森を抜けてミルキー牧場
森がグラデーションのようにだんだん穏やかになっていく。
「こうなってきたらもう少しで森を抜けるよ。」
ペラは感覚で分かるらしい。
確かにさっきまでの猛々しい感じは一切消えて館の周りみたいに爽やかな森と言った印象に戻っている。
「ハァハァ、この森行きは楽だけど帰りは地獄ね。」
「そうだよ!だから私も街に行く時は最短距離で素早く行かないと体力も削られるし、迷ったら抜け出すのに倍の時間はかかるからね。」
目の前には私たちを祝福するかのような陽光が降り注いでいる。
その陽光は眩し過ぎたから、手である程度遮りながら森をぬけた。
森をぬけた先の景色は私がこれまでに見たことがないものだった。
辺りが一気に開けて若草色の低い草がそよそよと風で波のように揺れている。
私はこの世界の地図を見た事があるが、この辺は都心部から離れた自給自足の生活が主な農耕集落で、ここからでも牛や馬や豚などと言った生き物が木のゲートで囲まれている様子が見て取れる。
しかし都心部から外れたところと言っても、人は思ったより歩いている。
おそらく元々ここで自由自適に暮らしていた人たちに、都心部の人がこんな生活に憧れて引っ越してきたってところでしょうね。
「シラリアは初めてだよね、人の住む集落とかに来るのは。」
「…そうね、なかなか面白そうね、私の知らないことが学べそう。」
ふふっ、なんだか楽しくなってきた。
「全く、こういうところなんかいくらでもあるのよ、特に街の外れなんかには特にね。」
「ねぇ、ペラのオススメの所に行きたいわ、案内してくれる?。」
「私の話無視すんじゃないわよ!」
ペラが宥めるがフレンはプイッと向こうを向いてしまっている。
「やっぱりシラリア一人でゆっくり見て回っててくれる?私とフレンはちょっと行きたいところあるから。」
「まぁ別にいいわよ。」
「ありがとう!フレン行くよ。」
フレンは驚いた顔をして、引きずられるように連れていかれてたけど……しばらくすると小高い丘の向こうに二人の姿は消えていった。
とにかく進んでみるか……
「あれ、もしかしてペラのお姉さんかい?」
いっ!(びっくりした〜!急に話しかけられた!)
「まぁ……そうですね。」
「やっぱり!この辺じゃ見ない顔だからね。」
「いえ…まぁ確かに初めてですから…」
(どうしよう……多分ペラとかが私のこと話してるんだろうな、でも私外の人となんてうまく話せないよ。)
「そうだ!いつもこれペラちゃんにあげてるのよ。」
私はテンパっていたし、動機が異常なまでに早くなっていて、このままぶっ倒れちゃいそうで足元もふらつきながら出された手の中身を見る。
どうやら白い飴玉みたいね。
「これうちの牧場で採れたミルクを加工して飴玉にしてるのよ。」
へぇ~、小説とかだとこじんまりしてて動物の飼育に手いっぱいって感じだと思ってたけど案外手広く商売してるのね。
「あ、ありがとうございます……」
私はそう言って飴玉を受け取ると、逃げるようにペラの消えた小高い丘の方へ走った。




