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unlimited  作者: 轟号剛


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3/21

道場破り

超能隊本部。


街の中でもひときわ大きな建物の一階は酒場のようになっており、昼間から酒を飲む者や仲間同士で談笑する者たちで賑わっていた。


そんな穏やかな空気をぶち壊すように、入口の扉が勢いよく開かれる。


バァン!


「ここの一番強い奴を出せ!」


店内の視線が一斉に入口へ集まる。


そこに立っていたのは、茶髪のツンツン頭にピアスを付けた若い男だった。


「トップと今すぐ戦わせろ!」


威勢よく叫ぶ男に、酒を飲んでいた一人の男が立ち上がる。


「なんだお前、道場破りのつもりか?」


黒髪のボサボサ頭。


チーム・ブルームのビースだった。


「だったらまず俺が相手してやるよ!」


ビースは床を蹴って飛び上がる。


その瞬間、両腕が巨大なゴリラの腕へと変化した。


「うおおおっ!」


勢いそのままに殴りかかろうとする。


しかし――


「やめぇぇぇい!!」


二階から響いた怒号に、店内全員が反応した。


ビースの動きが止まる。


二階中央の扉から現れたのは、黒と白が混ざった髪を持つ筋骨隆々の老人。


超能隊隊長。


ブレイク・ハスメルだった。


「ブレイクさん!」


ビースは不満そうに眉をひそめる。


「なんで止めるんだよ! 向こうから売ってきた喧嘩だぞ!」


「ビースよ」


ブレイクはゆっくり階段を下りる。


「どうやら喧嘩を売られたのは私らしい」


その一言だけで空気が変わった。


「ならば私が買うのが筋というものだろう」



修練場へ移動した後。


「所で、お主の名は?」


ブレイクが尋ねる。


「バル・ジャック」


男はニヤリと笑った。


「これからお前を倒して、超能隊のトップになる男だ!」


周囲から失笑が漏れる。


呆れる者。


面白そうに笑う者。


無表情な者。


反応は様々だった。


しかしブレイクだけは真顔だった。


「うむ」


ただ一言。


「威勢だけは立派じゃな」



泡弾(バブル)!」


バルの掌から泡が放たれる。


一直線にブレイクへ向かう泡。


だがブレイクは動かない。


右手を前へ出すだけ。


パチン。


泡は右手に触れた瞬間、跡形もなく消滅した。


「なっ……!?」


バルの表情が変わる。


「何が起きた?」


「消えた?」


見守る者たちの間にもざわめきが広がる。


しかしブレイクは平然としていた。


「終わりか?」


「まだだ!」


バルは大量の泡を生み出す。


泡機銃(バブルマシンガン)!」


無数の泡が弾丸のように飛ぶ。


だが結果は同じだった。


ブレイクの右手が触れる度に泡が消えていく。


爆発もしない。


音すら残らない。


まるで存在そのものが消されているかのようだった。



巨大泡(ヒュージバブル)!」


最後の切り札。


天井近くまで膨れ上がった巨大な泡が突進する。


それでもブレイクは避けない。


右手を前に出す。


触れた。


次の瞬間。


巨大な泡は一瞬で消滅した。


まるで最初から存在していなかったかのように。


静寂が訪れる。


「……」


バルは膝をついた。


「俺の負けだ」


握り拳が震えている。


「ここまで差があるとは思わなかった」



「どうだ?」


ブレイクが手を差し出す。


「超能隊に入らんか?」


バルは驚いた顔をした。


「俺を?」


「能力も悪くない。根性もある」


ブレイクは笑う。


「鍛えればもっと強くなる」


バルはしばらく黙り込む。


だが首を横に振った。


「悪いな」


立ち上がりながら答える。


「俺はトップになるために来たんだ」


その目にはまだ闘志が残っていた。


「部下になる気はねぇ」



バルが去った後。


パシーが首を傾げる。


「もっと良い勝負になると思ったんですけどね〜」


ブレイクは小さく笑った。


「相手が悪かっただけだ」


「と言いますと?」


「私の能力に気付けば、もう少し善戦できたじゃろう」


周囲の隊員たちがブレイクを見る。


ブレイクは自分の右手を見つめた。


「右手で触れたものを破壊する」


さらりと言う。


「それだけのこの能力の対処法などいくらでもある」


その場にいた全員が苦笑した。


それだけ。


その”それだけ”が恐ろしいことを、誰もが知っていたからだ。

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