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unlimited  作者: 轟号剛


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26/41

風神雷神

「ゴクウ、煙をくれ!」


マッスの叫びに、ゴクウは無言で頷く。


白い煙を大量に放出すると、それはマッスの全身へと纏わりついていった。


「その煙はそこまで頑丈じゃねぇからな。気をつけろ」


ゴクウが忠告する。


「あぁ!」


マッスは短く返事をすると、一気にボルトへ向かって駆け出した。


雷鳥ライチョウ


ボルトの周囲に無数の雷の鳥が生み出される。


鳥達は鳴き声のような放電音を響かせながら、一斉にマッスへ襲いかかった。


転移テンイ


その進行方向へ突如ナイフが現れる。


雷鳥達はナイフへ衝突し、激しい火花を散らしながら霧散した。


その隙を突き、マッスがボルトの懐へ潜り込む。


勢いそのままに、アッパーを放つ。


雷纏ライテン


ボルトは全身へ雷を纏う。


瞬間。


その姿が掻き消えた。


凄まじい速度でマッスの拳を回避すると、カウンターで腹部へ拳を叩き込む。


――だが。


マッスはその動きを見切っていた。


白煙を纏った腕でボルトの拳を押さえ込む。


「流石の反応だ」


ボルトは感心したように呟く。


「そっちこそな」


マッスは短く返すと、拳を突き出して距離を取った。


その瞬間。


ボルトの背後に黒玉が出現する。


次の瞬間、黒煙が爆発的に広がり、ボルトを包み込んだ。


「このまま潰れろ!」


メタがゴクウから受け取った黒玉を転移させたのだ。


黒煙は球状に圧縮されていき、中のボルトを押し潰そうとする。


――しかし。


「嘘でしょ……」


黒煙の内部から電流が漏れ始める。


そして次の瞬間。


バァン!!


轟音と共に黒煙が吹き飛ばされた。


その中心には、球状の雷に包まれたボルトが立っている。


雷神ライジン


ボルトの姿が変貌する。


背中には輪のように雷が巡り、その周囲には太鼓のような装飾が等間隔に浮かんでいる。


首には緑色の手拭い。


両手にはダンベルのような武器が握られていた。


「こっからが本番ってことかよ……!」


ゴクウは冷や汗を流しながら棒を構える。


いつの間にか空には分厚い雲が集まり、雷鳴が響いていた。


轟雷ゴウライサバキ


ボルトがダンベルで背後の太鼓を叩く。


ドン!!


その瞬間、上空の雷雲から凄まじい雷撃が三人へ降り注いだ。


「これはヤベェ!! お前ら俺に近寄れ!」


ゴクウは叫びながら腰から黒玉を三つ取り出し、上空へ投げる。


黒煙ブラックスモークウォール


三人の上空に巨大な黒煙の壁が形成される。


雷と黒煙が衝突した瞬間、黒煙は一瞬で消滅した。


だが、その間に雷撃を防ぐことには成功する。


しかし黒煙の範囲外へ落ちた雷は、周囲の木々をまとめて消し飛ばしていた。


「マ、マジかよ……」


マッスが呆然と呟く。


破壊された森からは煙が立ち上っている。


「散るのよ! 一箇所に固まってたら危ないわ!」


メタの叫びと共に、三人は別方向へ散開する。


「また今のをやられちゃ敵わねぇ! 援護してくれ!」


マッスはゴクウとメタへ叫ぶと、再びボルトへ向かって駆け出した。


転移テンイ


メタが手を向ける。


するとボルトの周囲へ四つの黒玉が現れた。


黒煙ブラックスモークニードル


四つの黒玉は巨大な黒煙の針へ変化し、ボルトを覆う球状の雷へ突き刺さる。


バチバチバチッ!!


