第11話 甘芋のお酒で上機嫌になったようで
ハマーが持ってきた酒は芋ショーチューというもので、東方諸島の商人が製造方法を教えてくれたらしい。ウッズ家が住んでる村で作っているそうだが、今は大量に作れないため村人だけで消費しているらしい。
「ちょ、酒なんか呑んで!見張りどーすんだよ!」
ホーがキレ気味にハマーに突っかかるが、ハマーはお構いなしだ。
「ホー、お前がやっとけ!明日の御者はワシがやってやるからよ!」
こうなったハマーを止められないのは分かっているのか、ホーはブツブツ言いながら馬のほうへ去っていった。
「さ、さ、ルーシアさんも一杯どうかね?」
「・・・あたしも見張りがあるんだけど?」
「いいって! ホーのヤツに任せときゃ! さ、さ!」
「・・・じゃ、一杯だけ。」
勧められてコップを受け取り、それに注がれる芋ショーチュー。無色透明のそれは、甘芋の香りがほわっと鼻をくすぐる。味見をするように、ちびっと口に付けてみる。
「・・・何これおいしい。」
「そうだろう、そうだろう! ゆくゆくは大量生産して村の特産品にしたいんだがな!」
芋ショーチューという新たな酒の世界の扉を開けてしまったルーシアは、アルコール度数の高いその酒を一口、また一口と味わうようにゆっくり呑み進め、ちょっと時間をかけコップを空にした。
「・・・はぁ~、美味しかった。こんな素敵な酒があるなんて。」
「もう一杯いくかね?」
「・・・いただきます。」
おかわりを貰い、また呑む。一気に呑んだら勿体ないので、味わうように、ゆっくり飲む。
(・・・そういや東方諸島の商人とか言ってたな。てことはマギによく来てたあの東方商人も知ってるハズ。奴め、こんな美味しいのをあたしに教えないとは言い度胸だ、今度会ったらとっちめてやるッ!)
酒がイイ感じに回って思考がきな臭くなるルーシア。高い度数のおかげか、身体も火照ってきた。
(あれー?これ呑んで寝たら寒くないんじゃね?)
ルーシアの思考がおかしくなり始めた。どうやら完全に酔ったらしい。
「うふふふふふ! これおいしー! からだぽかぽかー!」
フードの奥の眼鏡を掛けた顔の頬がほんのり赤く色づいて見えるのは、焚き火のせいでは無さそうだ。
「こりゃ酒を飲ませちゃいかんタイプの人だったか?」
「あ!しごとしなきゃー!!さくてきまほーてんかい!!」
酔いながら魔法を行使するルーシア。過剰な魔力が放出される。ハマーはそれを見て豪快に笑っているが、ホーは狼狽えている。
「むむッ?!イノシシはっけーん!こらーこれはあたしのイモだー!えいっ!」
過剰なパワーの氷魔法が長物の先端から放たれ、ホーの側を掠め、森の奥で炸裂する。着弾点では森の一角がえぐれ、凍り付いている。酔いのせいで狙いが定まらなかったのか、イノシシは直撃を免れたが、凍り付いている。
ルーシアは魔法を放った後、そのままぱたっと寝てしまった。ハマーはルーシアにそっと毛布をかけ、何事も無かったかのように自分も眠りについた。ホーは仕方なく一人で夜明けまで見張りをすることにした。
* ⁑ ⁂ ⁑ * ⁑ ⁂ ⁑ * ⁑ ⁂ ⁑ *
「・・・見つけた!」
何者かがルーシアの魔力を探知した。
芋焼酎おいしいですよね。




