二十九
王子は驚く私の唇にもう一度キスをした。
「可愛い、ミタリア」
「もうダメにゃ」
「なんで?」
なんでってお腹のあざが熱い、ムズムズが大きくなって……きた。
「にゃう……ん」
「ミタリア、腹が熱い?」
「リチャード様も?」
コクンと頷いた。
「そうかこれで……ミタリアは」
王子は嬉しそうに笑っていた。
手も洗い終わり、王子は丁寧に手をタオルで拭いてくれた。
「ミタリアが着ていたドレスは洗濯に出したから、準備したワンピースを着てくれ。俺も着替えてくる」
「……はい」
脱衣所を出て行く王子を見送り、準備されていた籠を覗いた。中にはブレスレットと真新しい下着と王子の好みだろうって分かる、腰にリボンの付いた薄いピンク色のワンピースが折り畳まれて入っていた。
(……王子はピンク好きなんだ)
ゲームだとミタリアのイメージカラーは濃いブルーだった。
+
「ミタリア、お茶がはいったよ」
「ありがとうございます、リチャード様」
準備されていたワンピースを着て、紅茶が用意されているテーブルに着く。紅茶の他に切った桃がガラスの器に盛られていた。
座ってと、王子も反対側に座って紅茶を一口飲み。今日のことを話しだした。
「正直に驚いたな……あの甘い香りのする食べ物が、俺たちにとって毒になるとは」
「そうですね。ほかにも人族では普通に食べていても、私たちは食べられない食べ物がまだ有りそうですね。また、逆もあるかも知れません」
「そうだな、調べてみないといけないな。あと食べてしまったときの為の対処方も調べないといけない……こればかりはカーエン王子殿下の協力の元、人族の食べ物を知り実物を分析しなくてはな」
「はい」
これは王子の言う通り、人族に頼り、人族の食べ物を食べなくてもいいくらいに、ローランド国でも食物が実ればいいのだけど。
理想は林檎、梨、バナナ、メロンかな?
――ふうっ、なんでだろう?
王子とキスした後からお腹のアザが熱を持ったままで、無性に王子に甘えたくて仕方がない。
ちょっとでも気を抜けばゴロゴロと喉を鳴らして、王子に頭を擦り付け『撫でて!』と王子の大きな手で撫でられたい、ブラッシングされたい。
もっと、もっとと鳴いて、喚いて、自分自身の要求を叶えたくて仕方がない。ここで本能丸出しな獣化のままだったら……絶対に王子に甘え倒す。
「ミタリア、桃食べる」
「ふぇっ?」
桃が乗ったフォークが私の前に差し出させれている、いまの私に『あーん』はご褒美だ、口を開けると甘い桃が口の中に入り、甘い桃をシャリっと噛み砕いた。
(美味しい)
「どう? 美味しい?」
「はい、みずみずしくて甘い、美味しいです」
「よかった。ミタリア、ここに雫が垂れてるよ」
王子の指先は私の唇を拭い、その指をペロッと王子は舐めた。
(ひゃぁ! 王子の知らない所で、王子に甘えたい気持ちを耐えている私にそれはないです)
これ以上、ここに居ては暴走してしまう。
へそ天以外の何かをしでかす前に帰ろう。
「リチャード様ありがとうございます。私、遅くなるのて、そろそろ帰ります」
急いで、テーブルから立ち上がった。
「あ、あぁ、そうだな。明日……」
と王子が言い終わる前にコンコンと、部屋の扉が響いた。王子が返事をすると国王陛下からの伝言者だと言い。部屋には入らず扉の向こう側から陛下からの伝言を私たちに伝えた。
「リチャード様、ミタリア様、お寛ぎのところ失礼いたします。いまから陛下からの伝言をお伝えいたします。『ミタリア嬢、今日は疲れただろうから客間に泊まっていきなさい。公爵家には既に連絡済みだ』そうです」
両親に報告済み⁉︎
「まぁ、ありがとうございます。国王陛下のお心遣い感謝いたしますわ」
ひえぇっ、そりゃないよ……国王陛下。
「分かった、知らせてくれてありがとう。ミタリア、夕食はここで取ろうな」
「……はい、リチャード様」
王子に甘えたい欲望が治らないから、すぐに帰りたかったのに。陛下からのお心遣いを断ることなんてできない、いや拒むことは許されない。
あーっ。
いま目の前で嬉しそうに微笑む王子に、頭をわしゃわしゃ撫でられたい……!!
ーーくっ、耐えて私!




