今日はもうおやすみ。」


 「・・・・・・すやぁ」


 「・・・いつの間に寝たんだこの子は。」

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