表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
unlimited  作者: 轟号剛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/15

奪還

森の中では、50人ほどの盗賊たちが集まっていた。


「ガキがこの森で迷ってるなんて運が良かったな」


盗賊たちの中でも一際体の大きな男が、近くの盗賊に話しかける。


「レーツの頭、こんな泣きべそかいてるガキが本当に高く売れるんすかね?」


「とんだ物好きがいたもんだよなぁ。このガキを売った金があれば、幹部に昇格するのも夢じゃねぇぜ!」


レーツと呼ばれた男はスキンヘッドで、右目は潰れている。右手には大きな斧を携えていた。


「ただ、収穫はこのガキだけで、他には誰も見つかりませんでしたぜ」


「まぁいいだろう。目立った動きをすると、すぐ超能隊に嗅ぎつけられるからな」


レーツの目の前には、目隠しをされ、口に布を詰め込まれた子供が地面に座らされていた。


「全員揃ったか? そろそろ出発するぞ」


「いえ、まだトンとカツが帰ってきておりやせん」


「はぁ……あいつら、手柄欲しさに粘ってやがるのか。長居は禁物だ。先に帰るぞ!」


レーツは帰ってこない二人に呆れながらも、撤退命令を出した。


その時だった。


「遅れてすいません! カツ、帰りました!」


森の奥から一人の男が駆けてくる。


「おせーぞ! ……あ? トンはどうした?」


レーツはトンの姿が見当たらないことに気付く。


「あいつなら野糞してから来るみたいなんで、すぐ来ると思いますよ」


カツはそう言いながら子供の前まで歩き、その体を抱き上げた。


「おい、カツ。何してやがる?」


レーツは不自然な行動に眉をひそめる。


するとカツはニヤリと笑った。


「アルーシカは返してもらうぞ」


カツは自分の顔に手をかける。


ベリッ。


まるで仮面を剥がすように顔が外れた。


「なっ!?」


レーツが目を見開く。


剥がれ落ちた顔の下から現れたのは、ゴエモンの顔だった。


服装も瞬く間に元の姿へ戻る。


「捕えろぉ!!」


レーツは斧を振り上げながら怒鳴った。


だが、その時には既にゴエモンが動いていた。


「煙玉」


地面へ玉を叩きつける。


ボンッ!!


白い煙が一気に広がり、盗賊たちの視界を奪った。


衝撃波(インパクト)!」


レーツは斧を大きく振るう。


放たれた衝撃波が煙を吹き飛ばした。


しかし――。


そこにゴエモンとアルーシカの姿はなかった。


「逃げられたか!! 探せ、お前ら!!」


レーツは即座に部下へ指示を飛ばす。


だが次の瞬間。


盗賊たちの足元が崩れ始めた。


「なっ!?」


「地面が!?」


足場が流砂のように変化し、盗賊たちを飲み込んでいく。


蟻地獄(ありじごく)


木の陰から声が響く。


「ここでお前らは捕まえさせてもらうっす」


サタだった。


盗賊たちは必死にもがくが、身体はどんどん沈んでいく。


その間を縫うように、一人の男が瞬間移動を繰り返していた。


ポートである。


「おら」


「ぐっ!」


「がはっ!」


ポートは盗賊たちの前に現れては拳を叩き込み、一人ずつ気絶させていく。


「ちっ、超能隊か!」


レーツは歯噛みした。


大衝撃(ビッグインパクト)!」


斧を地面へ叩きつける。


轟音と共に衝撃が走り、蟻地獄が強引に吹き飛ばされた。


盗賊たちはようやく動けるようになる。


だが、その時には既に半数近くが倒されていた。


「野郎ども! 逃げるぞ!」


レーツは生き残った者たちを連れて撤退を図る。


砂塵包囲壁(サジンホウイヘキ)


サタが手を振る。


すると砂が舞い上がり、盗賊たちを囲む巨大な壁となった。


「くそっ!」


大衝撃(ビッグインパクト)!」


レーツは再び斧を振り下ろす。


衝撃によって砂の壁に穴が開いた。


「こっちだ!」


レーツは真っ先に穴へ飛び込む。


しかし。


穴の向こうには一人の男が立っていた。


「よう」


ゴエモンだった。


「邪魔だ!! 衝撃波(インパクト)!!」


レーツは斧を振るい、至近距離から衝撃波を放つ。


だがゴエモンは軽やかに身を捻って回避する。


そのまま一気に距離を詰めた。


「終わりだ」


ゴエモンは腰から取り出したハンマーを振り抜く。


ゴンッ!!


