三十
父上やみんなが『チョココを食べなくて良かったよ』と、涙するミタリアに抑えていた感情が溢れて、気付けば彼女の唇を奪っていた。
(……もふもふ、柔らけぇ)
この時、お腹の熱くアザは熱を持っていた。体が熱い、我慢できず何度もキスしてしまったが俺に後悔はない。むしろもっとしたかった、猫じゃない彼女にもしたい。
お腹をに手を置く彼女に『お腹が熱いか」と聞いた俺に熱いと答えた彼女。いまは獣化していてミタリアのお腹のアザはどうなっているかはわからないが、俺は彼女と番になれたのかもしれない。
そうだと嬉しい。
愛しい、俺だけのミタリア。
チョココも落ちて濡れた彼女の手と体を拭き、メイドが俺の指示通りに準備した服と、ブレスレットをカゴに入れた。
「俺も着替えてくる」
脱衣所から出て濡れた軍服を脱ぎ、お腹を見るとアザはくっきり花の番紋が浮かんでいた……ミタリアのお腹にも浮かんでいるのか見たい、いま脱衣所に行けばミタリアのアザが見れる。
俺は首を振り、いいや、ダメだ……いまそれをしたら嫌われる。俺は心を落ち着かせてシャツとスラックスを履き替えるが、その間もはやる気持ちを抑えれずにいた。
(くそっ、落ち着かねぇ)
それと同時に牙がウズウズする、ミタリアを噛みたい、甘噛みしたいーーキスをしてからその欲は大きくなる。
リチャードと俺の名前を呼んで、脱衣所からワンピースを着て出てきたミタリア。前から可愛いと思っていたけど、さらに彼女は可愛いく見えた。
やばい、抱きしめたい、甘噛みしたい。
番紋は熱が篭るばかりだ。
+
――ミタリアが可愛い。
いま欲望のまま襲ったら怖がる……それは避けたい、落ちつくんだ俺。
「お茶にしょう」
メイドが準備していったお茶を桃が乗るテーブル、ミタリアが座ったのをみて今日の話を切り出した。
獣人が食してはならない食べ物の話。支援は当初の話から半分以下とはなったが、ローランド国に援助して貰っている人族。これからも人族と接触がある以上、やはり人族、カーエンの協力は鍵となるだろう。
俺たちは人族の食文化は知らないし、向こうだって俺たちの食文化は知らないだろう。このことに関して、父上と役員たちで慎重に話を進め、調べなくてはならないが……奴は苦手だ。
(あいつは俺のミタリアを狙っている。奴とは二人きりにさせてはならない。俺が無理なときは側近のリル、近衛騎士、従者にも頼もう)
「ミタリア、桃を食べる」
フォークにさしたて桃をだすと、困ったような照れたような表情を浮かべて、おずおず口を開けたミタリアの口に桃を放り込む。美味しいと食べる彼女の唇に着いた桃の雫、それを指先で拭いペロッと舐めた。
その俺の行動に一瞬で頬を染めた、ミタリアは席を立ち、遅くなるから帰ると言い出した。
(あ、しまった怒らせたのか?)
もう少し一緒に過ごしたかったが、日も暮れてし夜も遅くなった……気持ちを抑えて。
「明日……(の午後、気を付けておいで)」
と言おうとした、そのとき。
部屋の扉が叩かれ父上の伝達者が来た。
返事を返すと、伝達者は客間を用意したから泊まるようにと、ミタリアに父上からの言葉を告げた。それに断ることをせずお礼の言葉を伝えたミタリア。
俺は心の中で『まだ、ミタリアと一緒に過ごせる』と、ガッツポーズをとったのだった。




