謎の老人の正体と目的とは
「おっとっと」
危うく転びかけた。
ペラを追いかけるようにしてこの空間に入ったのにペラの姿がどこにもない。
不思議なのはこの部屋は後ろにある青白い空間の他にドアノブらしきものがない。
つまり閉じ込められたと言ったところ。
仕方が無いのでテーブルに座っていると、さっきの老人が青白い空間から出てきた。
「ねぇ、ペラとフレンはどこにやった?」
私は既にナイフを手に取りゆっくり這い出てくる老人の首を常に切れる状態に構えている。
「ほぅ、威勢がいいですね。」
老人は首元にナイフを添えられているにも関わらず、淡々とテーブルに行き、テーブルの下に置いてあった椅子を引っ張り出して座って一息ついている。
1度も狼狽えないその様子は圧倒的強者感が漂う。
「実はあの二人にはここと違う部屋に行くようプログラミングしておいたんです。」
プログラミング?それは一体どういうものかは分からないがこちらも毅然とした様子で対抗する。
老人をキッと睨みつけて不機嫌そうな顔をする。
「早くペラとフレンのところに連れていきなさい!」
「その前に私目の話でも聞いてもらおう、実は私目は貴方様をずっと探していたのです。」
「私を探していた?ってことは昔から私を知っているってこと?」
「左様です、実は私目はあの館の主人に仕えていた執事であり騎士の護衛隊長でした。」
へぇ、まだ生き残っていたのね、あの戦争で生き残りはいないと言われていたはずだけど。
「それで?元執事が私になんの用なの?まさかもう一度雇ってくれなんて言われても無理よ。」
敢えて突き放すような言葉を選ぶ。
「いえいえ、この歳であの館に仕えるのはなかなかにキツイものがありますので」
(まぁそうよね、正直今のところ必要ないし)
「ただ私目はこの国の真の後継者であるシラリア様を一目見ておきたいと思っていただけに過ぎん。」
「よく私がシラリアだってわかったね、貴女が私を見たとしても恐らく五歳とかそのくらいのはずよ、まさか何か追跡できるようなものを持ってたりとか、私に印をつけたとでも言うつもりかしら。」
「いえいえ、シラリア様は私目が見ていた頃とお変わりなく、直感的にシラリア様だと分かっただけですよ。」
「ならなぜフレンとペラが私の仲間だと分かったのよ!」
「ペラ様はよくシラリア様と仲良くしておられていたのを覚えておりまして、こちらも見覚えがあったため尾行していたらシラリア様の名を出されていたので、間違いないと思った次第にございます。」
「ここだけの話、私が仕えていたシラリア様にとってはお父上のアルベド様はペラ様の錬金術の力を利用したいと言っておられたので……私目はそれを阻止するためにペラ様を見ていた機会が多かったのが幸いしたのかもしれません。」
「私も父のことは嫌いだった、死んで清々したぐらいだしね、何度殺してやろうと思ったか。」
「死んだ者への暴言はここまでにしましょう、さてここからが本題なのですが、言葉で説明するより直接見てもらう方が早いと思うので、私目についてきてください。
私はポケットの中でナイフを握りながら話している、こうしてないとうまく話せないからよ。
「分かったわ、勿論ペラとフレンも連れて行くのが条件だけどね。」
「承知しております、では私目の後に続いてきてください。」
またもや意味の解らない青白い空間に飛び込む羽目となったが、元執事が先に飛び込んだので変なことは起こらないだろう。
この空間は出口が明確に分かるわけではなく、終わりが来るか分からないが気づけば部屋に飛び出されている。
「あ!シラリアだ~」
目の前にはテーブルに座って何かを手に持っているペラと液体の入った瓶を訝しげに見るフレンがいた。
しかしそこには元執事は出ていないようで見当たらない、この部屋もざっと見ただけだが扉がない、だがここには棚に医薬品のようなものや明らかな機械類のものがきちんと整頓されている。
(もう一度三人でこの中に飛び込めってことかしら)
「ペラ、フレン、またここに飛び込むわよ。」
「それって大丈夫なの?体が細胞まで細切れになりそうな不気味さがあるけど。」
「大丈夫、私を信じて。」
そう言い残してシラリアは飛び込んだ。
「まったく……ペラ、一緒に行くよ。」
私はペラの手を掴んで、離れ離れにならないように飛び込んだ。




