第18話 妹はおっかない性格のようで
船から降ろされたの貨物の辺りが騒がしい。檻の中のモンスターが暴れだし、今にも檻を破壊する勢いだ。ガチムチの港湾職員でさえ狼狽えている。あたふたしているうちに檻が破壊されモンスターが飛び出してきた。出てきたのはケルベロス。中央大陸の火山地帯に棲むと言われているモンスターだ。虫の居所が悪そうなそれは、辺りの人々を襲い始める。
ルーシアが長物を構え、戦闘態勢に入る。同時に、姉との再会に水を差され般若の形相になるナターシャ。
「やかましいんじゃゴルァー!」
炎を吐きかけたケルベロスに水魔法を放つと、ジュッという音と共にケルベロスは水に包み込まれた。球状となった水の中で溺れ、もがき苦しむケルベロス。更に水球の中が暗闇に包まれる。
「・・・深海ッ!」
ナターシャが水球に手をかざし力強く言葉を発すると水球がどんどん小さくなり、中のケルベロスも苦しみながらどんどん縮んでいく。水球がナターシャの掌と同じくらいの大きさになり真っ黒になったとき、かざした手を強く握ると水球は弾け、縮んだケルベロスが打ち捨てられた。
「おねーちゃん成分を補給してるときに邪魔しやがって!」
(・・・相変わらず裏表激しいなぁ。つか、いつの間にこんなおっかねぇ魔法使うようになったんだこの子は。)
ルーシアもちょっと驚く魔法を使うナターシャは、水の妖精術と闇の精霊術を操る魔術師である。先ほど使った魔法は、水魔法で対象を包み、闇魔法で強力な重力を作り出し深海状態にし、対象に高い水圧をかけるものだ。物体であれば圧縮され、生物であれば圧死する。
姉のほうに向き直り、満面の笑顔のナターシャ。
「ね、おねーちゃん!今の魔法すごかったでしょ!学校の皆と色々考えて頑張って開発したんだよ!」
「お、おう・・・なかなか良いんじゃないか?」
その昔、妹の魔法に関する才能の高さに気付いたルーシアは、自身と同じ水魔法を使う妹と共に幼少の頃から一緒に遊びながら研究みたいなことをしていた。ルーシアが魔法学校大学院を卒業後、マギに入廠し別居し始めるのと同時期にナターシャは魔法学校に入学、魔法の素養を更に高め色々身に付けたようだ。
「いやぁ助かったよお嬢ちゃん!危うく殺されるところだった!」
とガチムチ港湾職員。話を聞くと、マギに研究用として連れてこられた魔物とのこと。この件に関しては上手く処理しておくからと言ってくれた。




