第527話想像を形に
「針とかって投げることが前提だと思うんですが、投げた後の本体ってどうなるんです?」
「そういう場合は本体となる方に魔力を込めれば補充されるぞ」
「なるほど...」
2つ以上に別れるものに関しては貯蓄している魔力を使って複製を生み出すような機構になっているようだ。
だが、矢や銃弾などそれをメインとしているものはともかく、双剣の片方等投げることを想定していないものに関しては、再度生成するのにかなり時間と魔力がかかるとのこと。
「そういえば、結局何をトリガーに変形するのかしら?」
「流し込む魔力によって変化するぞ。
こんな感じだ」
ボラトは魔力の入れ方を変えることで武器を自由自在に変形させて見せる。
今見せているのは12種類を使い分けできる試作品のようだ。
その後ウィリィンに渡してきたので、杖から降りて試してみるが、
「いや、これ、難しすぎるっ」
この変形だけに注力して動かすのであればスムーズな移行ができるものの、少しでも他のこととの両立を目指そうとすると、思わぬタイミングで変形してしまう。
特に攻撃をしている最中に切り替わってしまうとかなり致命的である。
っと、このタイミングでギャマナが手を伸ばしてきてこちらに寄越すように催促してきた為、手渡す。
「ふーん、面白いわね。
だけど、確かに繊細な取り扱いが必要ね。
急に変更を間違えて、やられちゃうのも見てみたいわ」
「あー、あるぞ。
実際に使ってみて貰った時の動画。
後で見返す為に残してある」
そこにはお互いに試作品の武器を振るっている最中に予期せぬ変形でおっかなびっくりしている様が記録されていた。
特に、鍔迫り合いの状態になった時に急に形が変わり、そのまま武器ごと両断されてしまった時の両者驚いた表情はかなり傑作であった。
「ぷっ、ククククク。
中々に面白い画が撮れてるわね」
「目指してるところは一発芸みたいな感じでは無いんだけどなっ。
ある程度普段使いができる代物にはしたい」
ネタを披露する時以外には使え無いとなるとギャグ寄りな武器となってしまい、ボラトが目指す場所とはかけ離れている。
まあ、その為にロマンと言いつつも機能面で変形することでしか生み出せない何かを付随させようとしているのだろうが。
「いっそのこと、色んな武器を精製する補助ができる機器にしてしまうのは?
自分の手で作るよりは魔道具の補助があった方がいい武器が作れそうな気がします」
変形を諦めて、作成する武器の設計図を大量に入れた魔道具を作って、必要に応じて魔力を流し込んで作成する形にすれば作り終わった後の武器はもう変形しないので事故は起こりにくいと思われる。
「それも面白いアイデアだな。
だけど、流石にコンセプトから離れすぎてるなー。
ほぼ最初から作り直しになるから、次の制作物の1意見としてありがたく頂いとくぜ」
ウィリィンは同意するように反射的に頷こうとするが、その様子をナタトが咎める。
「いや、頂いてはダメでしょう。
ウィリィン様が入部されたら魔法部の一員となるのです。
そうであるならば、まずはチームに誘うなどしっかりやり取りをした後にしなさい。
ウィリィン様も安易に頷いてはダメですよ。
折角のアイデアを実際に物にしてこその魔法部ですから」
確かに思いついたアイデアを人任せにしてしまっては、自身が思い描いたものを形にする力を養うことは出来ない。
魔道具のグループに限った話では無いが、想像したものを具現化するのに魔法はうってつけである。
想像を形にする力をつけることが魔法をより強く扱えるようになる上で大切な要素と言えるだろう。
「は、はい」
「おお、ウィリィン悪かった。
それにウィリィンと作った方がより面白いものが作れそうだしな。
魔法部に入ったら連絡くれ。
というか入りたくなるように紹介してるんだったな」
そもそもはウィリィンに気持ち良く部に入って貰う、入りたくするために実施している部の紹介である。
今何故ウィリィン達に試作品等を見せたりしているのか再認識を挟みつつも話を再開する。
「折角ここまで話したから、もうちょっとだけ、ウィリィンの案について話させてくれ。
今思いついてる問題点だな。
1つ目に生成速度。
柔軟な対応力が売りだが物を作れずに終わっちまったら意味がない。
変形させるよりはどうしても時間も魔力もかかるから、そこをどうにかカバーできるようにしたい。
2つ目に強度だな。
使い捨て前提となると更に耐久力が落ちる。
それに見合うだけのメリットが欲しいな。
それぐらいだっ」
ボラトはウィリィンのアイデアについて話したいことは話せたようなので元の変形する武器についてに戻る。
「種類を調整していって、丁度いい塩梅が7ぐらいというのが現状の結論だが、今日の話しを聞いてもう少し減らして、その代わりに他の機能を取り入れてもいいように感じた。
そこの具体的なところはまだ何も考えてないが」
「そこにピタッとはまるような何かが見つかるといいわね。
ウィリィンちゃんは何かアイデアはないかしら?」




