第542話物騒なイベント
「確かに。
やっぱり、食料確保には向かない・・・。
取り敢えず申し込みはしてるから顔は出してくる」
「うん、流石に当日にキャンセルするのは相手方に迷惑がかかるだろうし、学べることがないわけじゃないだろうしね」
そんな感じで喋っているとウィリィン達は教室へと辿り着く。
始業の合図はもうすぐの為、ウィリィンは着いて、そろそろ十分に栄養を補給できたであろうエトゥも引き剥がして隣に座らせる。
ほどなくしてチャイムが鳴り、ミラナが教室の中へと入ってきた。
「みなさんおはようございます。
今日も皆さん、元気よく学園に来られていて、とても良いですね。
では、早速ですが、出席を取っていきますね」
ミラナは1人ずつ名前を呼んでいき、その子と少し会話を行う。
「ウィリィンは魔法部に所属したんですね。
魔法を使った色々を学んで、それを実際に活かすことができる部活です。
是非、色々学んで、経験して、自身の糧にしてくださいね」
「はい。
頑張ります」
「はい、これで全員ですね。
さて、普段はこれで終了ですが、今日は明日明後日の2日間に行われるイベントについてお話ししようと思います」
ミラナはウィリィン達に情報を出力させつつ、説明を開始する。
「幼少部では5日間授業、2日間は授業無しの7日間サイクルで回っています。
そして、この2日間ですが、授業がないので、基本的に学園に来る必要はなく、おうちで家族の方と過ごす、学園で部活動をするなど、自由に過ごしていただいて構いません。
ただ、それでは味気ないので、学園側からイベントを定期的に開催させてもらっています。
そのうちの1つが、明日、明後日の2日間で行われる桜血祭です」
また物騒な名前の催しである。
「詳細についてはお渡しした資料を確認していただきたいですが、入園直後の方たちを歓迎する名目を持った催しなので、是非皆さん参加してくださいね」
ウィリィンは資料に目を通す。
内容としては2つの構成になっており、この時期に咲く桜の花に対して戦いを挑む、戦闘要素、これが桜血祭としての催しだろう。
そしてもう片方は屋台が沢山出ており、そこで飲み食いなどをわいわいとするようだ。
各部のブースなども存在するようで、結構屋台は盛大に執り行われるとのこと。
また、桜は木によって強さが異なるようで、戦いの強くない人でもしっかりと戦いを楽しめるような運営がなされているようだ。
また、生徒会は運営に携わることになるのだが、新入生である人達は主役であるため、対象外となるようだ。
「はい、私からは以上です。
分からないことがあれば、是非聞いてくださいね。
では、今日も一日頑張りましょう」
朝会は解散となった。
「桜血祭かぁ」
「沢山血がでる?
飲み放題だと嬉しい」
隣にいるエトゥが声をかけてくる。
出血が多そうであるため、エトゥ的にはドリンクバーのように見えるようだ。
「いや、逆に自分も血を出し過ぎて死んじゃうんじゃない。
分からないけど」
桜に挑むことができる点については記載があるものの、桜がどのような攻撃をして来るとか、そういった性能に関わるような部分に関しては一切情報に載っていないし、調べてもヒットしないというよりはルリィウィンによって情報を制限されている。
「ん、それでもいい。
とにかく、明日が楽しみ」
「そうだね」
ウィリィン的にはイベントの詳細が分からないのが不安であるが、次は恐らく生徒会で運営として携わることになるだろう。
であるならば、今回の内に客側として知っておいた方が気も楽だろうし、学園としてのイベントとなればフェアと一緒に行動したりすることも日程全てとはいかないかもしれないが、叶うはずである。
とそんな感じに考えていると、授業開始の合図が鳴り響き、1限目が開始される。
また、今日の授業は1限目、2限目実技、3限目座学、4限目共通となっている。
ウィリィンはいつの通り、部屋に転移した。
「えーと、歌?
意外な感じがする。
まあ、確かに実際に歌うなら実技なのか」
画面に映された内容には流れてくる音楽を覚えて歌うように指示がされていた。
また、楽譜及び、歌詞が画面に表示されている。
まあ、確かに思い返してみればオルキルや学園歌の時のぶつかり合いのように歌自体を攻撃手段として使用したり、するのはなかなかにハードルが高そうに感じられるため、マイナーよりな技術ではないかと感じる。
「いや、そもそもなんでも実技で学ぶことを戦闘に結びつけるのが間違ってるのか」
そう、音楽は攻撃手段である前に人の感情を揺さぶるものである。
それも祝福や、呪いと結びつけられてしまいそうであるが、その前に音楽を楽しむ、という気持ちが大切だろう。
ウィリィンは気持ちを切り替えて楽譜と、歌詞を見つつ、お手本となる曲に意識を集中させる。
当然、ウィリィンは楽譜の読み方は学んでいない為分からないのだが、音楽に合わせて該当箇所が強調されることにより、実際に聞こえてくる音と、楽譜が合わせられていく。




