研究室24号室
少し二人で歩くと気になることが出てきた。
「ねぇ、研究室でどんなことをしてるのかみせてもらえない?」
「別に構わないけど、そんな派手じゃないし面白くもないよ。」
それでもいいなら、と言いながら近くの研究所24と書かれた部屋に入れてくれた。
どうやらここの部屋には全てロックがかかっていてそれを開けるカギはカードらしい。
「所長!」
入ると同時にこちらに気付き近寄ってきた。
「どうされたんです?何か研究に不備でもありましたか?」
「いや、特に私は何もないけど、招待客のこの人が是非研究の様子を見たいというからな、研究の様子を見せてあげようと思っただけだ、是非普段通り研究を続けてくれ。」
「なるほど!そういうことでしたか!是非!研究を見て行ってください!」
そういうと全員さっきの場所に戻り、作業を再開した。
私は遠慮せずに近寄って見ると、何やら薬品を調合しているらしい。
「ねぇ、これは一体何をしているの?」
私は神妙な面持ちをしている研究員に話しかけた。
「これは新しい薬の開発をしているところです、ここは機械を作るというより植物から抽出したものを薬に応用できないかと試行錯誤してるんですよ。」
「へぇ~、ちなみにあなたは何の薬を作ってるの?」
「私は血行を良くする薬を作りたいんですがなかなかうまくいかないんですよ。」
そういうものなのね、何かを作り出すのは大変ね。
「何か完成した薬はあるの?ぜひ見てみたいわ。」
「分かりました!これなんかどうでしょう?」
白衣のポケットから包装された薬が出てきて、渡してくれた。
「これはビタミン剤です、ビタミンが不足してるな~って時に飲んでほしくて作ったんですよ。」
すっごく目をキラキラさせて教えてくれる、本当に完成品があるのは凄いことで嬉しいんだなっていうのが伝わる。
「便利そうね、そのうち食事も薬一粒になったりするのかしら。」
「その可能性はあると思う、私の国では人間が仕事や趣味に忙しくなって睡眠の時間と食事の時間を削っている人が大量にいるからな。」
急に未来がしゃしゃり出てきた。
「それってやっぱり深刻な問題でしょう?」
今の話をしているときの未来の表情が険しくなっているのを私は見逃さなかった。
「そうだね、私はこっちに来てから食事と言う行動をしっかりとしたからな、私の国ではちゃんとした食事をするのは相当なお金持ちか、食事できるほど暇を持っている者たちがほとんどだ。」
「そんなことで生きてて楽しいのかしら、そんな世界切り捨てたくなるわ。」
「ここにいるとそう思うだろうが、あそこにいてはそれが普通だから文句も異議も無いんだよ。」
「でもあなたのこの研究ってここでも同じような事が起きちゃうんじゃないの?」
「安心してくれ、そういうことは起こらない、あくまでここでの研究は試験的なものであり実用性があるのはちゃんと検査をしている。」
「どうだか、いつのまにか食事が邪魔になって徐々に食事の時間が無くなっていくと予言しとくわ。」
未来は俯いているようにも見える。
(少し言い過ぎたかな)
「まあ……そんなことは今気にしてもどうしようもないことよ、そろそろ出ましょうか。」
「ああ…………そうだな。」
私は今にも倒れてしまいそうなほど前傾姿勢になっている未来を両手で抱えて研究室を出た。




