四十一 ヒロインは男の子!
男の人がヒロインだとすると……このゲーム、まさか趣旨が変わった?
庭園に集まった攻略対象とヒロイン(男)……男と男、BL? そうだとすると私は何役なの? 王子を兎ちゃん(男)に取られる悪役令嬢役?
前世、BLは嫌いじゃなかったけど、なんだか嫌かも。
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「(……嫌だわ)ふうっ」
「ミタリア? そんなに兎の裸が見たいのか? 俺よりもか?」
「えっ」
なぜ、そんな話になるの。
「そこの兎君! もたもたせず早く着替えろ!」
「は、はひぃっ、すみません!」
王子のとばっちりを喰らう、ヒロインこと兎君。
「絶対にミタリアには見せない、お前は俺だけを見ていればいい」
「ちょっと待ってください。私は兎君の裸なんて見たくなんか……(ありません)っ!」
自分が言った裸というキーワードで……あの時のことを思い返してしまい、王子の手の中で私の頬は真っ赤に染まった。
王子はそれに気付き楽しそうに聞いてくる。
「ミタリア、頬が真っ赤だな。……あの時のことを思い出したのか?」
「それは言わない約束です。あれは偶然、見てしまったんです」
「偶然か……俺は見たよ、驚いたミタリアの顔と、膨らんでまん丸な尻尾をね」
「リ、リチャード様!」
「クックク」
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あれは雪が降り積もった十二月。
その日、王子は時間ができたからと会いに来てくれて。私達はいつもの様に部屋で本を読んだり、おしゃべりしていた。
この時期は暖炉がついていても肌寒く、私達は獣化して、体を寄せ合い暖をとっていた。
『もう、帰る時刻か……』
王子は時計を見て呟く、どうやら、王子の帰りの時刻になったようだ。
私達はのっそりベッドから起き上がり着替え始めた。二人で過ごす時間は楽しくて、帰りの時刻になると寂しくなってしまう。
この日も寂しくて……
『リチャード様、次はいつ来られますか?』
と聞いて振り向いた先に、シャツを片手に着替え途中の王子を見てしまった。
凄く、鍛え抜かれた体……じっくり見て、背中を向けた。
『す、すみません』
『ん? ミタリアになら見られても平気だ。次は三日後か四日後の今日と同時刻かな? ……日付と時刻が分かり次第、早馬を送るよ」
(……早くても三日か四日後か)
『わかりました、リチャード様』
しばらく会えないと、がっかりしたのがわかったのか。
『明日と明後日は騎士団、魔導士たちとの合同狩訓練に父上と参加するんだ、ごめんな』
(国王と、合同狩訓練⁉︎)
『いいえ、私なら平気です……気を付けて行ってきてください』
『強がって、俺と会えなくても平気と言うか……ミタリアの本心は寂しいんじゃないか?』
寂しい……見透かされた?
『そのような、わがままは言えません!……あっ、』
見ないようにしていたのに、振り向いてしまった。
『はははっ、可愛いな。そんなに見たいのなら遠慮せず見ていいぞ。鍛えて最近、体が引き締まってきたからな』
『見ません……ま、待ってください、リチャード様! 近付いて見せようとしないでください』
『慌てているが、ミタリアも俺と同じだぞ……その可愛い下着で、俺に帰るなと誘っているのかな?』
(可愛い、下着?)
『いつ、見られてもいい様に選んでます、って! いまのは忘れてください』
『無理な話だな……』
てなことがあり、王子は楽しそうに私をからかった。
「ふふっ」
「お、なんだ? ミタリア、思い出し笑いか?」
「思い出し笑いなんて、し、してません……」
「そう? 黒の下着……」
ボソッと呟く王子と、ますます赤くなる私。
「そ、それは言わないでってお願いしたのに……もう、わかってます。あれはナターシャが選んだんです……私には大人すぎたの、って! ……リチャード様の意地悪!」
「ははは、アレは俺にも刺激が強すぎたな」
「刺激が強いって……」
そんなに凄かったの?
「はははっ、ミタリアの腕まで真っ赤になった。早く、俺の部屋に連れ帰ってスリスリしたい」
「リチャード様、みんなの前で言わないで!」
両手で押しても、びくともしない鍛えられた彼の胸を押した。
「俺と二人きりの時ならいいんだな」
「……うっ!」
私たちのやり取りを一人抜かして、みんなは黙って、見守ってくれていた。




