五十一
王妃殿下のご出産も気になるけど、話のことも気になる。私は栄養が高い新作カボチャケーキを食べながらボーッとしていた。
「ミタリア、話は落ち着いてからにしよう。それに、いまは父上が城にいないから戻るまで、俺は父上の代理を任されている」
「リチャード様が陛下の代理?」
私は思いっきり緊張してしまう。
それを王子は悟ったらしく。
「おい、そんなに硬くなるなよ。無事に母上と子供が産まれたら父上は戻ると言っていた。今日の夜中か明日の早朝には戻ってくる」
今日か明日には戻るんだよかった……王子が代理とか言うから、私も何かしなくちゃと力が入ってしまっていた。
「それでな……今夜、ミタリアは俺とこの部屋に寝てもらう。理由は言えないが、これは父上からの命令だ」
「え、陛下の命令ですか?」
王子とは普段、お昼寝とかで一緒に寝ているからいいけど、緊張するから猫の姿でもいいかな。
「あの、リチャード様、猫の姿でもいいでしょうか?」
「あぁ、俺も狼の姿で寝るからいいぞ。ミタリア、けして俺の側から離れるな」
「えっ?」
「あ、いや、なんでもない。……それと、転生についての話を聞きたいんだが……明日、聞いてもいいか?」
転生の話……私は王子に「はい」と頷いた。
その後はベッドに並んで寝そべり。何事もなく、まったり恋愛の本を読んでいる。
「ミタリア、そろそろ寝るか」
「はい」
この夜の王子は変だった。ベッドの上で猫の私を狼王子はしっかり抱きしめて眠った。
いつもなら寝返りをしたり、お互いにへそ天ができるスペースはあったのに違った。両足でガッチリ胸に抱えて、片時も私を離さないように眠ったのだ。
+
今朝、目覚めと同時によい報告があった。
昨夜の二十二時過ぎに無事に女の子が生まれたとのこと。王妃殿下と赤ちゃんが良好で陛下が王城に戻っとも聞いた。
そうか母上と子供は無事で、父上も城に戻ってきたのだなと、報告を受けた王子はどこかホッとした表情を浮かべ、体の力を気を抜いたのがわかった。
昨日の夜からずっと緊張していた王子。
国王陛下の命令と言っていたから、どうして? と聞いてはダメかな……
(まだ私は王子の婚約者でしかないから……)
王子の部屋で朝食を終えた後、彼は隣の部屋で訓練着に着替え。
「いまから俺は騎士団の早朝訓練に行ってくる。ミタリアはベッドで寝ていてもいいし、書庫、庭園に行って好きにしていてくれ」
「え、好きに城の中を動いていいの?」
昨夜は何処にも行かさないってくらい、抱きついていたのにこの変化は何? と瞳で訴えたのがわかったのか。
王子はポリポリ頬をかき。
「そうか、そうだよな……昨夜は窮屈だったろ? ごめんな、まだ俺の能力が低いから……守るにはこうするしかなかったんだ」
「守る?」
「おっと、騎士団の訓練に遅れる。昼前には戻るから、それまで自由にしていて!」
王子は慌てて部屋を出ていった、本当に昨日から変だ。守るにはこうするしかなかった……その言い方は、まるで私を守っているような言い方だった。
何からか、私を守ってくれていたの?
+
騎士団の訓練後、部屋に戻ってきたのだけど"父上に呼ばれている"とお風呂と着替えを終わらせて王子はまた出ていった。
私は帰りを待ちながらまったり、彼のベッドで二度寝を楽しんでいた。
「……ミタリア」
ため息が聞こえた。
「ん、リチャード様? ……おかえりなさい?」
「戻ったよ、お前は……まったく、リラックスしすぎだろ」
王子がまったりしていいって言ったのに、へそ天したら怒られた。
「メイドが朝食の準備に来るから着替えろ」
「え、はい、着替えます!」
メイドたちの朝食の準備が終わり、遅めの朝食が始まった。王子は国王陛下に呼ばれた理由を教えてくれた。
「舞踏会ですか?」
「あぁ、そうだ。昨年の秋頃、学園入学祝いの舞踏会が途中で終わったろ?」
「あっ……」
チョココを見つけて私が舞踏会を止めてしまった。
その事に関してはお咎めなしになったけど……いま思えば大胆なことをしたわ。
「それで、父上は最後に『改めて舞踏会を行なう』と宣言したの覚えているか?」
「はい、覚えています」
「その舞踏会を五月ごろに入学祝い、俺の誕生会と母上の出産祝い――妹誕生記念を兼ねて開催しようという話がいまでているんだ」
「素敵。舞踏会、楽しみです」
「あぁ、俺も楽しみだ。ミタリアのドレス、宝飾品は俺が用意するし、エスコート、ダンスは俺とだけ踊ろうな」
「はい!」




