第13話 無事に着いたのも束の間だったようで
秋口の寒い朝、温かいウサギ鍋の朝食を済ませたところで出発する一行。寝不足のホーに代わりに目覚めスッキリで元気なハマーが荷馬車の御者を務める。後ろの席には爆睡のホー、そして二日酔いのルーシア。ハマーがその辺に生えてた薬草をウサギ鍋に入れてくれたので、ルーシアは二日酔いから徐々に回復し、昼過ぎにズースに着いた頃にはすっかり良くなっていた。ハマー、出来る男である。
荷馬車はそのまま市場に入ると、ハマーは仲買人と話を付け、無事に甘芋が売れた。甘芋が船積載用の木箱に移され、空になった荷馬車には冬を越すための保存食や生活用品を買って積んで帰るらしい。
「今度ウチの村に寄ってくれよ!もっと美味ェ甘芋料理をご馳走するぜ!」
ここに来て初めて、ルーシアは目深に被っていたフードを取り、自分の姿を見せた。肩まで伸びた水色の髪、アンダーリムの眼鏡の奥には青い瞳のジト目、そして特徴的なエルフの耳。ちょっと嬉しそうにルーシアが答えた。
「是非寄らせてもらう。暖かい季節に。」
ウッズ一家と別れた後ズースの冒険者ギルドに依頼完了の報告をし、報酬を受け取る。初めての依頼だったのでこれが相場なのか分からないが、ルーシアにとっては十分な額であった。
船は明日の朝に出発するため、今日はズースの宿に一泊しなければならない。幸いにも宿には空きがあったため部屋を取った。その後、買い物やらで街をうろつく。
・・・付けられている。追われているのが分かっていたから索敵魔法を展開していたが、先ほどから一定の距離を保ち付いてくるのがいる。ルーシアは街をうろつくふりをして路地に誘い込むことにした。
「?!いない!」
「動くな。目的は何だ?」
ルーシアは背後から低く押し殺した声で追跡者を誰何した。




