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unlimited  作者: 轟号剛


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7/16

盗賊

チリチリチリチリ――


部屋中に置き時計のアラームが鳴り響く。


「ふぁぁ……よく寝たっす」


ベッドの上で茶髪のオールバックの青年が大きな欠伸をする。


土曜日の人格――サタ・ウィークだ。


サタはベッドから起き上がると、机の上に置いてあったネックレスとブレスレットを身に着ける。


「今日も配達の仕事っすね〜」


軽く伸びをした後、部屋を出た。


チューズ、ウェン、サースが使っていた部屋だが、今日いるのはサタだけだった。



超能隊本部の前に到着すると、既に二人の男が待っていた。


「サタも来たか」


白塗りの顔にリーゼント。


ゴエモン・イシが手を振る。


その隣には細目の男、ポート・オライアスが立っていた。


「じゃあいつもの割り振りだ。俺が東区。ポートが西区と南区。サタは北区な」


「また僕だけ二ヶ所担当ですか?」


ポートが露骨に嫌そうな顔をする。


「たまにはゴエモンさんが二ヶ所やってくださいよ」


「お前の能力なら一瞬だろうが」


ゴエモンは呆れたように肩をすくめた。


「ケチケチ言わずに頼むわ」


「はぁ……めんどくさいなぁ」


ポートは大きな溜息を吐く。


「まぁやりますけど」


「サタはそれでいいか?」


「大丈夫っす!」


サタは元気よく親指を立てた。


「よし、じゃあ頼んだぞ」


ゴエモンが二人の肩を軽く叩く。


「はーい」


返事と同時にポートの姿が消えた。


瞬間移動だ。


一方サタの足元には砂が集まり始める。


集まった砂は渦を巻きながらサタを持ち上げた。


「行ってくるっす!」


砂の足場に乗ったサタは空へ飛び立つ。


その姿を見送りながらゴエモンが呟いた。


「便利だよなぁ、あいつらの能力」


屋根の上へ飛び乗る。


「こっちは走りだってのに」


愚痴をこぼしながら屋根伝いに駆け出した。



数時間後。


「お届け物は以上になるっす!失礼するっす!」


サタは荷物を玄関へ運び終え、深々と頭を下げる。


「待っておくれ」


家の中から老婆が声をかけた。


「どうしたんすか?」


「実はのぉ……」


老婆は不安そうな表情を浮かべる。


「孫のアルーシカが帰ってこないんじゃ」


サタの表情が変わった。


「帰ってこない?」


「森へキノコ採りに行くと言っておったんじゃが……もう日が暮れそうなのに戻らん」


老婆は今にも泣き出しそうだった。


「それは心配っすね」


サタは即答する。


「ちょうど配達も終わったので探してくるっす!」


「本当かい?」


老婆の顔が明るくなる。


「ありがとうのぉ」


老婆は懐から丸い団子のような物を取り出した。


「これはわしの能力で作った薬じゃ」


「怪我をした時に飲めば治る」


「手間賃として受け取っておくれ」


「ありがとうございます!」


サタは薬を受け取る。


「じゃあ探してくるっす!」



家を出ると、サタは空高く砂を舞い上げた。


砂は空中で巨大なSの文字を作る。


「見てくれるといいんすけどね〜」


すると数秒後。


サタの隣に人影が現れた。


ポートだ。


「何かあったのか?」


「実は――」


サタは事情を説明する。



「なるほどな」


話を聞き終えたポートが頷く。


「じゃあ俺はゴエモンさんに知らせてくる」


「サタは先に探してくれ」


「了解っす!」


ポートは再び姿を消した。


「じゃあ行きますか!」


サタは砂を足に纏わせ、森へ向かって飛んでいく。



森へ到着したサタは木々を見上げた。


「流石に森の中は上から探せないっすね〜」


砂を解き、徒歩で探索を始める。


すると――


「西の方じゃ子供が高く売れるらしいぞ」


男の声が聞こえた。


サタはすぐ近くの木の陰へ隠れる。


「マジか?」


「次もガキを攫えたら大儲けだな」


ボロボロの服を着た男が二人。


腰にはナイフを差している。


「なるほど」


背後から声がした。


振り向くとポートが立っていた。


「どうやらあいつらだな」


「みたいっすね」


サタは頷く。


「締めて場所を聞きましょうか」


「だな」



サタが片手を伸ばした。


男達の足元から砂が集まる。


「ん?」


一人が異変に気付く。


だが遅い。


砂が一瞬で全身を包み込んだ。


「なっ!?」


「襲撃だ!」


もう一人は逃げ出そうとする。


しかし。


その目の前にポートが現れた。


「逃がすか」


ドゴッ!!


強烈な拳が男の腹へ突き刺さる。


男は白目を剥いて倒れた。



拘束された男の前へ二人が立つ。


男の手足は砂で縛られていた。


「騒ぐなよ」


ポートが冷たく言う。


「騒いだら少し痛い目を見る」


「攫った子供はどこっすか?」


サタが尋ねる。


男は鼻で笑った。


「超能隊か?」


「舐めるなよ」


「俺達はダチュラ盗賊団だ」


サタとポートが顔を見合わせる。


超国最大の盗賊団。


その名前は二人も知っていた。


「口が硬そうだな」


ポートが呟く。


「大丈夫っす」


サタは空を指差した。


「印を出してるので、もう来るはずっす」


「噂をすればだな」


ポートが上を見る。


木々の上を飛ぶように移動する人影が見えた。



「悪い、遅くなった」


ゴエモンだった。


「ちょうどいいところっす」


サタが事情を説明する。


「なるほどな」


ゴエモンは男の前にしゃがみ込んだ。


「じゃあ俺の出番だ」


男を見据える。


「攫った子供はどこだ?」


「誰が言うかよ」


男は吐き捨てる。


ポキッ。


次の瞬間。


男の鼻が曲がった。


声にならない悲鳴が漏れる。


「次は素直に答えてくれよ」


ゴエモンは笑顔だった。


それが逆に怖い。


「子供はどこだ?」


「くっ……!」


男の顔が青ざめる。


「海の方だ!」


「嘘だな」


即答だった。


「俺には嘘が分かる」


男の顔から血の気が引く。


「次に嘘をついたらどうなるか分かるよな?」


「ま、待て!」


男は慌てて叫ぶ。


「そこの木を見ろ!」


指差した先の木には小さな十字傷が刻まれていた。


「その印を辿れば拠点に着く!」


ゴエモンは数秒男を見つめる。


そして頷いた。


「今度は本当みたいだな」


ドゴッ!


腹に蹴りを叩き込む。


男は白目を剥いて気絶した。


「案内ご苦労さん」


サタが砂の拘束を解く。


「じゃあ行くぞ」


ゴエモンが立ち上がる。


三人は木に刻まれた印を追い、森の奥へと進んでいった。

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