第4話:領地のデバッグと、現代心理学の蹂躙
皆様、第3話での「1000万ギル調達」への反響、ありがとうございます。
元・暗殺者のハンスを実務担当として仲間に加え、ようやく軍資金を手にしたリリアーヌ。
しかし、追放先の領地「アステリア」で彼女を待っていたのは、腐敗しきった代官と、絶望に沈む民衆でした。
「……あら。この領地、バグ(不正)だらけですわね。……一括削除して差し上げますわ」
カイルの「完全記憶」が暴き出す裏帳簿と、リリアーヌの「現代心理学」による精神的追い込み。
暴力を使わず、ただ『事実』と『恐怖』だけで強欲な代官を跪かせる。
これぞ、知略による領地経営。
それでは、第4話「領地のデバッグ」をお楽しみください。
追放先である辺境の領地、アステリア領。
そこに待っていたのは、歓迎の宴ではなく、肥え太った代官と、重税に喘ぎ、生気を失った民衆の姿だった。
「……リリアーヌ様。この領地の帳簿、あまりに稚拙だね。……僕の『完全記憶』に照らし合わせれば、過去5年分、少なくとも3000万ギルは使途不明金として処理されているよ」
カイルが馬車の窓から外を眺め、冷淡に言い放つ。
隣でハンスが、手に入れたばかりの1000万ギルの金貨袋を弄びながら、不敵に笑った。
「……社長。ここの役人ども、一掃しちゃいますか? ……僕の『掃除』、結構速いですよ」
「……いいえ、ハンス。暴力は野蛮ですわ。……代官様には、自ら『白旗』を振って、全財産を差し出していただくのが一番効率的でしょう?」
私は扇子を閉じ、代官館の重厚な扉を蹴破るようにして足を踏み入れた。
館の主、バルトロ代官は、突然現れた追放令嬢を鼻で笑った。
「……ふん。王都を追い出された小娘が、何を……。この地の法は、私が決めるのだ」
「……あら、そうですの? ……でも、あなたの『法』の根拠となっているその帳簿……。……ニルスという名の、ある天才技師が作った『偽造検知プログラム』にかけたら、どうなるかしら?」
「……なっ、何を……」
心理学における『ザイアンス効果』の逆用。
相手が「知られているはずがない」情報を小出しにし、精神的な逃げ場を奪う。
カイルが完全記憶で導き出した、代官が隠し持っていた「愛人の実家への送金記録」や「裏帳簿の保管場所」を、私はまるで予言者のように淡々と告げていく。
「……人はね、バルトロ。……自分が築き上げた『嘘の城』が崩れる音が、一番怖いものなのよ」
私は、彼の目の前に真っ白な「辞職願」と「全財産譲渡書」を置いた。
「……今すぐこれにサインなさい。……そうすれば、あなたの『汚職の記録』は、私の知略で綺麗にデバッグ(隠蔽)してあげますわ。……でも、拒むなら……明日には、あなたの首は広場のギロチンにかかっているでしょうね」
「……ひ、ひぃっ……! 署名します、しますから……!」
代官が震える手でペンを走らせる。
その背後で、カイルが呆れたように肩をすくめた。
「……相変わらず、エグい攻め方だね、リリアーヌ。……心理学というより、ただの『精神的買収』だよ、それは」
「……ふふ。……褒め言葉として受け取っておきますわ」
領地の支配権を、わずか数分で掌握。
手に入れた代官の隠し財産と、元手のアセット。
これらを元手に、ニルス(零)を呼び寄せるための「魔導通信網」の構築が始まる。
第4話、いかがでしたでしょうか。
リリアーヌの「人心掌握」と、カイルの「完全記憶による情報収集」。
二人のタッグにより、領地の腐敗を一瞬で解決しました。




