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unlimited  作者: 轟号剛


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42/59

相対

首都ベゴニア 西門前


オーラ、チューズ、アブ。


チーム・カインズの三人が警備をしている西門にも、空から響く雷鳴ははっきりと聞こえていた。


轟音が鳴る度に空気が震える。


「今の爆音……雷か!?」


アブが驚いた声を上げる。


「あぁ」


チューズは空を見上げた。


「だが、落ちる前にブレイクさん達が対処してくれたんだろ」


オーラも上空へ視線を向ける。


遠くには四つの白い煙が空へ昇っているのが見えた。


チームサイユウだ。


「俺らは俺らの役目を全うするぞ」


オーラは前方へ向き直る。


「前を見ろ。来たぞ」


チューズの言葉に二人も森へ目を向けた。


そこには一人の青年が立っていた。


ゆっくりとこちらへ歩いてくる。


「やぁやぁ、歓迎ありがとう!」


青年は大きく手を振る。


「だけどそこを退いてもらってもいいかな?」


笑顔は崩れない。


「今から僕は、この街を滅ぼさないといけないからね!」


きっちり七三に分けられた髪。


知的そうな眼鏡。


だがその表情は妙に明るく、どこか不気味だった。


「退くわけねぇだろ!」


オーラは一歩前へ出る。


全身からオレンジ色のオーラが溢れ始めた。


「それを防ぐために俺らがいるんだ!」


「そうかそうか!」


青年は楽しそうに頷く。


「君達が超能隊か!」


眼鏡を指で押し上げる。


「アミから耳が痛くなるほど聞かされていたから、そのくらいは分かるよ!」


そして大袈裟に両手を広げた。


「超能隊を三人も倒せば、僕はヒーローだね!!」


その瞬間。


何も持っていなかった右手に一本の剣が現れる。


「……なんか」


アブが小声で呟く。


「ちょっとウザい感じ、マンに似てない?」


「あぁ、そうだな、、」


チューズが悲しそうに呟く。


「二人とも!」


オーラが喝を入れる。


「来るぞ!」


三人の視線が再び前へ向いた。


青年は既に地面を蹴っている。


猛烈な速度で距離を詰めてきた。


チューズは両腕から炎を噴き出し構える。


アブも身構える。


「アムド・ストレリチア!!」


青年は剣を掲げる。


「参る!!」


叫びと共に、西門前の戦いが幕を開けた。


-


中央広場から少し離れた場所にも、一人の侵入者がいた。


「ダイナにここまで運んでもらったけど、僕も中央広場に行きたかったなぁ」


侵入者は二十歳ほどの青年だったが、その話し方にはどこか子供っぽさが残っている。


「まぁ、運んでもらえなかったアムドに比べたらまだマシだけどね」


ボサボサの茶色い髪をいじりながら青年は歩く。


その先には、チェスたちがいつも授業を行っている学校があった。


「子供を一人ずつ消していく。それが僕に与えられた任務。気は乗らないけど、怒られるのは嫌だからね」


独り言を漏らした、その時だった。


上空から槍が勢いよく飛来する。


「おっと!」


気配を察知した青年は咄嗟に地面を転がって回避する。


槍は地面へ深々と突き刺さった。


そして次の瞬間――槍は光となって消え、その場所に一人の老人が姿を現す。


「お主が例の西の集落の者じゃな?」


現れたのはチェスだった。


上空を飛んでいたビショップと、その背に乗るルークを消すと、チェスは青年へ問いかける。


「ん? あなた誰ですか? ダイナから聞いていた超能隊の情報には、あなたみたいな老人はいませんでしたけど?」


「質問を質問で返すでない」


チェスは呆れたように髭を撫でる。


「まぁ、お主の問いに答えるなら、ワシは超能隊の前隊長じゃ。今はこの学校の校長をしておる」


チェスが名乗ると、青年の表情が一気に明るくなった。


「本当!?」


両手を勢いよく広げる。


「デュオスペース!」


その瞬間。


二人の景色が一変した。


周囲は漆黒の宇宙のような空間へと変貌し、無数の星々が輝いている。


「前隊長を倒したとなれば、ウェザー様にいっぱい褒めてもらえそうだ!!」


青年は興奮した様子でまくし立てる。


「あなたのことを教えてくれたお礼に、僕のことも少し教えてあげるよ!」


青年は胸を張った。


「僕の名はペース・サザンカ。言っていた通り、西の集落から来たんだ」


そして両腕を広げる。


「それから、この空間が僕の能力!」


「この空間では、僕が想像したものを自由に作り出して操ることができるんだ!」


ペースが片手を掲げる。


すると、


炎の鳥。


水でできた槍。


雷を纏う狼。


巨大な岩の球体。


様々な存在が次々と空間内へ出現していく。


「この空間では僕は無敵なのさ!!」


得意げに笑うペース。


そんな彼を見ても、チェスは表情一つ変えなかった。


静かに腕を前へ掲げる。


「全員来てくれ」


その呼びかけに応じるように、地面から五人の騎士が現れる。


キングを守る五人の駒。


ナイト。


ビショップ。


ルーク。


ポーン。


そしてクイーン。


チェスはペースを見ながら口角を上げた。


「若造に”井の中の蛙”という言葉の意味を教えてやるのじゃ」


-


超能隊本部上空


遥か上空でウェザーと戦う者たちとは別に、比較的低い高度でも三人の能力者が空中で対峙していた。


炎と水を足元から噴射して宙に浮かぶフレイとアクア。


その二人の前には、足元で回転するプロペラのような装置によって飛行している青年がいる。


「いいねぇ、いいねぇ! アンタら、とても強そうじゃないか!!」


青年は空中を魚のように自由自在に泳ぎ回りながら笑う。


「この僕、スピン・ウラジロが二人まとめて相手してあげるからさ! 楽しませてくれよ!!」


「どうする?」


スピンの挑発には目もくれず、フレイはアクアへ視線を向けた。


「どっちかは上の援護に行くか?」


「あぁ」


アクアはスピンと、さらに上空で激しく戦っているブレイクたちを見比べる。


「あっちはかなり危険そうだからな。私が行こう」


そう言うとアクアは足元の水流を強める。


「フレイは奴の相手を頼む」


「任せろ」


アクアの体が一気に上空へ浮上していく。


「行かせるわけないじゃないか!!」


スピンは即座に反応した。


両手をアクアへ向ける。


回風(ツムジカゼ)!」


次の瞬間、渦を巻く暴風がアクアへ向かって放たれる。


しかし。


二人の間に巨大な炎の壁が出現した。


轟音と共に風が炎へ叩きつけられる。


「邪魔だよ!」


スピンが声を荒げる。


だが炎の壁は崩れず、風を完全に防ぎ切った。


その間にアクアはさらに高度を上げる。


スピンへ見向きもしないまま、ウェザーたちが戦う上空へ向かっていった。


「つれないなぁ」


スピンは肩をすくめる。


「二人相手の方が楽しそうだったのに」


炎の壁がゆっくり消えていく。


その向こうには全身に炎を纏ったフレイが立っていた。


「寂しいじゃねぇか」


フレイは拳を握る。


「俺だけじゃ不満か?」


「ハハハッ!!」


スピンの口角が大きく吊り上がる。


「すぐ壊れないでくれよ!?」


スピンは風を纏いながら一気に加速した。


フレイもまた炎を噴き上げながら前へ飛び出す。


炎と風。


二人の能力者が空中で激突した。

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