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unlimited  作者: 轟号剛


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勇者と反逆者

「本当にそんな事が起こると予想して動いているのかい?」


コピが王国に来た理由をロークが聞くと、冷や汗を掻いて驚いているようだ。


「あぁ、必ず起きるますよ。 それも遠い未来の話じゃ無い。 近いうちにね」


コピは話を聞いたロークがどのような動きをするのかを注意深く観察している。


「本当にそんな事が起きれば王国もタダでは済まないぞ、、」


ロークは頭を手で抑えながら少し考え込んでいる。


「なるほど、、 しかし、その作戦が成功する保証はないだろう? 例え封印の宝玉を四つ全て集める事ができたとしても、その先の思惑が上手くいくとは考えられない」


「いや、上手くいきますよ。 私の作戦に失敗は無いのです」


ロークからの問いかけに対し、コピは自信満々の態度で返事をする。


「...分かった。 君のこの国での目的に手を貸そう」


コピはロークからの思いもよらない言葉に初めて驚いた表情を見せた。


「だけど、その代わり僕の仕事を先に手伝ってくれないか?」


「仕事? さっき言っていた裏組織に関係する事でしょうか?」


コピは先ほど潰した人攫いに指を差しながら問いかける。


「そう、さっきも話に出た裏組織ユリアザミを潰すのに協力して欲しい」


「君は勇者なのだろう? 見ず知らずの僕に協力を求めなくてもそんな組織なんて一人で潰せるんじゃないのですか?」


ロークからの申し出をコピは易々と受け入れる事はしない。


(しかし、勇者の協力を得る事ができるのは正直でかいですね)


「僕は立場的に顔が割れてしまっていて警戒されているからね。 本拠地を叩いたら蜂の巣を叩くように逃げられてしまう」


そこで君だ。とロークはコピに指を差す。


「顔の割れていない君ならば攻め込んだとしても、本拠地を守るために応戦するだろう。 僕も陰ながらサポートはするが、君が主体となって戦闘をしてもらいたい」


「ふっ、私がそんな裏組織相手に一人で戦えると思っているのでしょうか?」


コピは不適な笑みを浮かべながら問いかける。


「君相当強いよね? 僕は人を見るだけで力量が大体分かるんだ。 君の目的に僕が協力することになったら相当助かるだろ?」


ロークは協力の意思を確認するため、コピに握手を求める。


「...分かりました、よろしくお願いします」


コピがロークの握手に応じることで、王国の勇者と超国の反逆者の間で同盟が結ばれたのだった。


--


超能隊本部 修練場


時刻は夕方を過ぎていた。


窓から差し込む夕陽は赤く染まり、修練場全体を橙色に照らしている。


試合開始から数時間が経過しているにもかかわらず、未だカードとクイーンの戦いは続いていた。


「流石だぜ、クイーン! スペードのキング状態の俺を相手に、ここまでやるなんてな!」


カードの服は至る所が破れていた。


しかし体に刻まれている傷は浅いものばかりで、致命傷となるようなダメージは負っていない。


周囲には強風が吹き荒れており、その風によってカードの体は宙に浮かんでいた。


「余りキングに負担はかけたくないのですが……流石に簡単には倒れてくれませんね」


対するクイーンも、全身を覆う純白の鎧に無数の傷が刻まれている。


だが、そのどれもが浅い傷だった。


修練場の半分は氷に覆われており、その周囲には鋭い氷柱が幾本も立ち並んでいる。


「風の星座・公平の天秤」


カードの周囲を吹き荒れていた風が、剣と足元へと集約されていく。


次の瞬間、カードは凄まじい速度でクイーンとの距離を詰め、剣を振り下ろした。


クイーンは即座に反応し、大剣を構えて防御する。


しかし、剣から炸裂した風圧によってクイーンは大きく吹き飛ばされた。


(ゼロ)氷山(アイスマウンテン)


吹き飛ばされながらも、クイーンは大剣を地面へ突き立てる。


すると地面が凍り付き、巨大な氷山がカードに向かって形成されていく。


カードは迫り来る氷山に向かって剣を振り下ろした。


放たれた強風は氷山を砕きながら進んでいく。


だがクイーンの元へ辿り着く頃には、その威力は微風程度にまで弱まっていた。


―――


「二人とも流石だぜぃ。相手の攻撃を上手くいなしやがる」


観戦しているムサシが感嘆の声を漏らす。


「チェス殿は、ずっとクイーン殿を維持し続けていて大丈夫なのでしょうか?」


隣に立つマグが、椅子に座るチェスへ問いかけた。


「フォフォ、大丈夫じゃよ。じゃがクイーンがあそこまで攻めあぐねておるのは久しぶりに見るのぉ」


マグの心配とは裏腹に、チェスは余裕そうな表情を浮かべる。


「結界を張り続ける私の身にもなって欲しいですけどね……」


修練場全体を覆う結界を維持しているゴジョウが額の汗を拭いながら愚痴をこぼす。


「頑張ってください、ゴジョウさん! 私も頑張りますから!」


ゴジョウの左手小指から伸びる赤い糸を通じて支援しているイスが元気よく声を上げる。


「こんなもんで弱音を吐くんじゃねぇぞ、ゴジョウ! もっと気合いを入れろ!」


フレイからの激励に対し、ゴジョウは小さくため息をついた。


「言うだけなら簡単なんですけどね……」


そう呟きながらも、再び結界の維持へ意識を集中させる。


―――


「やっぱり、ちまちまやってても勝負はつかなそうだな! クイーン、一発で決めるぞ!」


「受けて立ちましょう」


カードとクイーンの周囲に、それぞれ風と冷気が集結していく。


「エレメント・バースト!」


「絶対零度」


二人が技を放とうとした、その瞬間だった。


カードの背後に突如ポートが現れる。


「おりゃ!」


勢いよく背中を蹴り飛ばされたカードは、不意を突かれて空中で体勢を崩し、そのまま地面へ落下した。


同時にクイーンも体から光を放ち、その場から消え去る。


「馬鹿だな〜! 二人してそんな大技出したら修練場が壊れるに決まってんじゃん!」


ポートは頭を押さえるカードを見ながら怒鳴る。


「わりぃわりぃ。つい熱くなっちまったぜ」


カードは苦笑いを浮かべながら謝罪し、周囲に吹き荒れていた風を消し去った。


「クイーン、お主も少々熱くなり過ぎておったな。頭を冷やしておれ」


チェスも先ほどまでクイーンが立っていた場所へ手を向けながら苦笑する。


「試合は終わりじゃ! 解散解散!」


チェスの声を聞くと、観戦していた超能隊の面々はそれぞれ帰路につき始めた。


夕陽に照らされた修練場には、戦いの余韻だけが静かに残っていた。

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