ハンマーがレーツの胴体へ直撃する。


レーツの巨体は吹き飛び、再び砂壁の内側へ叩き返された。


砂圧流波(サーツリューハ)


サタが能力を発動する。


周囲を囲んでいた砂壁が一斉に内側へ倒れ込んだ。


逃げ場を失った盗賊たちは、そのまま大量の砂に飲み込まれる。


やがて砂の流れが止まる。


サタが手を振ると砂が散開した。


そこには気絶したレーツたちの姿が転がっていた。


「いっちょ上がりっす!」


サタは満足そうに笑った。


「よし、よくやったな」


ゴエモンは頷く。


「じゃあ俺はアルーシカを家に送り届ける。サタはこいつらを本部まで運んでくれ。ポートはさっき気絶させた二人を頼む」


「えぇ~!? 俺が送り届ける役の方が良かったですよ! 俺の能力じゃ他人を運べないんですから、男二人抱えて帰れってことじゃないですか~!」


ポートが不満を漏らす。


「うるせー! 普段楽して移動してんだから、ここらで自分の足で歩くことを思い出せ!」


「理不尽だ……」


ポートは肩を落とした。


ゴエモンは苦笑しながらアルーシカの頭を撫でる。


「もう喋って大丈夫だぞ。よく耐えたな」


「ゴエモンさんも、サタさんも、ポートさんも……助けてくれてありがとう!」


アルーシカの目から涙が溢れる。


張り詰めていた緊張が一気に解けたのだろう。


「怖かったよぉ……」


「もう大丈夫だ」


ゴエモンは優しく言った。


そしてアルーシカを抱えたまま立ち上がる。


「じゃあ、お前ら頼んだぞ!」


そう言い残し、ゴエモンは森の奥へ駆けていった。


「アルーシカ! 無事で良かったよ! ゴエモンさんも連れてきてくれてありがとうございます」


「おばあちゃん……すごく怖かったよぉ……」


ゴエモンがアルーシカを家まで送り届けると、アルーシカはすぐさま祖母の元へ駆け寄った。


祖母はアルーシカを強く抱きしめ、その無事を喜ぶ。


「これに懲りたら、あんまり森の奥まで行くんじゃねーぞ」


ゴエモンはアルーシカの頭を軽く撫でながらそう言うと、その場を後にした。


そして超能隊本部へ向かう。


本部に到着すると、入口の前にはサタと砂で拘束された盗賊たちの姿があった。


「ゴエモンさん、ちょうど俺も今着いたところっす。ポートさんのこと待ちますか?」


サタが振り返りながら尋ねる。


「いや、あいつは時間がかかる。先に報告するぞ」


「了解っす。じゃあ俺はこいつらを地下牢に入れてきますんで、先にブレイクさんのところへ行っておいてください」


サタは盗賊たちを引き連れ、本部の中へ入っていく。


ゴエモンもその後を追い、本部二階の最奥にある部屋へ向かった。


コンコン。


扉をノックし、返事を待ってから中へ入る。


部屋の奥ではブレイクが机に向かって座っていた。


「ブレイクさん。森で盗賊どもを捕まえたので地下に捕らえてあります。連中はダチュラ盗賊団の一員でした」


「構成人数千人を誇る、あのダチュラ盗賊団か」


ブレイクは眉をひそめる。


「捕まえた盗賊の話によると、子供を誘拐して西の国で売り飛ばすつもりだったそうです」


その報告を聞いた瞬間、ブレイクの表情が変わった。


「西の国だと……?」


低い声が部屋に響く。


ゴエモンはその反応に少し驚く。


「何か心当たりが?」


「……キクレンの生き残りかもしれんな」


ブレイクはそう呟くと、机の上の紙へ素早く情報を書き留めていく。


「とりあえずはよくやってくれた」


「ありがとうございます」


「この件はナーブにも伝えておこう。それと森のパトロールも強化する方針にする」


「了解です。では失礼します」


ゴエモンは一礼すると部屋を後にした。


部屋から出ると、ちょうど地下へ続く階段を登ってきたサタと鉢合わせる。


「ゴエモンさん、報告終わりましたか?」


「ああ。今日のところはもう上がっていいぞ」


「よっしゃ! じゃあお疲れ様っす!」


サタは元気よく頭を下げる。


そして本部の扉を開いた。


「つ、疲れた……」


外には盗賊二人を引きずりながら、地面に倒れ込んでいるポートの姿があった。


「うわっ、ポートさん! 大丈夫っすか!?」


サタは思わず駆け寄る。


「大丈夫に見えるか……?」


ポートは死んだ魚のような目で答えた。


「あっ、確かに大丈夫そうじゃないっすね」


「そこは否定してくれよ……」


ポートはがっくりとうなだれる。


サタは砂を操り、盗賊二人を持ち上げた。


「この二人、俺が地下まで運びましょうか?」


しかしゴエモンは首を横に振る。


「いや、ポートに最後までやらせておけ」


「え?」


「いつも生意気な口を叩いてくる罰だ」


「りょーかいっす!」


サタは即答した。


そして持ち上げていた盗賊たちを――


ドサッ!


地面へ放り投げた。


「ぐえっ!」


気絶している盗賊たちの身体が跳ねる。


「そ、そんな……」


ポートは絶望した表情でゴエモンを見る。


だがゴエモンは一切振り返らない。


「じゃあな」


そのまま帰っていった。


サタも軽く手を振る。


「頑張ってくださいっす!」


「お前もか……」


ポートは膝をつく。


そして盗賊二人を見下ろした。


「……あいつ、今度飲み物に下剤仕込んでやる」


復讐を誓いながら、ポートは重い足取りで盗賊たちを引きずり、本部の中へ入っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