第547話石の攻防
ただ、相手も当然対策をしてくるわけで、爆弾が取り付けられればその石は攻撃に転用することで石の交換を行ってくるわけであるが、そうであるならばとウィリィンはダミーを紛れ込ませることにする。
爆発しないダミーは当然その分生成コストが安く、その度に交換をしていたら、魔力の消費も激しく、生成に隙も生じる。
だが、その中に本物の爆弾が紛れているのも事実である為、なかなかに厳しい選択を強いることができていると思う。
「攻撃の割合は下げたくないのだけれど、保険をかけておくしかないわねっ」
ウィリィンの攻撃が確実に触れていない石の壁を何枚か保険として別途、用意し、緊急時はそちらで防御を行えるようにされた。
だが、石の壁の枚数を増やした分、攻撃の手は緩まったので、十分だろう。
2つ目に石の壁自体の破壊。
ウィリィンが同じクラスの人達との交流の際に編み出した方法。
石にどうにか針を突き刺し、その密閉された場所から急速に空気を送り込むことで内部から破壊することに成功していた。
石に打ち込み、亀裂を作り、そこを無理やり広げる、そうすることで真正面から破壊するよりも断然簡単に破壊することができる。
その破壊と同時に他の攻撃を合わせて射出しておくことで、石の壁を攻略した上で攻撃を通すことができる。
消費魔力は爆弾よりはどうしても大きくなるうえ、刺すためには結構角度や、威力を調整する必要があり、無暗に撃って効果があるわけではないが、石を確実に破壊できるメリットは大いに感じられる。
「このままだとじり貧っ。
これで、まだ入園したてだなんて、信じられないっ。
凄い、凄いっ。
じゃ、もっと、もっとねっ」
「ここで戦い方を変えてくるかっ」
女子は針山の代わりに自身の周囲に沢山の石のゴーレムを生み出した。
大きさはウィリィンの半分ぐらいであるが、その数が多いというか、どんどん作成されて、こちらにテクテクと迫ってくる。
ウィリィンは近づかせまいと、魔法を撃って、足止めをするが、数が数だけに退けた傍からウィリィンの傍へと近づいてくる。
更に、見かけによらず、ジャンプ力が高く、ウィリィンの顔面や、上半身目掛けて拳を突き上げて飛び掛かってくる。
「っ!?
ぐふっ、思った以上に硬いなっ」
石の強度は先ほどと変わらない。
となると、なかなか破壊するのは困難であるし、今のこの瞬間にもゴーレムは生まれ続けているわけであるため、状況は悪くなる一方だ。
ウィリィンはうまく距離を取りつつ、フィールド全体に泥沼を生み出し始める。
「なるほど、ゴーレムたちの機動力を奪うわけね。
だけど、フィールド合戦なら負けないわよっ」
ゴーレムは背丈が低いので、少し足元がぬかるむだけでも地面をしっかりと捉えられず、身体の割合的に身体を動かすためには泥を押しのけなければならず、かなり機動力を阻害できる。
だが、その様子をただ見ている訳はなく、女子は砂と小石を周囲に展開し、泥と混ぜ合わせる。
地面は完走し、小石が地面に埋まることで踏ん張りがきくようになり、動きが良くなった。
「こういう手もあるわねっ」
更にゴーレム自体を足場として利用すれば他のゴーレムたちはその上を通り、スムーズに移動や、攻撃に移ってくる。
「ちいい!?」
ウィリィンは接着剤を生み出してゴーレムたちに振りかけ、固めるが、
「そんなんじゃ、止まらないわよっ」
接着剤が付いた部分だけを切り離せば動かすことが可能だ。
ウィリィンは一生懸命ゴーレムの猛攻に耐えつつ、囲まれないように飛び回って打開策を考える。
ちなみに、空中へと逃れようとすると、ゴーレムを砲弾のように射出してくるうえ、ウィリィンの上空には石の壁が何枚か漂っており、逃げようとすれば、上からの迎撃にも対処しなければならない。
「いや、一つ一つの威力はそこまで高くないっ。
それに全て打撃の攻撃、ならっ」
ウィリィンは自身を弾性のある物体で身体の一部を覆う。
すると、ゴーレムからの攻撃を受けても弾かれるだけで無傷だ。
当然、衝撃はくるため、弾かれるような衝撃は受けるものの、生身で受けるのと比べたラダン違いだ。
あと、流石に囲まれると圧殺されかねない為、立ち回りには引き続き注意を払う必要がある。
「っ!?何それ!?
それで攻撃を緩和してるのね、でもそれだけならやりようはいくらでもあるわっ」
「でも、それはすぐにこのゴーレムたちに反映されるわけではないっ」
そう、実は女子のゴーレムの操作はかなり広範囲に行うことが可能であるようだが、生成に関しては近くでないとできないと考えた。
その証拠として、ウィリィンが接着剤を撒いた際に自身で切り落した部分に関しては再生されることなく、そのまま攻撃に使用されていた。
補充し直した方がいい動きができるのは確実であるため、それなりの理由があると考え、その読みは遠からず正しいようだ。
ウィリィンの周囲にいるゴーレムたちが今のこの瞬間に変形して、弾性に対して対抗できる刃などを得たりすることは無かった。




