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追放アイテム士は倹約家 ─え、新しいパーティでは消耗品代をパーティ資金から出してくれるんですか!?─  作者: 藤咲理久


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第二十六話 第十一階層到達祝い

 パーティハウスに帰り着くと、アンネが出迎えてくれた。


「おかえり皆! 予定通りだったね! ……って、どしたの? なんか皆機嫌悪い?」


 疑問符を浮かべる我らがパーティの敏腕メイドさん。


「その、えっと……あはは」


 ……皆の機嫌が悪い原因は私にもある。だから、私は笑って誤魔化すことしかできなかった。


※※※


「なにそれ! 酷くない!?」


「酷い。だから私達も怒っていた」


 事情を説明すると、アンネまで怒り始めた。


「アルマ! そんな話無視していいからね!」


「え、あ、うん」


 それはアンネが決めることではないのでは? と思ったが、勢いに負けて頷いてしまった。

 ……実際問題、ギルドからの命令とあれば、断るのは難しいのでは?


「ギルドから『光輝の剣』に戻るように、みたいな命令来たら、アンネ含めて皆で王都から逃げるか」


「あ、いいねそれ! 行くならどの街にする?」


「えっ!?」


 突然の逃亡計画。アンネすらノリノリ。


「アルマ、うちはこういうパーティだ」


「そうです。仲間が最優先ですよ」


「……そっか、ありがと」


 レティとアウラの言葉に、私は少し照れながら感謝を伝えた。

 ……なんか照れてる私を見て、如何にも微笑ましいものを見たというような表情をされて、若干ムッとしてしまう。


「その表情やめてよぉ」


「ふっ……ああ、すまない」


「ふふ、そうですね。失礼しました」


 言いつつも、なんだか生暖かい目で微笑まれている。うぅ……。


 そんなやり取りをしていると、レオンが立ち上がった。


「よし、切り替えるぞ。帰ってきてから不快なことはあったが、今回の俺達の探索は大成功だったんだ! パーッと祝おうぜ!」


「そっか……前のときは私の加入祝いだったけど、今回は皆の最高到達階層更新だからね、しっかりお祝いしなきゃ」


「あ、忘れてた! 準備の続きしないと! 皆はゆっくりしといて! 私がパーティの準備するから!」


「祝いというのは、理由さえ明確なら、何度あったっていい」


「ザシャがそういうことを言うのは珍しいな。だが、同感だ」


 席を立って準備しに行くアンネ。

 私達はお言葉に甘えて、ゆっくりまたせてもらうことにする。


 その後準備途中のアンネが一旦お茶と茶菓子を持ってきてくれた。「これでも食べて待っていて」とのこと。


 ……美味しい。これ、買うと高いんじゃないかな?


※※※


「というわけで、皆のお陰で念願の第十一階層に到達できた! まだ素材の売却はできていないが、ダンジョンで獲得できた収入もかなりのものだと思う! この調子で、次回は第十二階層を目指そう! 次階層への到達ペースとしては早すぎるが、ぶっちゃけると第十一階層の探索に留めるのは、アルマのスペックがもったいないからな!」


