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幕間2.エリューの王子様

エリュー視点です。

ミィスはボクにとって、2人目の王子様。

あの時ボクは訳あって家族(ファミリア)に追われていて、まだ小さい角は髪で隠していたから、人間と間違えたミヤビがボクを護ってくれたの。

あんまり嬉しかったからつい固まっちゃったのはちょっと失敗だったけど。

あの時からミヤビはボクの1人目の王子様で、ボクの初恋の相手になった。

追いかけてきていたのも家族内(ファミリア)では強い方だったから、ミヤビの【魅了(スキル)】も効きにくかっただろうし、最終的に追い払ったのはセレネルの制服だったように思ったけど。

けどあとでアナトーレに教えてもらったんだけど、

あの時ミィスが言わなかったらセレネルは素通りだったらしいから、

つまりあの時助けてくれたのはミヤビとミィスの2人ってことになる。

だから、ミィスは2人目の王子様。


ミィスがボクの王子様なのは、もう一つ理由があるんだ。

ボクたち鬼人(デモニアトロピー)には子供のころから毒や精神攻撃へ耐性をつけるのが習わしがある。

それで命を落としても仕方がないという考えの、ボクからしてみたら旧時代的な種族なんだけど。

それで、今生きてるすごく小さい子供以外の鬼人はみんな【耐異常(イミュニタ)】を持つから、ミヤビの【魅了(ドルチェ)】は少し効きにくい。

全然効かないわけじゃないけど、そういう状態でも戦えるのが鬼人(ボクたち)でもある。

なんなら燃えてきちゃう人が多い。

そんな強さ至上主義の鬼人だから、ボクみたいなふりふりの服が好きだと軟弱って笑われるし、

可愛さなんて二の次。

みんな動きやすさを重視して服なんて必要最低限隠さなきゃいけないところが隠れてたらいいっていうし。

だから鬼人は露出が多い。セクシー路線でもなんでもない。ただのオシャレの放棄。

ボクの唯一の肉親である姉さんも、ボクに色々良くしてくれたけど最後まで可愛いとは言ってもらえなかった。

それでもボクは、毎年誕生祭の映像で見るシュトリヤ姫のふわふわのドレスが好きだったし、

そういう格好が好きだった。

ボクは多分、鬼人らしくはないんだと思う。


そんな感じで生まれてから今までの10年間誰も言ってくれたことなかったのに、初対面のミィスが

「かわいいね」

って言ってくれたのは本当に嬉しくって。

あの後ミィスと二人になってからたくさん泣いた。

ミィスが笑って

「好きな格好をしたらいいんだよ。エリューに似合ってるんだから」

って言ってくれて、もっと泣いて。

ミィスはそんなボクに困った顔ひとつせずにずっとずっと撫でてくれた。

これはボクとミィスだけの秘密だから、誰にもいってないけど。

他のみんなに知られたら絶対面倒くさいしね!

ボクにはじめて可愛いって言ってくれたから、ミィスもボクの王子様になった。

ミィスはボク王子様なんだよって言えば、ボクのことをお姫様みたいにかわいくしてくれるから、

ミィスのことが大好き!



今日はミィスの大切な日だけど、ちょっとだけボクのために時間をもらっている。

「ねえミィス、今日は、その…」

「わかってるわかってる。かわいい髪型にしようね!」

ミィスにははっきりと言ったことはないけど、ボクがミヤビのこと好きって気づいてて、でも他の人みたいにあからさまな態度はとらない。

だから今日ミヤビと二人だけで4区まで情報収集にいくのもこっそり

「楽しんできてね」

って言ってくれたし、服も一緒に選んでくれた。

まだ話していないボクの家族にまつわるややこしい事情も、ミィスだけは知っていてくれているから

ボクのことを家に泊めてくれているし、1人にならないように気にかけてくれている。

その時の相手にミヤビを選んでくれているのはきっとミィスなり優しさだと思う。

普段の距離が近いことにヤキモチやいちゃうのは、どっちの王子様にやいてるのかボクにもまだわかってないしね。



ボクはまだ子供だからミヤビに釣り合う素敵な女性には程遠いけど、いつかミィスと同じくらい素敵な女性になりたいな。

ミィスはボクの王子様であり、素敵な女性のお手本でもあるからね。

ミィスみたいにみんなに優しくて、みんなから好かれるような女性になれたら、

ミヤビに告白したいって思ってる。

12歳差なんて気にしないよ!


シュトリヤ姫のことはまだあまりよくわからないけど、ミィスが大好きってずっと言っていたから

ボクもミィスのために何かしたい。

とりあえず竜人化の魔法について、今日は4区の縁の竜さんにもう一回話を聞きにいくよ。

「じゃあミヤビ、エリューのことよろしくね。こんなにかわいいんだから攫われたら大変!」

「ああ、ほんまに今日は随分おめかししたんやねえ。よお似合とるよ。ミィスこそ緊張しすぎてこけたらあかんよ」

「そんなに抜けてません!エリューもミヤビのことちゃんと見ててね」

「うんっ!行ってきます!ミィスの式典はちゃんと見てるから!」

良く似合ってるなんて言われたからボクの顔はきっと真っ赤だ。

けど、ミィスはそっと頭を撫でるだけで送り出してくれた。

ボクもいつかこんな風にやさしい笑顔ができるようになりたいな!


ミィスと別れてボクたちは4区へ。

逃げる必要がなくなったから、堂々と広い道を使えるし、連絡馬車も使えるよ。

連絡馬車ってすっごく高いから使ったことなかったんだけど、

「うわあお姫様みたい!」

ふかふかのクッションにはしゃいだら、ミヤビに

「発車の時は揺れるから座っときな」

なんて腰を抱かれてしまった!

ボクたち鬼人は肌が褐色だし、きっと赤くなったのはばれない、よね!?

ミヤビってお香とかいうやつを服に付けているらしくって、とってもいい匂いがするんだよね。

王都の香水とは違うみたいで、嗅いだことのない香りなんだけど。



ああ今日は本当に最高の日になりそう!

ミィスありがと!



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