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unlimited  作者: 轟号剛


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13/16

開幕

—北門


北門の前にはチーム・カインズのアブ、オーラ、ウェンの三人が並んで立っていた。


「本当に来るのかな〜。むしろ来ないで欲しいよね〜」


ウェンは門にもたれかかるように座り込み、やる気のない声を漏らす。


「何言ってんだ。この前の借りを返さねぇと気が済まねぇよ」


オーラは拳を打ち合わせながら不敵に笑う。


「コピ本人が来るかは分からないけどね。でも予告が本当なら、もうすぐ正午。相手も動くはずよ」


アブはそう言うと、座り込んでいるウェンの肩を掴み無理やり立たせた。


「ウェンもちゃんと準備しなさい」


「何でこういう時に僕の担当なんだろうな〜。こういう戦闘はチューズとかマンの役目でしょ〜」


「そんな都合よく襲撃日が決まるわけないでしょ」


アブは呆れたようにため息をつく。


「お前も毎日人格が変わるなんて不便な身体だよな」


オーラはそう言うと地面に手をつき、待ち時間を潰すように腕立て伏せを始めた。


しかし数回身体を上下させたところで、その動きが止まる。


「……来たな」


オーラはゆっくりと立ち上がった。


その視線の先。


森の奥から人影が次々と姿を現していた。


「何で門が閉まっているんだい? それに、あれは超能隊か?」


集団の先頭を歩く紫髪の女――ポイン・エルセムが隣の部下へ問いかける。


「どうやら襲撃の情報が漏れていたようですね」


ふくよかな体型の女、イーツ・カルメンが静かに答えた。


「まぁ関係ないね」


ポインは不気味な笑みを浮かべる。


「報酬はもう受け取っている。超国を潰す良い機会だ。このまま攻め込むよ」


ポインが手を振り下ろした瞬間、配下の盗賊達が一斉に駆け出した。


「いきなり来やがったか! 俺達も行くぞ!」


オーラは拳を握りしめながら前へ出る。


「あ〜あ、本当に来ちゃったよ〜」


ウェンは迫ってくる盗賊達を見ながら、心底嫌そうな声を漏らした。


だがその目は既に敵を捉えている。


北門の戦いが、今始まろうとしていた。


—南門


南門を守っているのは、チーム・ブルームのバン、ビース、イスの三人である。


北門で盗賊達が襲来したのとほぼ同時刻。


突如として巨大な岩が空から降ってきた。


ドゴォン!!


