研究所4
「かみしらさわ みく?珍しい名前ね。」
「そう思うのは当然の反応、こっちの世界では名前をカタカナでつけることが全てだが、私の産まれた国では殆どが名前を漢字で表すのでね、一種の文化の違いだよ。」
「それでこんな珍しい名前ってわけね。」
「そういうことだ、まぁ周りからは所長と呼ばれることが多いが。」
「なら普通に未来と呼ばせてもらうわ、私のことは好きに呼んで……って私のこと話すの忘れ…」
私の自己紹介を手で静止するように遮りまたもモニターに向かって操作をしている。
「いや、あなたのデータは既に回収済みだ、名前をシラリアと言い、髪は深い深海のような青で目は弾丸のような黒色、普段は木の匂いのする部屋で本を読むことが多く、刃物を見るだけで涎を垂らすほどの刃物好き、刃物を持つと性格が変わったように殺人鬼の目をする、ここから南西にある大きな森の中の館に住んでいる、何か違いはあるか?」
(なんでわかるのよ!本当に正確に合ってるわ…いや方角に関してはわかんないけど)
「なんで知ってるのよ、そもそも私が外に来たのもこれが初めてのはずよ。」
未来は勝ち誇ったような顔でくくくくと笑っている。
「私の科学力を舐めてもらっては困る、実はこっそり舘に潜入して、場所、行動パターン、住居人の外見等を逐一データに起こして地道に調べていた。」
(科学力と関係ないと思ったけど一応聞いとこう)
「それと科学力がどう関係するのよ、ただ不法侵入しただけじゃない。」
未来は態度を微塵も変えずに言う。
「どうやって侵入したと思う?実は私たちはどこへでも繋げられる扉を開発したのだよ、それをもってすればどんなところにも行くことが出来る。」
私はそんな恐ろしいものが裏で開発されている事実に驚いたが別に私たちにとって脅威はなさそうなのでふーんとしか思わない。
「それを使って私たちを調べたわけね。」
(正直自分のことを知られるのは気分のいいものじゃないけど)
「それで頼みって言ってたっけ、そろそろ教えて貰える?」
「あぁ!そうそう、あなたにぴったりの頼みがあるんだった、付いてきてくれ。」
私は未来のあとを付いて行きこの部屋を出てまた真っ白な廊下に出る、見れば見るほど淡白で虚無を思わせられる。
左右に研究室と書かれている部屋が左右に交互になるように配置されている。
少し進んだところにある部屋の前で未来は立ち止った。
「ここだ、中に入って。」
私はドアを開けようとしたがドアノブがないことに気づいて、どう開けようかと思ったが、何故か前に立っているだけでドアが空いた。
「コレってもしかして自動ドアってやつ?」
「そう、手を触れずともドアが空く初歩的な画期的な発明。」
未来は私が発明品に言及すると顔を綻ばせて説明してくれる、その時の顔は子犬みたいで可愛い。
観測室と書かれた部屋に入ると中には椅子に何らかの機械が付いていて何やらモニターと繋がっている。
「ここは何の部屋なの?」
この部屋は他とは違ってほぼ真っ暗に近かった、明かりはモニターの光とドアのガラス部分から入ってくる光だけ。
「この部屋はこのモニターとこの機械で人間のあらゆる能力を観測する部屋。」
未来が椅子の機械を取って見せてくれる、見た目は寒い地方で使われる耳あてのようなものにボウルをくっ付けた感じだ。
「これを頭に装着してシラリアの体を直接このモニターの中に送り込む。」
(私がこのモニターに入るですって?)
「じゃあ早速行ってらっしゃい!」
無理やり頭に被せられてスイッチを押された。
「ちょっと待ぁぁぁぁ……」




