研究所3
「どう?ここのシステムはすばらしいだろう?」
「どうって言われても…」
(だいたいここがどういう場所かまだよく分かってないのよ)
そんなことをぼやっと思っていると後ろから近づいてくる気配がした。
「所長!新しいモニターですが非常に良い改良です、使用データをお渡しします。」
「ご苦労さん、後でチェックしてさならる改善点を絞り出しておくよ。」
はい!と返事をすると白衣を揺らしながらさっきの階段のような場所にあった大量のモニターの前に座る。
「さっきのはどういうこと?なにかの報告だったみたいだけど。」
「ああ、あれね、ここではいろんなものの開発だったり構想を練ったりしてるからね、そのデータや情報が入ってこないと改善点が分からないからね。」
(なるほどね……あれ?名前が書いてるわ)
名前を読もうとしたが書類は大きなモニターに繋がっている台座に置いたところボールのようなものに収納されてどこかに転がって行ってしまった。
「そういえばあなたの名前聞くの忘れてたわ、教えてくれる?」
「そうだった、すっかり忘れてた。」
私もこの場に圧倒されてつい聞きそびれてしまったから今が好機かもしれない。
「ちなみに名前と言うのはこの世界に置いて使っている偽名の方かそれとも本国にて生まれ賜った名前の二つがあるがどちらを知りたい?」
私はなんで二つあるの?と言う問いを飲み込んで。
「両方教えてもらえないの?」
中途半端な問いをしてしまった。
「確かにそう思うのは適切かもしれないがそれはある大きなリスクを孕んでいるため不可能と言っておく。」
「ならその訳を教えなさいよ!私も理由を言ってくれないとスッキリしないからね。」
私も意地になってせめて理由だけでも探ろうとする。
「なるほど、理由が気になるか、別にその点は不利益を被ることは無い為話すことは可能だ。」
彼女はモニターの方に向き直り、何らかの操作をし始めた。
「ちょっと待ってね、今私のデータからそこの部分を印刷して貴女に渡すから。」
しばらく待っている間にはカタカタと見知らぬ音が聞こえる。
(ペラとフレンは本当に大丈夫かしら、まぁここに映ってる以上は大丈夫よね)
30秒ほどの時間を過ごしてようやく何らかの機械から紙が出てきた、おそらくあれを出すための作業だったのだろう。
「久しぶりだったから少し手間取ったけど。」
私は30秒なら十分早そうだけどと思いながら、出てきたばかりで少し熱を持った紙を見る。
「私の名を軽々しく伝えられないのは私という存在自体に影響がある。
この国でもし私の存在が発覚されたとしても私はこの場所ごと移動できる術を持っている、しかし名前を世界に広められればこの空間から出ることすら叶わず永劫に空を見ることなく散るのは惜しいため、念の為どちらかに決めてもらっているわけだ。」
こう書かれているが正直釈然としない。
「これにあなたの存在がどうのって書いてるけど…あなたは何者なの?」
「それに関しても簡単には教えられないが、後に教えることが可能かもしれない為この場での回答は控えさせてもらう……そろそろどっちにするか決めてもらう。」
私はしばらく悩んだがもうこうなってはどっちでも良かったので本名を聞くことにした。
「じゃあ本名でお願いするわ。」
まるで喫茶店でカプチーノを頼むように言う。
「やっと決まったか、それじゃあ教える、私の本名は上白沢 未来だ。」




