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unlimited  作者: 轟号剛


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キングとクイーン

「勇者、ですか」


コピは小さく呟く。


その表情は変わらない。


しかし、視線はロークから一瞬たりとも外していなかった。


「勇者ともあろう方が、こんな人気のない場所で何をしていたのですか?」


いつでも動けるように体勢を整えながら問いかける。


「そんなに警戒しないでください」


ロークは苦笑しながら両手を上げた。


「別に敵意はありませんよ」


そう言った後、口元を少しだけ歪める。


「たとえ君が超国から来た人間だったとしてもね」


コピの瞳が僅かに細くなる。


だが、それ以外に反応は見せなかった。


「さて、さっきも話したけど、あの少女は人攫いから逃げ出したんだ」


ロークは地面に転がる男を指差す。


「彼は王国最大の裏組織――ユリアザミの下っ端さ」


コピは黙って話を聞いている。


「僕は今、そのユリアザミを潰すために動いていてね。情報を集めていたら、あの少女を見つけたんだ」


ロークはそう言いながらゆっくりと歩き出す。


一歩。


また一歩。


コピとの距離を縮めていく。


だがコピは動かない。


ただ静かにロークを見据えている。


「それで――」


ロークはコピの目の前まで来ると、その澄んだ瞳を覗き込んだ。


「超国の人間が王国に何の用なんだい?」


穏やかな口調。


しかし、その瞳は勇者らしく鋭かった。


少しでも嘘を見抜こうとしているように見える。


「私が王国へ来た理由ですか」


コピは視線を逸らさない。


むしろ真正面からロークを見返した。


「聞けば、貴方は私と敵対することになると思いますが」


空気が少し張り詰める。


しかしロークは笑みを崩さない。


「あぁ」


即答だった。


「ぜひ聞かせてくれ」


その返事にコピは僅かに口角を上げる。


まるで面白い相手を見つけたかのように。


「分かりました」


コピは静かに頷く。


「では、お話ししましょう」


一拍置く。


そして――


「私がこの王国へ来た理由を」


--


「今日も配達物は多かったっすけど、やっと終わったっす」


茶髪のオールバックを整えながら話すのはサタ・ウィークだ。


「ご苦労だったな」


白塗りの顔をしかめながらゴエモンが頷く。


「ところでポートはまだか? またどこかで道草食ってんじゃねぇだろうな」


「ポートさんですからね〜」


サタは苦笑しながら砂で椅子を作り、その場に腰掛けた。


「サボり癖は一生治らない気がするっす」


その時だった。


ポートが瞬間移動で現れる。


「二人とも面白い情報ですぜ〜」


開口一番そう言う。


「カードが今日キングを出しやがったんで、チェスの旦那に試合を申し込んだんですよ〜」


「何?」


ゴエモンの眉が動く。


「もうすぐ修練場で始まるから急いだ方がいいですぜ〜」


ポートはニヤニヤしながら続けた。


「じゃ、俺は先に行くんで〜」


言いたいことだけ言うと、その姿は再び消える。


「待てコラ!」


ゴエモンが叫ぶ。


だが既に遅い。


「相変わらず自由な人っすね……」


サタは苦笑した。


「でもカードさんとチェスさんの試合は気になるっす! 早く行きましょう!」


「そうだな」


二人は顔を見合わせると超能隊本部へ向かって走り出した。



超能隊本部・修練場


修練場の中央。


二人の戦士が向かい合っていた。


「しゃあ! やってやるぜ!」


剣を構えるのはカード・レッドミル。


左頬にはスペード。


右頬には”K”の文字。


背中では黒いマントが揺れている。


その対面に立つのはクイーン。


真白の鎧を纏い、自身の身長にも迫る大剣を片手で持ち上げていた。


「私は敵のキングを討ち取るために存在している」


クイーンは静かに大剣を構える。


「貴方も倒してみせましょう」


修練場の周囲には超能隊の面々が集まっていた。


皆、この試合を見逃す気はないらしい。


「この二人の試合、お前も気になるのか〜?」


ポートが瞬間移動で現れ、隣に立つレイへ話しかける。


「そりゃあね……」


レイは苦笑した。


「僕の戦い方って、ひたすら削るだけだから……」


「カードさんやクイーンみたいな正面からの戦いには憧れるよ……」


「分かるな〜」


ポートも頭を掻く。


「俺も似たようなもんだからな〜」


少し離れた場所ではアクアがチェスへ話しかけていた。


「チェスさん、学校は大丈夫なんですか?」


「フォフォフォ」


チェスは長い白髭を撫でる。


「今日はカードが朝から家に乗り込んできてな」


「だから学校はブレイクに任せてきたわい」


「そのブレイクさんは災難ですね」


アクアは苦笑した。


「羨ましすぎるだろ!!」


ゴクウが白い煙の上で身を乗り出す。


「チェスさんがクイーンを出してくれるなんて滅多にねぇぞ!」


「はぁ……」


修練場全体へ結界を張っているゴジョウがため息を吐く。


「試合のたびに俺が結界を張る身にもなってくれ」


「でも楽しみだよね〜」


「この試合、本当にどっちが勝つか分からないし」


ハッカイはのんびりと笑う。


「お兄ちゃん頑張れー!」


イスは手を振りながら兄であるカードを応援していた。


観客達の期待が高まっていく。


すると修練場の中央へフレイが歩み出た。


「それでは始めるぞ」


フレイはカードとクイーンを見渡す。


「二人とも準備はいいな?」


カードは剣を握り直し、


クイーンは大剣を構えたまま頷いた。


それを確認したフレイは口元を吊り上げる。


「それでは――」


右手を振り上げる。


「試合開始!!」


ドォォォン!!


フレイの起こした爆発音が開始の合図となり、


カードとクイーンは同時に地面を蹴った。

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