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unlimited  作者: 轟号剛


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復讐

首都ベゴニア上空


一人の老人が風に乗り、遥か上空を飛んでいた。


その姿は地上から見れば小さな鳥ほどの大きさにしか見えない。


「さぁ、積年の怨みを晴らす時が来たようだ」


ウェザーは眼下に広がるベゴニアを見下ろす。


「我が子らよ。存分に暴れるがいい」


その言葉に呼応するように、上空の雲が膨張を始める。


白かった雲は黒く染まり、雷を帯びていった。


「裁きのジャッジメント


ウェザーが手を振り下ろす。


次の瞬間――


轟音と共に巨大な雷がベゴニアへ向かって落下した。



ベゴニア


「おいおい、なんかやべぇ気配が上空にあるぜぃ!」


真っ先に異変へ気づいたのはムサシだった。


「っていうか雲行きが怪しすぎるぞ!」


ムサシの叫びに周囲の超能隊員達が一斉に空を見上げる。


「ハッカイ!」


ブレイクは空を見るなり叫んだ。


それだけでハッカイは意図を理解する。


「任せてください!」


両腕を巨大化させる。


その腕の上へブレイクが飛び乗った。


「いきますよぉぉぉ!!」


ハッカイは全力で腕を振り抜く。


ブレイクの体が砲弾のように上空へ打ち上げられた。


同時に雷が落下する。


「消滅させる右手エクスティンクション


ブレイクは右手を突き出す。


落下してきた雷へ触れた瞬間、その雷は跡形もなく消滅した。



勢いのまま上昇したブレイクは、更に高空に浮かぶウェザーの姿を捉える。


しかし届かない。


徐々に上昇速度が落ち、体は地上へ落下し始めた。


「ほう」


ウェザーは細い目をわずかに見開く。


「これを防ぐ実力者がサイラクにもおったとはのう」


感心したように呟くと、落下するブレイクへ手を向けた。


切雨キリサメ


黒雲から雨が降り始める。


しかし、その雨はただの雨ではない。


無数の雨粒が空中で集まり、鋭い弾丸となってブレイクへ襲い掛かった。


まるで機関銃のような雨。


「させませんよ」


ブレイクの前に巨大な結界が展開される。


雨弾は次々と弾かれた。


「大丈夫か、ブレイク!」


落下するブレイクを支えるように白い煙が現れる。


その上にはゴクウ、ゴジョウ、ハッカイのチームサイユウが乗っていた。


ブレイクは煙の上へ着地する。


「助かった」


短く礼を言う。



「おらぁぁぁ!!」


ハッカイが巨大化した拳を振り上げる。


そのままウェザーへ殴り掛かった。


風壁フウヘキ


しかしウェザーの前に風の壁が生まれる。


拳は止められた。


次の瞬間。


暴風が炸裂する。


「うわぁぁぁぁ!!」


ハッカイの足場だった白い煙が吹き飛ばされた。


突然支えを失い、ハッカイは空中で手足をばたつかせる。


「たくっ、世話を焼かせんなよ」


ゴクウが呆れながら飛び出す。


再び白い煙を生み出し、ハッカイの足場を作った。


「あ、ありがとうゴクウ……」


「後で説教だ」


「はい……」



ブレイクはウェザーを睨む。


「お前はキクレンの人間だな?」


ウェザーは口元を歪める。


「そうだ」


その声には長年積み重なった憎悪が滲んでいた。


「お前達に復讐しに来てやった」


周囲の風が荒れ狂う。


「俺は、お前達に滅ぼされたキクレンの意思を受け継ぐ者」


黒雲がさらに広がる。


「お前達が相手をするのはキクレンそのものだ!!」


轟風がベゴニア上空を駆け抜けた。



「おい」


ゴクウが棒を構える。


「こいつはマジでやべぇぞ」


普段の軽い調子は消えていた。


「全員、気張っていけよ!!」


その言葉と共に、超能隊は一斉に戦闘態勢へ移る。


キクレン残党との戦いが、ついに幕を開けた。


-


雷が落ちると同時に、ベゴニア各地で戦闘が勃発していた。



中央広場


「ヒャッヒャッヒャッ!! やっと思う存分暴れられるぜ!!」


中央広場では巨大なトリケラトプスが暴れ回っていた。


その背中には一人の青年が立ち、市民達へ向かって白く輝く球体を次々と投げつけている。


「た、助け――」


白い球体が当たった市民は、その瞬間に動きを止めた。


まるで時間そのものが停止したかのように、その場で固まってしまう。


「ゴォォォォォ!!」


トリケラトプスは動けなくなった市民達へ向かって突進する。


「やめやがれ!!」


轟音と共に一人の男が飛び出した。


大猩猩拳ゴリラストレート!!」


ビースの両腕が巨大なゴリラの腕へと変貌する。


そのまま渾身の拳をトリケラトプスの頭部へ叩き込んだ。


ドゴォォン!!


凄まじい衝撃が広場を揺らす。


しかし――


「ぐっ!?」


ビースの体が逆に吹き飛ばされた。


力負けだった。


それでもトリケラトプスの突進を止めることには成功している。


その隙を逃さず、青い糸が市民達へ伸びた。


「こっちですよ〜」


青い糸は固まっていた市民達へ絡みつくと、一瞬で後方へ引き寄せる。


イスだった。


市民達はイスの近くへ移動すると硬直状態が解除される。


「た、助かった……!」


「ありがとうございます!」


礼を言う市民達へイスは手を振った。


「早く逃げてくださ〜い」


市民達は慌ててその場から離れていく。



「こいつらが西の集落の連中か?」


イスの隣に立つバンが敵を見据える。


すでに戦闘形態へ移行しており、背中からはコウモリの翼が生え、服装も黒一色へ変化していた。


「強力な能力を持っているが……何か違和感があるな」


バンは目を細める。



「おめーら超能隊だな?」


トリケラトプスの背中から青年が飛び降りる。


その体が白く光る。


次の瞬間、トリケラトプスの姿は消え、一人の青年へ戻った。


ダイナだった。


鋭い牙を覗かせながら笑う。


「ヒャッヒャッヒャッ!」


その隣に立つ前髪で目が隠れた青年も笑い声を上げる。


「二対二でちょーどいいじゃねーか」


顔は見えない。


だが軽薄そうな喋り方から、陽気な性格であることが分かる。



「おい!!」


瓦礫の中から怒鳴り声が響く。


「俺を忘れてもらっちゃ困るぜぇぇ!!」


家屋の屋根まで吹き飛ばされていたビースが飛び上がり、イスとバンの隣へ着地する。


幸い大きな怪我は無いようだった。


「そりゃ良かったぜ」


ダイナは牙を見せて笑う。


「こんなんでやられてたら拍子抜けだからな」


そして指をビースへ向ける。


「俺はあの男をやる」


続いて隣の青年を見る。


「タイム。お前はあっちの女二人をやれ」


「え〜」


タイムは面倒臭そうに肩を落とした。


「僕が二人ですか〜?」


「お前、女相手が好きな変態野郎だろ」


ダイナはニヤニヤしながら言う。


「むしろご褒美じゃねぇか」


タイムの口元が大きく歪む。


「分かってるじゃん」


前髪の奥で口角が不気味に吊り上がった。


その笑みに、イスは思わず眉をひそめる。



「変な奴ですね〜」


「だが油断するな」


バンが翼を広げる。


「分かってますよ〜」


イスも糸を構えた。


一方のビースは拳を打ち鳴らす。


「よし。なら俺はあのトカゲ野郎をぶん殴る!!」


中央広場で新たな戦いの火蓋が切られた。

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