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unlimited  作者: 轟号剛


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ミサイル

任務に失敗した翌日。


カインズの三人は超能隊本部の隣にある治療場で目を覚ました。


「皆さん、治療ありがとうございました!」


アブが深々と頭を下げる。


「まさかお前らが失敗して帰ってくるとはな」


そう言って笑ったのはカード・レッドミルだった。


金髪のソフトモヒカンに、左頬のハートマークと右頬の数字が目を引く。


「まぁ何はともあれ無事で良かった」


「ありがとうございます」


アブは苦笑いを浮かべた。


「それにしても気になるな」


カードは腕を組む。


「メシアとかいう組織に、コピとかいう男か」


「あいつは厄介でしたよ」


オーラが顔をしかめる。


「超能隊の能力を次々と使ってきたんです」


「聞くだけでも面倒そうだな」


オーラの隣ではストロング・アイマーが頷いていた。


大柄な体格にサングラス。


見た目は怖いが、その表情は穏やかだった。


「無理はするなよ」


「はい」


オーラは素直に返事をする。


その隣のベッドでは銀髪の青年が静かに話を聞いていた。


フライ・ウィーク。


金曜日の人格である。


ほとんど口を開かず、ただ黙って周囲の会話を聞いていた。


「ブレイクさんも心配してたわよ」


そう言ったのはバン・ブラタノールだった。


長い赤髪を揺らしながら微笑む。


「治療も終わったんだし、顔を見せてあげなさい」


「はい!」


アブは元気よく返事をした。



カインズの三人は治療場を出る。


そして隣に建つ超能隊本部へ向かった。


二階。


隊長室。


「失礼します!」


アブが先頭で部屋へ入る。


「カインズ三名、治療が終わりましたので先日の件を報告します!」


机の向こうではブレイクが椅子に座っていた。


「うむ」


ブレイクは頷く。


「まずは無事で何よりだ」


そして真剣な表情になる。


「では何があったのか聞かせてくれ」


三人はアネモネ山で起きた出来事を話し始めた。



しばらく後。


「なるほどな」


ブレイクは机の上の紙へ情報を書き込みながら呟く。


「先日ムサシやゴクウと戦ったピエロと関係がある可能性が高いな」


「私もそう思います」


サースが頷いた。


ブレイクはペンを置く。


「この情報は後でパシーを通して全員へ共有しておこう」


そして三人を見た。


「今日は休め」


「はい!」


三人は頭を下げて部屋を後にした。



本部の外。


アブが大きく伸びをする。


「今日はもう解散にしようか!」


そう言って二人を見る。


「オーラ、フライ。またね!」


「おう」


オーラが手を上げる。


そしてフライへ視線を向けた。


「悪いんだけどさ」


「この後ハッカイさんのところ行ってくれねぇか?」


フライは黙ったまま視線を向ける。


「一昨日の仕事で鉄が足りなくなったんだ」


「頼む」


フライは小さく頷いた。


「悪いな!」


オーラは笑う。


「よろしく頼む!」


そう言うと去っていった。


アブも反対方向へ歩いていく。


残されたフライも静かに歩き出した。


ハッカイが作業している場所へ向かうためだ。



その時だった。


『緊急連絡です!!』


突然、頭の中にパシーの声が響く。


『東北のロベリア海岸に向かうミサイルを確認!』


『超能隊の皆さんは至急対応してください!!』


フライの足が止まる。


銀色の瞳が細くなった。


そして――


無言のまま駆け出した。


---


ロベリア海岸。


白い砂浜に続々と超能隊のメンバーが集まってくる。


最初に現れたのはゴクウとゴジョウだった。


二人は雲に乗って海の上から飛来する。


続いてフレイとアクアが空から降り立つ。


そして最後に、小柄な金髪の少女が砂浜を駆けながら到着した。


「おし!」


ゴクウが雲の上で立ち上がる。


「このメンツなら問題ねぇな!」


手に持った棒を肩に担ぐ。


「俺が指揮を取るぞ!」


誰も異論はない。


この場で最も経験豊富なのはゴクウだった。


「フレイ!」


「おう!」


「飛んでくるミサイルをぶっ壊せ!」


「任せろ!」


「俺が煙を抑える!」


ゴクウは次々と指示を飛ばす。


「アクアとゴジョウは海岸防衛!」


「了解」


「わかりました」


「イスはゴジョウの補助だ!」


「はーい!」


イスが元気よく返事をする。


その直後。


ドゴッ!