黒煙の針は消滅した。


だが同時に、球状の雷も消え去る。


「オラァァ!!」


白煙を纏ったマッスは、一気に距離を詰める。


地面を強く蹴った瞬間、その姿が消えた。


次の瞬間にはボルトの背後へ回り込み、拳を振り下ろしている。


「遅い」


ボルトの姿が残像のように掻き消える。


真上から声が響いた。


轟雷ゴウライショウ


ボルトはダンベルをマッスの胸元へ叩き込む。


瞬間。


凄まじい電撃がマッスの全身を貫いた。


「がぁぁぁ!!」


マッスの体は勢いよく吹き飛ばされる。


何本もの木々をへし折りながら、それでも止まらない。


遥か遠方まで吹き飛んでいった。


「マッス!!」


メタが悲鳴のような声を上げる。


その視線の先では、木々が次々となぎ倒されていた。


「……この怪物が」


ゴクウは誰にも聞こえないほど小さな声で呟く。


その額から、一筋の汗が流れ落ちた。


-


「さっさとお前らを倒して、ボルトさんのところに行かないといけないんだ」


空中で激しくぶつかり合っていたウィンドは、アクアとフレイを風圧で弾き飛ばして距離を取る。


「出し惜しみ無しでいくぞ」


ウィンドは両手の掌を合わせた。


風神フウジン


その瞬間。


暴風がウィンドの周囲を取り囲み、姿が変化していく。


右手には白い手拭い。


全身には黒と白の刺青のような模様が浮かび上がっていた。


「お前らはまだ、この領域まで来れてねぇからな」


ウィンドは薄く笑う。


「すぐ決着がつくだろ」


手に持った手拭いを、フレイへ向けて振るった。


暴嵐ボウラン鎌鼬カマイタチ


手拭いから放たれた風は、刃のような鋭さを持って一直線に飛来する。


「なっ、早い!」


フレイは咄嗟に両腕へ炎を纏わせ、防御姿勢を取った。


水切ミズキリ


アクアは掌に水を生み出し、それを圧縮して投擲する。


水は鎌鼬へ衝突し、一瞬だけその勢いを止めた。


――しかし。


鎌鼬は水を弾き飛ばし、そのままフレイの腕へ直撃する。


「ぐおぉぉぉ!!」


フレイは足から炎を噴射し、無理やり空中で踏みとどまる。


だが威力を殺し切れず、そのまま大きく吹き飛ばされた。


「フレイ!」


アクアが叫ぶ。


吹き飛ばされた先で、フレイは片手を上げて無事を示した。


「ふっ、体を真っ二つにするつもりだったんだがな」


ウィンドは楽しそうに笑う。


そのまま何度も手拭いを振り、無数の鎌鼬を放つ。


フレイは炎を噴射して回避を続けるが、全てを避け切ることはできない。


鋭い風刃が次々と体を掠め、血が舞った。


「やめろ!!」


アクアは怒声を上げ、水の剣を生成してウィンドへ斬りかかる。


だが。


ウィンドはその動きを読んでいた。


アクアの腕を掴むと、そのままフレイ目掛けて投げ飛ばす。


「うわっ!」


フレイは慌ててアクアを受け止める。


しかし勢いを殺し切れず、二人はそのまま地面へ激突した。


ドゴォン!!


暴嵐ボウラン怪鳥カイチョウ


再びウィンドが手拭いを振るう。


すると巨大な風の怪鳥が出現し、アクアとフレイへ向かって急降下した。


水竜スイリュウ!」


炎虎エンコ!」


二人も同時に能力を発動する。


巨大な水竜と炎虎が怪鳥へ突撃した。


だが怪鳥は、水竜を鋭い脚で切り裂く。


さらに嘴で炎虎の背へ突き刺さり、そのまま二つの能力を打ち砕いた。


勢いを落とさぬまま、怪鳥は二人へ迫る。


「行くぞアクア!!」


フレイは叫ぶ。


その拳が灼熱で真紅に染まっていく。


「分かってる! 死ぬ気でやれよ!!」


アクアも水の剣を握り締める。


二人は同時に地面を蹴った。


怪鳥へ向かって飛び上がり、拳と剣を嘴へ叩き込む。


「「うぉぉぉぉぉ!!」」


凄まじい衝撃。


空気が震え、周囲の木々が揺れる。


それでも二人は押し負けない。


拳と剣を振り抜いた瞬間――


怪鳥は霧散した。


しかし同時に、激しい突風が吹き荒れ、二人を大きく後退させる。


「はぁ……はぁ……」


アクアは肩で息をしていた。


体力は限界に近い。


「おい、このままだとジリ貧だぞ!」


焦りを隠せず叫ぶ。


だが。


フレイは真っ直ぐウィンドを見据えていた。


「俺に秘策がある」


その言葉に、アクアは目を見開く。


フレイの表情には、不思議と確信が浮かんでいた

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