岩は門の手前に激突し、砕け散る。


大量の砂埃が舞い上がり、周囲の視界を覆った。


「ロックの兄貴……毎回思うんでヤンスけど、この移動方法やめた方が良くないでヤンスか……」


砂埃の中から聞こえてきたのは情けない声だった。


やがて煙が晴れると、そこにはセージ三兄弟の姿があった。


末弟のヘアはうつ伏せに倒れたまま文句を漏らしている。


「そう言うなよヘア。俺はこの移動方法、楽だしスリリングで好きザンスよ」


次男のスードは笑いながら立ち上がる。


「門に直撃させるつもりだったが、少々外したガンス」


長男のロックは衝撃など感じさせない様子で仁王立ちしていた。


「やっと来やがったな」


地面に胡座をかいていたビースが立ち上がる。


「待ちくたびれたぞ」


鋭い視線が三兄弟へ向けられる。


「あっ、兄貴達! あれ超能隊でヤンスよね!? 何でここにいるんでヤンスか!? 計画が漏れてたってことヤンスか!?」


ヘアは門の前に立つ三人を見て慌てふためく。


「何だ。あいつら、こっちに宣戦布告したことを知らないのか?」


バンは首を傾げた。


昨日、コピが超能隊本部へ現れたことを三兄弟は知らないらしい。


「落ち着けヘア」


スードはヘアの肩を叩く。


「あっちには千里眼の能力者がいたはずザンス。俺達の動きを見られていたのかもしれないザンスよ」


「な、なるほどでヤンス……」


ヘアは少しだけ落ち着きを取り戻した。


「私、あの人達の顔知ってますよ!」


イスが手を挙げながら声を上げる。


「確か殺し屋のセージ三兄弟です!」


「へぇ……」


ビースの口元が僅かに吊り上がる。


「少しは楽しめそうじゃねぇか」


「俺達は依頼された仕事をこなすだけガンス」


ロックは淡々と言うと、そのまま門へ向かって歩き出した。


スードとヘアも後に続く。


「こちらも行くぞ」


バンが短く告げる。


その言葉を合図に、ビースとイスも前へ出た。


互いの距離が徐々に縮まっていく。


南門の戦いが、静かに幕を開けようとしていた。


—西門


西門では既に戦いが始まっていた。


団員数千人を誇るダチュラ盗賊団。


その盗賊達が三人を取り囲み、次々と武器や能力で襲い掛かる。


しかし――。


チーム・ファビュラスの三人は涼しい顔でそれらを捌いていた。


「そこだ!」


盗賊の一人が剣を振り下ろす。


だが、その瞬間にはポートの姿は消えていた。


「遅い」


背後から声が響く。


ポートは瞬間移動で相手の懐へ入り込み、手に持ったナイフを一閃。


盗賊は何が起きたか理解する間もなく倒れていった。


「ぐあぁ!」


「ば、化け物か!」


別の盗賊達が一斉に飛びかかる。


しかし今度はカードが前へ出る。


左手に持つクラブ型の盾で攻撃を弾き返し、右手に握る奇妙な形状の棍棒を振るう。


棍棒にあたる盗賊達の身体に深い裂傷が走った。


「雑魚が多すぎるな」


カード・レッドミル。


金髪のモヒカン。


左頬にはクラブマーク、右頬には数字の9。


不敵な笑みを浮かべながら敵陣を蹂躙していく。


そして最も恐ろしいのは三人目だった。


超能隊最強。


レイ・クアンタ。


目元を隠す黒髪と常に自信なさげな表情をした小柄な男。


盗賊達の攻撃は全てレイの身体をすり抜ける。


剣も。


槍も。


能力による攻撃すら。


まるでそこに存在していないかのように通過していく。


「ひっ……」


盗賊の一人が恐怖で後退る。


だがレイは無表情のまま鎌を振るった。


次の瞬間、その盗賊の首が宙を舞う。


血飛沫が上がる。


さらにもう一振り。


また一人。


また一人。


まるで草刈りでもするかのように首が飛んでいった。


「ば、化け物だ!」


盗賊達の士気は目に見えて下がり始めていた。


それでも数だけは多い。


倒れても倒れても盗賊達は押し寄せてくる。


少し離れた場所から、その光景を見ている男がいた。


ダチュラ盗賊団頭目。


サム・コルダン。


ちょび髭を撫でながら、面倒そうに戦況を眺めている。


「超国最強チームのファビュラスが相手か。貧乏くじを引いちまったな」


「こちらの兵がどんどん減っています。俺達も出ますか?」


隣に立つ肌の黒い大柄な男が尋ねる。


「いや、まだ待て」


サムは首を横に振った。


「兵なんてまた集めりゃいい」


そして細い目をさらに細める。


「今はあいつらを少しでも疲弊させる方が大事だ」


サムの口元がゆっくりと吊り上がった。


「それに――そろそろ号令を出す頃合いだ」


その表情にはまだまだ余裕の笑みが張り付いていた。


—東門


東門の前では、イゾウ・オカが一人立っていた。


その正面にはチーム・サイユウの三人がいる。


「おう、イゾウ。久しぶりじゃねーか」


ゴクウは雲の上で胡座をかきながら気軽な口調で話しかける。


「よっ、ゴクウ。元気そうで何よりだ!」


イゾウも笑顔で手を挙げて返事をした。


まるで旧友同士の再会のような空気だった。


「まさかお前が超国を潰しに来るとは思わなかったぞ」


長身のスキンヘッドの男――ゴジョウが杖を肩に担ぎながら口を開く。


「いやいや、俺は別に超国を潰す気なんてねぇよ」


イゾウは両手を上げて肩を竦める。


「俺の役目はここに来た奴らの足止めだけだ。それさえやれば大金が手に入るんだよ」


そう言うと、その場に胡座をかいて座り込んだ。


「じゃあ戦わなくていいんだね」


ゴジョウの隣に立つハッカイが穏やかな笑みを浮かべる。


巨大な体躯とは対照的に、その表情はどこまでも優しい。


「あぁ。昔話でもしながら時間を潰そうぜ」


イゾウはリュックから酒瓶を取り出し、一口飲む。


「なんだよ、つまんねぇな」


ゴクウは肩を落とした。


「じゃあ俺は別のところに行ってくるか」


雲を動かし、その場を離れようとする。


その瞬間だった。


キィィン――


甲高い金属音が響く。


イゾウが腰の刀を抜いていた。


振り抜かれた刀身は異様な速度で伸びていき、離れた位置にいるゴクウへ襲い掛かる。


だが。


ドン!!


ゴジョウが杖を地面に叩きつけた。


瞬時に結界が展開され、伸びた刀を弾き返す。


「だから言っただろ」


イゾウは刀をゆっくり元の長さへ戻していく。


「俺の役目はお前らの足止めだ。大人しくここにいてくれよ」


「ハッ!」


ゴクウの口元が吊り上がる。


「やっぱりやる気あるじゃねぇか!」


雲の上から飛び降りる。


「ゴジョウ! ハッカイ! やるぞ!」


「全く……」


ゴジョウは呆れたように息を吐く。


「結局こうなるんだね」


ハッカイも苦笑した。


「はぁ……」


イゾウは頭を掻く。


「やっぱりお前は黙っていられる男じゃねぇよな」


そう呟くと、再び刀の柄に手を添えた。


次の瞬間。


飛び込んでくるゴクウへ向けて居合斬りを放つ。


対するゴクウも長い棒を回転させる。


回転は加速し、遠心力を乗せた一撃へ変わる。


刀と棒が激突する。


ガァン!!


凄まじい衝撃が周囲へ広がった。


地面が揺れ、砂埃が舞い上がる。


競り合う二人。


だが互いの顔には恐怖ではなく笑みが浮かんでいた。


「相変わらずだな!」


「お前もな!」


二人の力がぶつかり合い、東門一帯に強風が吹き荒れた。

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