「うおっ!?」


ゴクウがゴジョウの背中を蹴った。


雲から真っ逆さまに落下する。


「おい!乱暴に落とすな!!」


ゴジョウの悲鳴が響く。


だが地面に激突する寸前。


青い糸が身体に絡みついた。


ふわり。


落下速度が消える。


ゴジョウはゆっくりと砂浜へ降ろされた。


「ゴジョウさん大丈夫ですか〜?」


イスがにこにこと笑う。


指先から伸びていた青い糸は消えていった。


「あぁ……助かったよ」


ゴジョウは頭を押さえながら立ち上がる。


「あいつは毎回配慮が足りないんだ……」


ボソボソとゴクウを見上げながら呟くが、当の本人は知らんぷりである。



「来るぞ!」


フレイが空を見上げた。


水平線の彼方。


小さな黒い点が高速で迫ってくる。


ミサイルだ。


「準備しろ!」


その声と同時。


イスの左手から赤い糸が伸びた。


「赤い糸」


糸はゴジョウの小指へ繋がる。


直後。


ゴジョウの身体が赤く輝いた。


能力強化。


イスの支援能力だ。



「始めるぞ」


アクアが前へ出る。


ゴジョウも杖を構えた。


「はい」


杖が砂浜へ叩き付けられる。


ドンッ!


同時にアクアが両手を突き出す。


「「水防大結界アクア・ウル・バリア」」


巨大な結界が海岸線を覆った。


さらに。


海水が持ち上がる。


何十メートルもの高さを持つ巨大な水壁が結界を包み込んだ。


まるで海そのものが盾になったかのようだった。



空中ではフレイが片手を掲げていた。


「火輪」


掌の上に小さな火球が現れる。


しかし。


火球は止まらない。


どんどん膨れ上がる。


熱気で周囲の空気が歪む。


海面が蒸発し始める。


直径十メートル。


巨大な太陽のような火球が完成した。


「行けぇぇ!!」


フレイが火球を投げる。



数秒後。


ミサイルと火球が衝突した。


ドガァァァァァン!!!!


轟音。


爆炎。


衝撃波。


空が真っ赤に染まる。


爆発が津波のように広がっていく。


「踏ん張れよゴジョウ!」


「わかっています!」


ゴジョウの額に汗が浮かぶ。


アクアも歯を食いしばる。


爆発が結界へ叩き付けられる。


バチバチバチ!!


結界が悲鳴を上げる。


だが破れない。


水壁が爆炎を飲み込んでいく。


やがて。


爆発は徐々に弱まり。


完全に消えた。



残ったのは大量の煙だけだった。


「俺の出番だな」


ゴクウが笑う。


右手を伸ばす。


煙が渦を巻きながら集まっていく。


やがて拳大の黒い球になる。


ゴクウは慣れた手つきでそれをベルトへ取り付けた。


「全くよ」


アクアが肩を回す。


「毎度毎度めんどくさいことをしてくれる」


「機国もしつこいですね〜」


イスが苦笑した。


「今回の元老院会議も荒れそうです」


「ヒロさんが爆発しそうだな」


フレイが笑う。



「ま、とりあえず終わったな」


ゴクウが空を見上げる。


フレイも頷いた。


「花火」


火球を空へ放つ。


パンッ!


赤い花火が空に咲く。


超能隊への作戦終了の合図だった。


「これで終わりだ」


ゴクウは再び雲を呼ぶ。


「帰るぞゴジョウ」


「今度は蹴るなよ」


「保証はしねぇ」


「おい」


「皆さんお疲れ様でした〜!」


ゴクウとゴジョウが言い争う中、イスが元気よく手を振る。


それぞれが帰路につく。


ロベリア海岸には再び静けさだけが残った。

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