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第十八話 ――滅びの果て ――

 滝の音が、再び響いていた。


 雪ノ丈は、静かに膝をついた。


 氷雨は、まだ息をしていた。


 浅く、かすかに。


「……雪ノ丈君」


 その声は、ほとんど風だった。


 雪ノ丈は何も言わない。


 ただ、見つめる。


 氷雨は微かに笑った。


「……よかったよ」


 息が揺れる。


「本気の君に……斬られて」


 その言葉に、胸の奥が震えた。


 怒りでも、悲しみでもない。


 ただ、何かが残った。


 氷雨は空を見上げる。


「……ああ……」


 小さく息を吐く。


「引き際は……心得ている」


 そのまま、目を閉じた。


 動かない。


 滝の霧が、静かに包む。


 雪ノ丈はしばらく、その場にいた。


 やがて――


 刀を納める。


 その音が、やけに重く響いた。


 背後で足音がする。


「兄さま……」


 夏絵だった。


 雪ノ丈は振り向き、小さく頷く。


「……もう、大丈夫だ」


 それだけだった。


 二人は並んで立つ。


 滝の音だけが、世界に残っていた。

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