実は……終わりなんです。
ゴウエンジャーを自称する閻魔天達に西東は再度、質問をした。
「取り合えず、何がしたいんですか?」
西東の質問に自称レッドの閻魔天が胸を張りながら「人助けじゃ!」と口にした。
「我等が神父を連れてくるので待っているがよいぞ! 兎渡殿」
そう言い煙り玉を使い姿を消した三人は直ぐに神父をアパートに連れてきたのだ。
神父は何が始まるのかわからない様子で固まっていた。
そんな神父に兎渡がチョコタルトを手渡したのだ。
神父は眼を輝かせ、タルトをその場で頬張ると兎渡はそれを嬉しそうに眺めていた。
「あ、あの……お、美味しいですか……」
兎渡の言葉に満面の笑みで頷く神父。
「最高の激甘です。毎日でも食べたいくらい愛しい味ですよ兎渡さん」
「ま、毎日作らせてください!」
兎渡が頬を真っ赤にしながら神父にそう口にする。
「嬉しいです。是非よろしくお願いします」
「はい、アナタ」と笑う兎渡。
西東とアコ、そして閻魔天達は耳を疑った。
神である神父が交わしたのは紛れもなく婚姻であった。
少なくとも兎渡はそのつもりであり、神である西東と閻魔天の前で交わされた言葉に偽りを申し開きする余地は存在しなかったのである。
頭にハテナマークを浮かべる神父は自分の発言を振り返った瞬間、西東と閻魔天の顔をマジマジと見詰め自身の顔を指差した。
それを見て、無言で頷く西東と閻魔天。
「あれま……私は結婚するんですかね」
神父の言葉に更に頷く西東と閻魔天。
そんな神父に抱きつき胸を押し付けれ兎渡は、幸せそうに神父を見詰めていた。
スサノヲである西東は、縁結びとしても知られている。
西東の神としての初仕事が完了した瞬間であった。
それからは大変な騒ぎであった。天界の神父が十二支から奪い取った人間と結婚すると、誰もが騒ぎながらも、愛の為に十二支と戦った神父を愛の神等と呼ぶ者すら現れる始末。
因みに結婚式は盛大に行われ天御中主神や天照大神、更に七福神に孫悟空達まで現れ、正に神々しい式になったのだ。
兎渡と神父が式をあげ終わるとケルルロッテとダンバルが二人に五智如来からの祝福の言葉を伝え、披露宴から宴会に代わった会場は大いに盛り上がった。
其から神父は、アパートに住むことになり、神父が阿部南荘の兎渡の部屋に引っ越してきたのだった。
そんな神父の引っ越し祝い、それはブーケであった。
「次は西東さんとアコの番ですよ。神である私が祝福しますから派手にひらきましょう!」
予想だにしない展開に驚く西東とアコの手を引っ張る兎渡と神父。
そんな二人を待ち構えて居たのは、アパートの下に集まる大勢の仲間達であった。
「西東! ダンジョンを攻略したように確りな」
「アコも、ちゃんと西東さんに尽くすのよ、ライバルとして心配だわ」
そこにはケルルロッテ、ダンバル。
「西東さん。怪我したら何時でも来てくださいね。白衣の天使よつ葉とうっかり小野君が何時でも待ってますからね」
よつ葉さんと小野君。
「「西東殿、夫婦円満は笑うことですよ」」
風伯と鳴神と西東に関わりのある者達が全員集まっていたのだ。
「見てみて! みんないるよ西東!」
その光景にはしゃぐアコは笑っていた。
「さあ、西東さん早く」
神父に言われてアパートの階段に立つ二人。
「西東、ううん、大輝……その……」
照れくさそうにするアコは、チラチラと西東を見ていた。
西東は勾玉を繋いでいた金のリングを数珠から取り外し、アコを見詰めた。
「アコ、幸せにしてもいいよね?」
西東の言葉に、コクりっと頷くアコの顔は真っ赤であった。
「愛してる。アコは僕の一生のパートナーだ」
アコの指に少しデカ目のリングが西東からはめられると一斉に拍手が沸き上がる。
西東とアコが口付けを交わしたのだ。
二人のラフな口付けが終わるとアコがブーケを手に声をあげた。
「さあ! ブーケパスよ!」
アコがブーケを放り投げる。
その瞬間、アコが西東の方を向き、西東の顔を押さえて情熱的なキスをした。
「これからも、大輝は私の大切な人なんだから、いっぱい大好きなんだからね」
「うん。僕もだよ。アコ愛してる」
ーー僕はまだまだ半人前の神様でアコと一緒に成長していく。色々と問題も出てくるし、夫婦になれば困らされる事もあるだろ。それでも僕は、そんなアコを愛してる。
「さあ! 私達も行きましょう、大輝」
「だね。皆に感謝を伝えたいからね」
「「せーの、ありがとう!」」
『危ない天使☆無邪気な笑顔にチェーンソー!パートナーの僕は困ってます』
END
短い間の連載になりましたが、感想を沢山頂きありがとうございました。(^^)
スゴく楽しく書けました。
なぜか始めたスプラッタ系ラブコメでしたが無事にゴール出来ました。
皆様に感謝です。♪ヽ(´▽`)/




