7話 無賃宿泊は有罪
そこにあったのは、緑生い茂る森の中に明らか不自然に建つ、人が入れるくらいの真っ赤な祠だった。
辺りはだんだん暗くなり、奥に見えていた木々も見えなくなってくる。
私はハッとなって、とりあえずその祠に入ることにする。
祠の中には特にこれといったものはなく、強いて言うなら砂利や小石が散らばっているくらいだ。
私はランプに火をつけて真ん中に置く。
祠の広さは前後も左右も私がぎりぎり横になれるていどで、高さはあまりない。
私が泊まるだけなら十分な広さだった。
お、ほどよい狭さでなかなか快適かも!
あとは毛布でもあれば・・・なんて思ってしまうけど、さすがにそれは無いからローブを丸めて枕にした。
さて、これからどうするかについて考える。
まず、私は今道に迷っていて、それも地図にない場所にいて、・・・。
そもそも道っぽい道もないし、もう方角を頼りに進むしかないわけね。
それと、だいぶ時間食っちゃってるからもしかしたら途中でヒッチハイクをしなきゃいけなくなる。・・・それだけは嫌ね。
とにかく明日は何としてでも方角を確かめて、その一方行に進む。もし川があったらそれをたどる。
それだけ決めて、今日は眠ることにした。
疲れていたせいか、眠りに入るまでの時間はそう長くなかった。
ーーーーーーーーーー
・・・・・・・・・・・きて・・・・・・・・
・・・起きて・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・起きて・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「う、んん~・・・?」
私は目が覚める。
・・・・・。
周りを見渡すと、そこは祠の中ではなく、白一面の何もない世界だった。
「・・・・・・・・・・。」
そういえば昔、転移の祠っていう長距離瞬間移動手段があるって本で読んだことあったっけ・・・。
そんな寝ぼけたことを考えていると、あることに気づいた。
白一面の何もない世界、あれ?・・・・リュックが無い。
ようやく目がさえてきたわたしは、いろいろなことに気づいた。
ランプもローブも・・・、杖も無かった。そしてなにより
「~~~~~~~~~~~~!!!」
服が無くなっていた。下着から髪をまとめていたリボンまで、なにもかもが無くなっていたのだ。
この真っ白い世界の中、私だけが赤くなってそこにうずくまっていた。
知らない世界に服をはぎ取られた状態でほっぽり出された恐怖と羞恥が私を襲う。
誰に何をされるのか、もしかしたらもうされてしまっているのか。混乱の渦に陥れる私は身悶えるしかなかった。
そんな私に声がかかった。
ーーー目覚めましたね、魔女の子よーーー
「きゃぁぁあ!!・・・誰?!」
男性とも女性とも思えない深みのある声に、思わず悲鳴を上げる。
しかし周りには誰もいない。
ーーー安心なさい。我々はあなたに触れられない。同時に、あなたも我々に触れられないーーー
「・・・あなたたちは、なんなの?私を・・・どうする気?」
感情が無いような話し方の、声の主に問う。
ーーーこの世界はじきに消滅する、故にあなたの協力を求むーーー
こちらの声が届いていないかのようだった。
むこうの話は続く。
ーーー4つの色を集めなさい。既にあなたは1つを見つけたーーー
「・・・何を言っているの?」
こっちはまだ理解が追い付いていないというのに、むこうは話を続ける。
ーーー4つの器を探しなさいーーー
「・・・」
むこうから一方的にしかやり取りができない。
ーーー全てが1つに集まったとき、あなたは全てを理解するーーー
「意味がわから・・・」
ゴウンッ!!
「きゃぁっ!」
突然地面が揺れた。同時に、この白い世界が崩れていくのがわかる。
ーーー全てはあなたに託す。我々はもう、何もできないーーー
「ちょっと!・・・ま、待ってよ!・・・・私に・・」
急に意識がもたなくなる。
「・・・私に・・・・な・・にお、・・・さ・・・・・せ・・・・・・・」
そして私は再び、眠りにつくのだった。