「そうですね。今回最後のレアエネミーは大変でしたが、それ以外は第十階層の試練獣(ボス)を含めても、どれも余裕を持って対処できていましたし」


「異議なし。俺ぁいっそさっさと第十三階層目指してもいいんじゃねぇかって思うがな」


「流石にそれは逸り過ぎだ。第十二階層まではアルマが経験している階層だが、第十三となると、昔のオリハルコン級が残した文献などの調査をして挑んだほうが良い」


 準備の整ったパーティー会場……となっているパーティハウスの食堂。

 そこで皆飲み物のジョッキを片手に、ヴェイセルの挨拶を聞いていた。

 その内容に、アウラ、レオン、ザシャが口を挟んだ。ヴェイセルが一つ咳払いをして、仕切り直す。


「んんっ! ま、そういうわけだ、俺達は今順調に進んでいる。この調子で今後も頑張っていこう! というわけで第十一階層到達おめでとう! 乾杯!」


「「「乾杯!!!」」」


 ジョッキの中身は、私の歓迎会のときにので美味しかったクリスタルエールのクレセント。

 この喉越し、味わい……二度目だけど感動的。


「さ、料理もどんどん食べてね! いっぱいあるから!」


「うお……エターナルロブスターか。ホントに豪勢だな」


「もう、レオン忘れたの? このエターナルロブスターはレオンが取ってきたんじゃん」


「は? そうだったか?」


「そうだよ。私のスキルで劣化しないようにずっと管理してたんだからね? いずれ第十一階層に到達したら、そのときの祝いで食おうって言ってたでしょ?」


「ああ! あのときの! マジか、覚えてたのかアンネ」


「もちろん! というか、レオン以外にも皆似たようなことしてたから、そういうお祝い用に保存していた食材、どんどん使っちゃってるからね?」


 アンネはどんどん料理を持ってくる。

 一品目が元々レオンが用意したらしいエターナルロブスター。エターナルロブスターといえば、数千年生きるとか、永遠に生きるとか言われているロブスターだ。ちなみに、サイズは普通のロブスターだが、普通に非戦闘ジョブだと一撃で殺されてしまうぐらい強い。


 そんなエターナルロブスターをシンプルに茹でた物が二十尾程。いくつかのソースが準備してある。……このソースはアンネのお手製らしい。ディップして食べるものとのこと。


「じゃあ、私もエターナルロブスター食べてみていい?」


「もちろん! どうぞどうぞ! こっちは甘辛系、こっちは酸味の効いたあっさり系、逆にこっちはこってり系、そしてシンプルにバターだよ」


 アンネに勧められるまま、甘辛系のソースにディップ。口に運ぶ。


 !? 何この食感、すご……そして旨味がっ! やばっ!!!


「めちゃくちゃ美味しい……」


「そう? よかった! 他の料理もどんどん持ってくるよ」


 それから、アンネは今まで皆が「第十一階層に到達できたら食べよう」と言っていた食材を調理したものを次々に持ってきた。


 ヴェイセルが用意したらしいフロストワイバーン希少種の喉肉のステーキ。この希少種はブレスが特に強力な種らしく、喉の肉は良質かつ高濃度の魔力を帯びていて美味しいらしい。

 さらに、ヴェイセルは赤ワインも用意していたらしい。ドラゴンブラッドという商品名の赤ワインだ。高濃度の魔力がある環境でしか育たない特殊なぶどうを使って作るとのこと。これまた芳醇な魔力を含むそうだ。


「信じられないほど美味しい」


「いい肉だろう。ワイバーンやドラゴンの喉肉は魔力の質も肉質もいいんだ」


「本当に。こんなの始めて食べた」


 料理はまだまだたくさん出てくる。

 ザシャが用意したらしいデーモンサーモンを使ったカルパッチョ。

 肉料理の後にカルパッチョ? とも思ったが、なんとこの後もまだまだ他に肉料理があるそうだ。

 ……食べきれるかな?


 デーモンサーモンはかなり脂が乗っていてこってりしていたが、酸味の効いたソースがあっさりと仕立ててくれていて、最高だった。


 それからレティが用意したらしいエレメンタルディアのヒレ肉のロースト。

 これもまた、火入れ完璧、ソース激ウマだった。そしてやはり、魔力が濃い。美味い。いくらでも食べられそうだ。


 そして再びレオンが用意したらしい、ゴールデンミノタウロスのサーロインステーキ。

 ……ミノタウロス肉って食べられるんだ、って思った。


 食べてみると口の中で蕩ける脂が、幸せを運んでくる。

 体中に魔力が巡る。


 ああ……幸せだ。


 他にもどんどん皆が用意していた食材の料理が運ばれてきて、それらを平らげていった。

 ……正直、食べ過ぎな気がするが、どれも美味しくていくらでも食べられた。


 ……みんな、これだけいろいろなものを用意するほど、第十一階層への到達に強い想いを抱いていたんだな。

 その第十一階層到達に私が貢献できたなら、本当に光栄なことだと思う。


 最後に持ってこられたのはアウラが用意したという黄金りんごのシャーベット。

 デザートだ。


 よく冷えたシャーベット。その上品な甘みと酸味は、少し食べすぎた体でもぺろりと食べられてしまう。

 やば……幸せ過ぎる。


 みんな、笑顔で最後のデザートまで平らげた。

 みんな、それぞれの準備した食材を褒めちぎり、笑い合って食事をしていた。


 アンネも含め、皆で囲んだ食卓。皆で祝ったパーティー。

 その楽しい時間はあっという間に過ぎ、酒の回った私達はそれぞれの部屋へ戻って、心地よい眠りに就いた。

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