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ちょっとした違い

「エミリー!

 今日は晴れてよかったな」

片手を上げながら義兄の弟、クリストフが走り寄ってくる。

「クリス、今日はおめでとう!」

「あぁとうとう愚兄はエミリーの義姉上をいただいてしまったな。

 我が家でも大切にさせてもらう」

爽やかにほほえんだクリストフは、アッシュブロンドのショートヘアをなでつけて、本日もカッコイイの一言に尽きる。


「今日から『クリス義兄様』とお呼びしたほうがいい?」とふざけて言うと「クリスのままがいいよ!」とほほ笑みかけてくる。

クリスは相変わらず天然の優男タラシだ。

ふとロベルトを見て、どちら様だっけ?と、クリストフが考えてるようだ。

「あぁこちらロベルト、私と同い年でエミリオのご友人だった方だよ。

 今日は私のエスコート役として来てくださったんだ」

二人の間にビシッッ!と火花が散った気がした。


ぅえ?!

いきなり何故だかお互い「お前ムカつく!チョットガタガタいわせていい?あっはっは、今更もう遅いけどね」認定?


「エミリーから紹介していただきました、ロベルト・ウォーレンです。

 本日はおめでとうございます。

 せっかくの良き日ですから、こちらのことはどうかお気になさらず、家族団らんをお楽しみください」

「ようこそおいでくださいました僕はクリストフ・フェイバリットです!

 わざわざ愚兄のために御足労いただかなくても、エミリーなら僕が案内しましたよ。

 遠いご領地から来ていただいたのでしょう、そこのベンチで一人ご休憩なされてはどうですか?」


ロベルトとクリストフがガッチリと握手を交わす割に、薄ら寒い空気が流れてる気がする。

「殴り合うならあっちでお願いします」と言ったら「まさか!」「面白い冗談だね」なんて二人に言われた。


だったらこの空気どうにかしてくれ!!



ロベルトとクリストフを伴って姉上に会いにいく。

「おねぇ様、おめでとうございます!」

声をかけると、真っ白なウエディングドレスをまとった姉上がこちらを振り向く。

「あらあら、面白いことになってるわね。

 エミリーありがとう」

「義姉上殿、おめでとうございます。

 これからよろしくお願いします」

クリストフが声をかける。

続いてロベルトも「メイヤ殿、おめでとうございます。今日は急な参加にかかわらず、手配ありがとうございました」と声をかける。


「皆様、ありがとうございました。

 今日はどうぞ楽しくお過ごしください。

 ロベルト様もクリストフ様も、エミリーをよろしくお願いいたしますね。

 本当に鈍くてとんちんかんですから...」

姉上はにっこり微笑みながら、いきなり言葉のナイフでザクザク刺してくる。

「いきなりそのセリフなんでぇ~~!?」

目をむきビックリしていると「慣れたものですので大丈夫です」なんて、ロベルトが言ってくる。

「ロベルト?!」

クリストフまでも「ご忠告ありがとうございます。心していきたいと思います」と爽やかに言う。


「クリスまで!!

 世も末!

 神は私を見放したっ!

 誰にも迷惑かけてないのにっっ!!」


オーマイガー!!とうめいていると、3人から生暖かい目線を送られる。

1週間の淑女マナーが一瞬で剥がれ落ち、元のエミリーに戻ってしまった。

そして結婚式が始まる前から、それぞれにいろんな意味で一気に脱力したメイヤとロベルトとクリストフだった。



(...エミリー...、あなた自身をよく知ってくれていて、それでも好いてくれるこの2人か、『エミリオ』の事情を知っているお仲間しか相手はいなさそうよ...。)

空が青いわね~~~と、遠い目をしながらつぶやき、後でお父様に相談いたしましょうと思うメイヤであった。




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